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NANDフラッシュは若干成長するもDRAMが急落する2016年

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2016年はメモリにとって良い年ではなさそうだ。米市場調査会社のIC Insights社は、2016年のメモリ市場は11%減になりそうだという見通しを発表した(図1)。特にDRAMが19%減と最悪で、NANDフラッシュは2%増と成長するが、メモリ全体の足を引っ張るのがDRAMでメモリ全体としては11%減という予測を導いた。

図1 メモリ市場の予測 出典:IC Insights

図1 メモリ市場の予測 出典:IC Insights


DRAMの19%減という数字は、ASP(平均単価)が16%減に加え、DRAMの出荷数量も3%減となるためとしている。DRAMの大口ユーザーはもちろんコンピュータデスクトップやノートパソコンがマイナス成長に加え、タブレットもマイナスで、スマートフォンがわずかにプラス成長してもメモリの在庫がまだ掃けず、ASPを下げざるをえない状況だとIC Insightsは見ている。

NANDフラッシュは2015年と同様、2%のプラス成長、その他のメモリ(SRAMやNORフラッシュ、OTPなど)は1%減と予想している。

メモリをけん引するDRAMの大きな揺れは珍しいことではない。この市場調査会社によるとDRAMのASPは、2010年に44%増、翌2011年は27%減、と乱高下を繰り返してきた(図2)。2013年には48%増、2014年は26%増と大きく増え続けてきたため2015年に4%減、2016年を16%減と見ることは不自然ではない。原因はやはり過剰在庫にある。2013年、14年と大きな需要が続いてきたため在庫調整は必然となる。


図2 DRAMのASP(平均単価)の推移 出典:IC Insights

図2 DRAMのASP(平均単価)の推移 出典:IC Insights


ただ、最近になって、DRAMのASPは底を打ったような傾向も示している(参考資料1)。これから回復していくだろうが、2016年後半から2017年にかけて時間がかかるだろうとIC Insightsは見ている。しかし、DRAM単価はすぐ下がるだろうと予測する。中国でDRAMメーカーが2社新規に参入するとアナウンスされているからだ。一つは、安徽省合肥市のサイノキングテクノロジー(設計を坂本幸雄氏の代表とする日本側が担当)(参考資料2)、もう一つは福建金華IC社である。この2社がDRAMを立ち上げるとASPはさらに下がるとIC Insightsは見ている。

参考資料
1. DRAMの単価はNANDフラッシュにつられ、底を打ったか (2016/07/07)
2. 新しいメモリ企業が誕生 (2016/02/22)

(2016/08/12)

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