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B2B指向が明確になったCEATEC 2018 (2)〜2社からAIのIPコア

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CEATECではAIチップが2種類登場した。それもエッジで使われる推論専用のAI向けのIPコアである。米Lattice Semiconductorと英Imagination Technologiesがそれぞれエッジ用途に特化したAI演算用のIPコアを発表した。

Lattice Semiconductorは、5月に発表したIPコアSensAIファミリを拡張し、2種類のIPコアを揃えた。Imagination Technologiesも、性能と消費電力のバランスのとれたIPと、性能優先のIPの2種類を開発している。Latticeが小型のFPGAの内部に集積する専用IPに対して、ImaginationのIPはライセンス可能で、一般市場に向けたライセンス可能なIPである。


iCE40 UltraPlus/ECP5は単独で動作可能

図1 Latticeが発売するCNN向けIPコアを内蔵したFPGA;iCE40 UltraPlusとECP-5
出典:Lattice Semiconductor


小型FPGAメーカーのLatticeのIPコアは2種類ある(図1)。16ビットのCNN(畳み込みニューラルネットワーク)と1ビットの量子化に対応した、性能と消費電力のバランスを狙ったCNN小型アクセラレータIPと、5月に発表したEPC5 FPGA向けIPにDRAMの帯域幅を16ビットから32ビットに広げたCNNアクセラレータIP、である。性能に関しては明らかにしていないが、DSPブロックを8個含む前者のIPの消費電力は1~10mW、156個のDSPブロックを含む後者のそれは1W以下となっている。

SensAIはIPコアだけではなく、ハードウエアとソフトウエアの開発ツールをそれぞれ提供している(図2)。学習するニューラルネットワークのフレームワークとしてこれまではCaffeしか対応できなかったが、今回はTensorFlowにも対応できるようになった。クラウドで学習されているフレームワークをLSIに落とす場合にはコンパイラによって、CaffeあるいはTensorFlowのフォーマットをLSIの設計のRTLに変換する必要がある。Latticeが提供するソフトウエア開発ツールではニューラルネットワークコンパイラを備えており、ユーザーはRTLに変換されたデータを使うことができる。LatticeはこれらのニューラルネットワークIPをFPGAに集積した形で、FPGAデバイスとして販売する。


LATTICE SensAI

図2 ソフトウエアとハードウエアの開発キットを提供 出典:Lattice Semiconductor


IPベンダーであるImaginationは、もちろんライセンス可能なIPコアで、性能は高い。消費電力の小さなAX2145の性能は1.0 TOPs (Tera Operations Per Second)もありながらチップ面積は1mm2しかないという。性能優先のAX2185は最大4.1 TOPsでGPUを凌ぐ性能だとしている。AlexNet(積和演算回数が14.5億回)の推論性能を比較した結果、従来のGPUと比べ3.5倍の性能があったとしている。チップ面積は2mm2になるという。

中国の華為科技傘下のHiSiliconも推論AIを開発しているが、彼らはAppleのiPhone X/XPlusのアプリケーションプロセッサA11の2倍の性能だと述べているらしい。Imaginationによれば、AX2145でさえHiSilicon並みの性能であり、2185となるとこの4倍の性能を持つことになる。

参考資料
1. B2B指向が明確になったCEATEC 2018 (1) (2018/10/17)
2. B2B指向が明確になったCEATEC 2018(3)〜IoT/クルマ/健康市場に照準 (2018/10/24)

(2018/10/23)

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