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iPhone 7/7 Plusに導入された新チップたち

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AppleがiPhone 7の発表に合わせて、主に3種類の新しいチップを発表した。一つはTSMCが全面的に製造することになったアプリケーションプロセッサA10、二つ目はワイヤレスヘッドフォン用のコアとなるW1チップ、三つ目はApple Watch用のコアチップのS2チップである。

図1 iPhone 7 出典:Apple

図1 iPhone 7 出典:Apple


A10 Fusionチップは4CPUコアからなり、高性能用のコア2個は、iPhone 6のA9よりも2倍高速で、低消費電力用のコア2個は高性能コアの1/5という低電力のコアからなっている。Appleのプレスリリースには触れられていないが、コアの構成からはbig.LITTLEアーキテクチャを使っているものと思われる。すなわち高性能コアと低消費電力コアというヘテロのCPUコアをシームレスにつないでいると書かれているからだ、キャッシュメモリを共有し、しかもメモリコヒーレンシを保っていると考えられる。

グラフィックスコアもA9と比べ、半分の消費電力で3倍の動作速度を高めている。iPhone 7と7 Plus共に世界各地でのローミングサービスを考慮して、25種類のLTEバンドをサポートしている。またLTE-Advancedにも対応したため、データ通信速度は、iPhone 6と比べ3倍の最大450Mbpsと高速になるとしている。Appleはどのチップを使っているかを明らかにしないが、このベースバンドチップはIntel(旧Infineon Technologiesのワイヤレス部門)のチップだという噂はある。

オーディオ関係では、ワイヤレスイヤフォンAirPodsが発表されたが、この無線通信にBluetoothを使っていないことは間違いなさそうだ。ここではW1チップが使われ、これまでよりも音質向上と低消費電力を売りにしている。AirPodsには配線のスイッチもなく、内蔵の光センサによって耳に挿した時にワイヤレスでつながり、音が流れるようになっている。逆に耳から外すと音楽は止まる。トントンと2回軽くたたくとSiriにつながり、音楽を選択することや音量調整ができる。耳に入れたまま話すとそれを加速度センサで検出し、両耳のAirPodsから音をビームフォーミングで話す声だけを取り出し、周囲のノイズはカットされる。W1は従来のワイヤレスチップの1/3も消費電力だとしている。恐らく従来のBluetooth LE(low energy)ではなく、近距離磁気結合を使っているのではないかという噂もある。NXP Semiconductorが折しも近距離磁気結合のワイヤレスチップを発表したことから、そのような噂が出たようだ。

なお、iPhone 7ではカメラ機能が充実したと言われているが、画像処理プロセッサも新規設計を行った。画質を向上させるために1枚の写真を25ms当たり1000億演算の動作を行っているとしている。

最初のApple Watchで使われていたSiP(システムインパッケージ)の中のプロセッサチップは、今回デュアルコアのプロセッサS2とGPUにアップグレードされた。S2の動作速度は50%上がり、GPUのグラフィックス性能は2倍上がったという。

(2016/09/15)

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