渦巻く波乱要因、高まる警戒局面:Huawei起訴、急激な業績悪化
米中摩擦が引き続く中、市場に波乱を引き起こす要因が頭をもたげてきている。米国・司法省が中国のテレコム最大手、華為技術(ファーウェイ)とカナダで逮捕された同社副会長兼CFOを起訴したと発表、米中閣僚級協議が行われる中、両国関係の悪化が懸念されている。さらに、アップル、Samsung、Nvidiaなど主要プレイヤーの四半期業績発表が行われ、数年ぶりの大きな落ち込みがいずれも見られる内容となっている。このような局面を受けて、中国の景気対策そして台湾・Foxconn Technology Group(鴻海科技集団)の米中進出計画見直しと、方々で警戒の色合いが強まっていく情勢である。
≪拡がりゆく波乱の芽≫
制裁関税を巡る米中両国の交渉期限もあと1ヶ月弱に迫っているが、1月最終週における米国・司法省の華為技術(ファーウェイ)起訴の動きが以下の通りである。米国のテレコム会社から企業秘密を盗んだともしており、知的財産の保護を国家安全とともに徹底的に追及する姿勢があらわれている。
◇U.S. Charges Chinese Telecom Giant Huawei, Asks Canada For CFO Extradition-US indicts Huawei, seeks extradition of CFO (1月28日付け National Public Radio)
◇U.S. unseals indictments against China's Huawei and CFO Meng Wanzhou (1月29日付け Reuters)
◇米、ファーウェイを起訴、違法取引や企業秘密の窃盗 (1月29日付け 日経 電子版)
→米司法省は28日、イランとの違法な金融取引に関わった罪などで中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)と同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を起訴したと発表、孟氏を逮捕したカナダに身柄の引き渡しを求める旨。米通信会社から企業秘密を盗んだ罪でも同社を起訴した旨。閣僚級の貿易協議を目前に控え、米中の対立が激しくなりそうな旨。
イランの事件を巡って起訴したのは、中国のファーウェイ本社と米国子会社、関連会社スカイコム・テックと孟氏。いずれも銀行詐欺や通信詐欺に関与したり、共謀したりした疑いがある旨。
◇ファーウェイCFO起訴、米、カナダに引き渡し要請へ (1月29日付け 毎日新聞)
→米司法省は28日、中国電子機器大手の華為技術(ファーウェイ)と、カナダ当局に逮捕された同社の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を、米国の対イラン経済制裁に違反した詐欺罪などで起訴したと発表、米政府はカナダ当局に孟氏の身柄引き渡しを要請する方針。30日に始まる閣僚級貿易協議を前に、米中関係の悪化を招く可能性がある旨。
これに対して華為技術(ファーウェイ)側は、米国法に違反はないと否定している。
◇ファーウェイ、米の起訴「失望した」、詐欺罪など否定 (1月29日付け 朝日新聞DIGITAL)
→中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は29日、法人としての同社やカナダで逮捕された孟晩舟・副会長らが詐欺罪など13の罪で米当局から起訴されたことを受け、「失望している」との声明を発表した旨。「華為と子会社、関連組織が起訴状で指摘されているような米国法に違反する行為をしたことを否定する。孟氏によるいかなる不当行為をも把握していない」と起訴内容を否定した旨。
これと並行する時間軸で、主要各社の四半期業績が発表されている。
まず、AI、自動運転など新分野に向けたプロセッサ半導体の取り組みで先行して業績を大きく伸ばしてきたNvidiaであるが、中国経済の急減速から売上高2割と大きく下げる予想を発表している。
◇Nvidia cuts fourth-quarter revenue estimate on weak China demand; shares sink (1月28日付け Reuters)
◇米エヌビディア、中国不振で売上予想19%下げ、11〜1月 (1月29日付け 日経 電子版)
→米半導体大手のエヌビディアは28日、2018年11月〜2019年1月の売上高が従来予想より約19%低い22億ドル(約2407億円)前後にとどまる見込みだと発表、中国経済の減速で同国でのゲーム用GPUの販売が予想を下回り、データセンター向け製品も各国で買い控えが起きた旨。人工知能(AI)関連需要で成長を続けてきた同社だが、停滞が色濃くなっている旨。中国を中心にパソコンゲームの映像をなめらかに動かすGPUの需要が停滞し、2018年秋に発売した高性能機種の販売も伸び悩んだ旨。
◇エヌビディア、市場異変の波、仮想通貨の採掘低迷、中国経済が急減速、売上高2割下方修正、時価総額は半分に (1月30日付け 日経)
→半導体業界で急成長した米エヌビディアが逆風にさらされている旨。中国経済の急減速を受けてゲーム用パソコンやデータセンターで使われる画像処理半導体(GPU)が振るわず、2018年11月〜2019年1月の売上高を2割下方修正した旨。仮想通貨バブルがはじけたあおりも受け、華やかなイメージと裏腹に業績の十分な支え役がいない状況があらわになった旨。
2018年販売高が3年連続の史上最高を記録したと前回示したインテルであるが、やはり中国での需要鈍化から市場予想を下回る情勢となっている。
◇Weak China Demand Hits Intel-Intel became the latest chipmaker stung by slowing demand in China, as its a fourth-quarter report and first-quarter forecast that both fell short of Wall Street's expectations. (1月28日付け EE Times India)
そして注目のアップルであるが、年初に市場にショックを与えた通り、9四半期ぶりとなる減収減益の結果をあらわしている。中国事業の落ち込みがここでも大きく効いている。
◇アップル、10〜12月純利益0.5%減、9四半期ぶり減収減益 (1月30日付け 日経 電子版)
→米アップルが29日夕に発表した2018年10〜12月期決算。中国でのiPhone販売減が響き、2日に公表した通り、売上高が前年同期比5%減の$84.31 billion、純利益が同0.5%減の$19.965 billion、2016年7〜9月期以来9四半期ぶりの減収減益となった旨。
iPhone事業の売上高は15%減。中国事業が27%減の$13.169 billionと、2017年4〜6月期以来6四半期ぶりに減収に転じた旨。中国は景気減速で高価格帯のアップル製品の販売に陰りが出ている旨。アップルは今年に入ってiPhoneの値下げに動くなど、世界最大のスマートフォン市場である中国でのシェア維持に向け対応を迫られている旨。
◇アップル、中国発のスマホ不振、2019年も減収避けられず (1月30日付け 日経 電子版)
→米アップルが29日発表した2018年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比5%減の843億1000万ドル(約9兆2200億円)。主力商品である「iPhone」の中国販売が想定よりも落ち込み、9四半期ぶりに前年実績を割り込んだ旨。
2019年1〜3月期も前年同期比で減収を予想しており、不振が長びく可能性が出てきた旨。
メモリ半導体の高値でここ2年最高業績を謳歌してきている韓国勢であるが、いまや半導体業界トップとなったSamsungも2018年10−12月四半期は2年ぶり減益などトーンが変わって、今年の設備投資削減が打ち出されている。
◇サムスン、10〜12月29%営業減益、半導体は2年ぶり減益 (1月31日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が31日発表した2018年10〜12月期連結決算。売上高が前年同期比10%減の59兆ウォン超、営業利益が同29%減の10兆8000億ウォン(約1兆500億円)。半導体部門の利益が2017年1〜3月以来の水準に落ち込んだためであり、自社製スマートフォンを中心とする「IT&モバイル」部門も低調だった旨。
◇Samsung posts fourth-quarter profit drop, warns of weak demand until the second half of 2019-Samsung's Q4 operating profit falls 28.7%; spending to be cut (1月31日付け TechCrunch)
→Samsung Electronicsの2018年第四四半期operating profitが前年同期比28.7%減の約$9.7 billionの一方、売上げはDRAMsおよびNANDフラッシュメモリの需要低下から同10.2%減。Samsungは今年の設備投資を減らす計画、しかし同社は事業環境は2019年後半には改善すると見ている旨。
◇Samsung Cuts Back On Semiconductor Spending as Profits Shrink (1月31日付け Bloomberg)
もう1社のSK Hynixも、2018年の最高業績から一転、下記の通り逆風の痛みがあらわれている。
◇SK Hynix feels mosquito bite in revenues from flat flash and DRAM demand-Moving to high-density DRAM and delaying 96-layer flash-SK Hynix reports 2018 net income of $13.8B on sales of $36.1B (1月25日付け The Register (UK))
→SK Hynixの2018年販売高が34%増の$36.1bn、net incomeが46%増の$13.8bn。
◇フラッシュメモリ逆風、サムスン5割減益、SKは赤字、10〜12月事業単体、価格下落響く (2月1日付け 日経)
→半導体世界首位のサムスン電子と同3位のSKハイニックスのフラッシュメモリ事業の損益が急速に悪化している旨。1月31日に出そろった両社の2018年10〜12月期の連結決算で、同事業単体の営業利益は、サムスンが前年同期比で5割減の約1兆5000億ウォン(約1470億円)だったよう。SKの営業損益は1000億ウォン(約98億円)程度の赤字に転落したもよう。フラッシュメモリは2019年前半までは厳しい市況が続くとの見方が多く、日本の東芝メモリにも逆風となりそうな旨。
このような波乱の芽を受けて、インパクトを抑制する動きが早々にあらわれており、大きくはまず、中国政府の景気浮揚対策である。
◇中国、景気対策に40兆円超、減税・インフラに総力−銀行資本増強も支援 債務問題が足かせに (1月29日付け 日経 電子版)
→中国が景気対策の規模を拡大している旨。昨秋以降に固まった対策は減税とインフラ投資だけで2兆5千億元(約40兆円)超にのぼり、銀行の資本増強支援など金融面の対策も強化する旨。下押し圧力が高まる景気の失速を防ぐことに全力をあげる旨。ただ、過剰債務問題への警戒も緩めておらず、ブレーキを慎重に踏みながらの対策となっている旨。
2008年のリーマン・ショック直後に中国が打ち出した景気対策は「4兆元対策」(当時の為替レートで約56兆円)と言われ、当時の中国の国内総生産(GDP)の13%に上ったが、今回の対策はGDP比3%程度で、まだ拡大余地がある旨。
米中両国に進出を図っている台湾・Foxconn Technology Group(鴻海科技集団)は、両方での計画変更を行っている。
◇鴻海、米液晶工場の計画見直し、パネル市況悪化で (1月30日付け 日経 電子版)
→電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、米中西部ウィスコンシン州で進める100億ドル(約1兆900億円)規模の液晶パネル工場の建設計画を見直すことが分かった旨。中国勢の増産でパネル市況が悪化し、現地の人件費の高さにも苦慮。トランプ政権が進める「製造業の米国回帰」に呼応して支援を引き出す戦略に狂いが生じている旨。
◇鴻海、揺らぐ2兆円投資、中国稼働半年遅れ・米は凍結 (1月31日付け 日経 電子版)
→台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が米中で同時進行する総額2兆円規模の液晶パネル工場の建設計画が揺らいでいる旨。中国・広州の工場は2019年内に本格量産を始める予定だったが、6カ月延期することがわかった旨。米中西部ウィスコンシン州の工場も建設を凍結した旨。貿易摩擦の激化で投資環境が悪化しているため。米中に同時接近して活路を探る郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の戦略にほころびが生じている旨。
半導体市場に敏感にはね返る特性であるだけに、日々刻々ますます目が離せない政治&経済情勢となっている。
≪市場実態PickUp≫
【インテル関連】
インテルが、イスラエルの新しい工場への投資を決め、イスラエル政府からの助成を受けている。
◇Intel to Invest $10.9 Billion in New Israeli Fab (1月29日付け EE Times)
→イスラエルのfinance minister, Moshe Kahlon氏。Intelが約$10.9 billionを投資、イスラエル・Kiryat Gat市に新しい300-mm fabを建設する旨。Intelは、該計画を確認するステートメントをイスラエルで出している旨。
◇Intel to get $1 billion state grant for $11 billion Israel chip plant expansion-Intel receives $1B grant from Israel for plant expansion (1月29日付け Reuters)
→Intelが、同社イスラエルの半導体製造operationsの$11 billion拡張についてイスラエル政府から$1 billionの助成金を受ける旨。該開発により、Intelが同国ですでに雇用している約13,000人の従業員に1,000人が加わる旨。
昨年の夏以降暫定ポストとして人選が行われていたインテルのCEOであるが、暫定CEOを務めているRobert Swan氏がそのまま7代目のCEOに就くという発表が行われている。代々最先端技術の牽引役というイメージが定着しているだけに、財務肌の同氏への率直な視線もある以下の内容である。
◇Intel Names Bob Swan CEO (1月31日付け EE Times)
→Brian Krzanich氏が昨夏突然辞任して以降Intelの暫定CEOを務めているRobert Swan氏が、永続ベースで該jobを与えられた旨。2016年以降同社chief financial officer(CFO)でもあるSwan氏が、Intelの50年の歴史で7番目のCEOに就き、Intelのboard of directorsにも指名された旨。
◇Intel makes interim CEO Swan permanent, bucking history of insiders-Intel's interim CEO gets the job on a permanent basis (1月31日付け Reuters)
◇Swan's Mission: Turn Around Battleship Intel (2月1日付け EE Times)
→7ヶ月の試行を経て、Bob Swan氏が同社50年の歴史の重大時に最大の米国半導体メーカーのかじ取りを行っていく旨。Intelは半導体での支配力は依然あるが、いつまでそうであるか。Swan氏が仕事にとりかかる時の旨。
Intelの短期的展望は確かに差し迫ったものではなく、1990年代はじめ以降保った半導体販売高ランキングNo.1の座を昨年Samsungに譲って失っているにも拘らず、Intelは3年連続で最高の販売高を記録、2019年も最高更新を予測している旨。
◇Opinion: With Intel CEO choice, the bean counters are in charge of Silicon Valley's most storied tech company-Permanent CEO Bob Swan joins Chairman Andy Bryant as former CFOs at the helm of the chip maker (2月1日付け Market Watch)
→同社過去のリーダーの大方にある技術的資格証明に欠ける財務のベテラン、前chief financial officer、Bob Swan氏というIntel社の鼓舞しない選択が、Wall StreetおよびSilicon Valleyをがっかりさせている旨。
【TSMC関連】
TSMCとて厳しい市場環境、取引先に対する値下げプッシュが見られている。
◇TSMC striving to cut costs (1月29日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、今年の同社operatingコスト削減に努めており、装置および材料サプライヤに対し10%ほどの値下げの話し合いを行っている旨。
フォトレジスト(感光性樹脂)に使う化学品に、規格外の製品が混入とのこと。TSMCの生産に影響が出て、NvidiaやHuawei向け供給への可能性が取沙汰されている。
◇TSMC production affected by substandard chemical (1月29日付け DIGITIMES)
→TSMCが、製造工程で用いられるあるsubstandard化学物質により歩留りが影響を受けたことを確認、同社での一時閉鎖でウェーハ10,000枚超の欠陥性半導体が作られたというメディア報道に続く旨。「TSMCは、製造工程で用いられるある化学物質が仕様を逸脱、ウェーハ低歩留りとなったことを見い出している。」と、メディア報道に対応した月曜28日夜の台湾証券取引所filingにて。
◇TSMC chip output for Nvidia and Huawei hit by defective chemical-Production woes follow conservative forecast from industry bellwether (1月29日付け Nikkei Asian Review)
◇TSMCのシリコンウェーハに汚染問題発生、NVIDIAやHuaweiなどに影響が出る可能性 (1月29日付け gigazine.net)
→TSMCの主力工場で、生産ラインが化学汚染されシリコンウェーハの不良品が大量に発生する見込みであることがわかった旨。GPUメーカーのNVIDIAやスマートフォンメーカーのHuaweiが影響を受ける可能性。ウェーハ汚染事故が起こったのは、台湾・台南にあるNanke Technology ParkにあるFab 14との旨。このファブは2018年にウイルス被害を受けた工場の一つとの旨。Fab 14で製造していた半導体チップは16-nmと12-nmプロセスで製造されるいわゆるメインストリーム製品にあたり、TSMCの主な収益源となるボリュームライン。
◇TSMC、工場に規格外化学品、半導体供給に影響も (1月30日付け 日経)
→TSMCは29日、主力工場で規格に合わない化学品が生産ラインに混入したと発表、不良品が大量に発生する見通しで、米エヌビディアや中国の華為技術(ファーウェイ)系列のファブレスの半導体大手の製品供給に影響する可能性がある旨。問題が起きたのは台湾南部・台南の工場「14B」。TSMCによると19日から品質異常が発生し、その後の調査で半導体基板に回路を描くフォトレジスト(感光性樹脂)に使う化学品に、規格外の製品が混入していたことが分かった旨。
【2018年スマートフォン出荷】
米国・IDCの統計データに見る2018年のスマートフォン出荷およびトップ5ベンダーのアップデートである。全体では4.1%の台数減少、そしてファーウェイがアップルにほぼ並ぶ位置づけとなっている。
◇Smartphone Woes Continue with Worldwide Shipments Down 4.9% in the Holiday Quarter Capping off the Worst Year Ever, According to IDC (1月30日付け IDC)
◇スマホ出荷、2018年減少 ファーウェイ、アップルに肉薄 (1月31日付け 日経 電子版)
→米国・IDCが30日まとめた2018年のスマートフォン出荷統計。全メーカーの出荷は4.1%減の14億490万台、2年連続の減少で、落ち込み幅は拡大した旨。最大市場の中国が買い替え周期の長期化などで10%以上縮小したのが響いた旨。トップ5ベンダー:
1. サムスン電子 2億9230万台 8%減
2. アップル 2億 880万台 3.2%減
3. ファーウェイ 2億 600万台 33.6%増
4. 小米(シャオミ) 32.2%増
5. OPPO(オッポ) 1.3%増
【中国半導体市場】
SEMIのレポートに見る中国での現下の半導体製造プロジェクトとその内訳である。
◇China's Foundry Biz Takes Big Leap Forward-China has 30 fabs or new fab lines being built or planned (1月28日付け Semiconductor Engineering)
→SEMIのWorld Fab Forecast Report発。中国では30の半導体製造プロジェクトが建設中あるいは計画段階にあり、10/7-nmプロセスも含まれるが、貿易戦争および経済的要因から進みが遅れる可能性の旨。その全体の内、13のウェーハ製造拠点がファウンドリー市場に対応する一方、その他はlight-emitting diodes(LEDs), メモリ半導体などの製品を作るのに用いられる、と特に言及の旨。
SMICが、今年前半に14-nmの量産に入る予定であり、それを引っ張るリーダーとしてTSMCおよびSamsungを経た方があらわされている。
◇SMIC reportedly to move 14nm process to volume production in 1H19-Report: SMIC readies volume production of 14nm process (1月30日付け DIGITIMES)
→中国でのメディア報道発。SMICが、2019年前半に14-nm FinFETプロセス技術を用いて作られる半導体の量産に入る予定、handset分野からの最初の受注を遂行していく旨。SMICは14-nmプロセス製造歩留りを95%に改善している旨。TSMCおよびSamsung Foundryの前R&D指導者、Liang Mong-song氏が同社に入り、SMICはFinFETプロセス開発で大きく進んでいる旨。
【シリコンウェーハ出荷面積】
SEMIより恒例のシリコンウェーハ出荷面積およびシリコン売上げのデータがあらわされ、史上最高を更新し続ける熱い活況が少なくとも前半見られた2018年を反映するこの12年の推移が以下の通りである。荒波模様のデータ内容に改めて注目している。
◇Annual silicon shipments hit record high, market exceeds $10B for first time since 2008 (1月30日付け ELECTROIQ)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のシリコンウェーハ業界year-end解析。2018年の世界シリコンウェーハ出荷面積が8%増の最高記録の一方、2018年世界シリコン売上げは31%増、2008年以来ぶり$10 billionの大台を上回っている旨。
2007年〜2018年の年次シリコン業界の流れ:上から、年、出荷面積(100万平方インチ)、売上げ(USB$)
2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
8,661 | 8,137 | 6,707 | 9,370 | 9,043 | 9,031 | 9,067 | 10,098 | 10,434 | 10,738 | 11,810 | 12,732 |
12.1 | 11.4 | 6.7 | 9.7 | 9.9 | 8.7 | 7.5 | 7.6 | 7.2 | 7.2 | 8.7 | 11.4 |
◇Silicon shipments at record high-SEMI: 2018 silicon shipments set a new record (1月31日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMI発。2018年の世界シリコンウェーハ面積出荷が12.73 billion平方インチに達して、2017年の11.81 billion平方インチから8%増。2018年の売上げは、前年の$8.71 billionに対して31%増の$11.38 billion。
◇Silicon shipments hit record high with revenues exceeding US$10 billion in 2018, says SEMI (1月31日付け DIGITIMES)
≪グローバル雑学王−552≫
半導体業界の立場からはお客様であり、お仲間でもあるキヤノンの創業者の1人で初代社長を33年の長きにわたって務めた御手洗毅について、
『日本人だけが知らない本当は世界でいちばん人気の国・日本』
(ケント・ギルバート 著:SB新書 443) …2018年8月15日 初版第1刷発行
より足跡を辿っていく。お医者さまでありながら、二足のわらじでカメラを開発する研究所を立ち上げたのがスタートとのこと。信仰する「観音様」→カメラ第一号機「カンノン(KWANON)」→キヤノン(Canon)という変遷を受け止めている。「キヤノン」がなぜ「キャノン」ではないのか、という説明もある。家族主義経営で社員の力を最大限に引き出し、対外的には海外戦略を積極的に進める経営努力の姿勢を改めて味わい知るところがある。
第二章 義理
―――誉れ高き「和の心」 …その3
□社員・お客様本位の「観音」的経営
―――御手洗 毅
〓「キヤノン」という社名に表れるグローバルな理念
・もともと英語にあるキリスト教の宗教用語、Canon
→「戒律、規範、基準、模範」という直訳
・創業者の一人が仏教の「観音様」を信仰
→英字綴りのKWANNONから、第1号製品であるカメラの商品名を「KWANON」に
・まったく違う言語でありながら、そこにその後の世界企業を目指す経営理念につながる人間重視の姿勢、慈悲心や人道的な規範といった共通するもの
〓「キヤノン」はなぜ「キャノン」ではないのか
・「キヤノン」という和名の表記
→デザイン的な文字のバランス
→「ヤ」を小文字にすることで生じる空間が「穴が開いている」ように見えるのを避けたかったから
・総じてこうした社名へのこだわりには、キヤノンが世界企業へと成長した独特な企業文化がうかがえる
・その社風、企業文化の作り手
→創業者の1人、初代社長を33年の長きにわたって務めた御手洗毅
〓産婦人科医が履いた「二足のわらじ」
・御手洗毅の人生、根っからの経営者だったわけではなく、創業から数年間は、産婦人科の医師との二足のわらじ
→1901年、大分県の現・佐伯市の生まれ、代々豪農とも医師ともいわれる名家
→北海道大医学部へ進学、寮歌「都ぞ弥生」で有名な自治寮・恵迪寮の自治委員長に
→卒業後、東京に出て日本赤十字病院産婦人科の勤務医に
→病院で出産の面倒を見た女性の夫、山一證券勤務の内田三郎と親しくなった
・1933年、内田の出資を得て、国産カメラの開発を目指す精機光学研究所を立ち上げ
→ドイツ製の35ミリ・レンジファインダーの「ライカ」の向こうを張って、日本初、35ミリ・レンジファインダー、フォーカルプレーン・シャッターのカメラ第一号機を発売
〓二足のわらじでつかんだ新たな商機
・この第一号機を「カンノン(KWANON)」と命名
→やがて、商品名もキヤノン(Canon)に変え、御手洗が資金集めに尽力して目黒区に工場を建設
→1937年、「精機光学工業株式会社」を設立、社長は置かず内田が専務に
・二足のわらじの御手洗の会社での仕事は、月一回の役員会に出席することと、社員の健康診断をすること
→戦時色のなか、御手洗は健康診断に使うほとんどドイツ製のX線カメラに目をつけた
→国産化を社に提案、海軍の医務局に働きかけて受注に成功
→3年後、完成した「35ミリ間接X線カメラ」を海軍に納入
→取締役に就任して毎日出勤するように
〓「任せる力」を武器に実業界を席捲
・1941年、専務の内田が、国の要請で、当時日本領のシンガポールの司政官に赴任
→御手洗は社員たちの要請で1942年9月、やむなく社長に就任
・御手洗の「理想主義・家族主義」の原点といわれる英断
→「工員」という名称・身分を廃止、報酬も社員と同じ月給制に
・自分の病院は空襲で焼け落ち、再建をあきらめて会社経営に専念するきっかけに
→次のような「家族主義」的経営手腕を続々と発揮
→1.戦後すぐの1946年に、他社に先駆けて従業員組合の結成を助けた
2.永年勤務者の表彰や家族を招いた観劇会などを実施した
3.1950年には持ち家を目指す住宅組合を設置した
4.収益を資本、経営、労働で分ける「三分配制度」を実施した
→明らかに「終身雇用」の考え方
・1935年、製品名としては採用していたCanonの名を社名にも採用
→創立10周年を迎えた1947年、「キヤノンカメラ株式会社」に改称
〓メイド・イン・「オキュパイド・ジャパン(占領下の日本)」を跳ねのける
・1947年の10周年挨拶
→「日本が世界に伍していくには頭でつくった製品を世界に売るしかない。我々は打倒ライカを目指す」
→翌1948年、従来、日本光学(ニコン)に頼り切っていたレンズの調達をすべて自社開発製品に切り替え
・社内的には家族主義経営で社員の力を最大限に引き出し、対外的には海外戦略を積極的に進める御手洗の経営努力
→ライカを上回る明るさのレンズを開発
・御手洗の33年に及ぶ社長時代は、そのままキヤノンの苦闘と成長の歴史
・1950年、アメリカでの売り込み、面会した有力代理店の弁
…「このカメラはライカより数段優れている。残念なのは、メイド・イン・オキュパイド・ジャパン(占領下の日本製)であること。当社ブランドで生産しないか」
→御手洗は、「自分で産んだ子は自分で育てる」と言ってこの話を断ったとの後日談
〓「目に見えない」GHQ運動
・1959年、御手洗がキヤノン社内で展開した「GHQ運動」
→「新家族主義」「健康第一主義」から出た「Go Home Quickly」
→1967年、当時の日本企業としては画期的な完全週休二日制を導入
・御手洗が社長を退いた後も、大きく育っている家族主義の種
→1988年、「リフレッシュ休暇制度」
→2000年、「フリーバカンス制度」
〓真に選ばれる顧客サービスとは
・アメリカの有名デパート「ノードストローム」、カスタマーサービスの点でいい結果の事例
→社員に全面的な信頼を置き、社内規定はただ一つ、「あなたの判断で正しいことをしなさい」
・キヤノンを世界に飛躍する優れた会社にした御手洗毅についても、私は深い感動を覚えずにはいられない
→社員を信ずる経営に、家族主義といったいわば「観音」的経営
→「理想主義」的な経営姿勢が、いつも底辺に流れている