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2017年の世界の半導体市場は11.5%成長とWSTSが上方修正

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WSTS(世界半導体市場統計)が2017年の世界半導体市場を前年比11.5%増になると大幅な上方修正を行った。前回の予測は2016年11月に発表されていたが、その時は3.3%成長だった。市場調査会社の予測も、次々と上方修正してきた。Gartnerは5月に12.3%成長、IC Insightsは4月に11%成長と修正した。

図1 世界半導体市場予測 2017年は11.5%成長を見込む 出典:WSTS

図1 世界半導体市場予測 2017年は11.5%成長を見込む 出典:WSTS


2017年の成長率は11.5%を見込んでいるが、地域別では米国が12.2%増、アジア太平洋が12.4%増と平均よりも大きい。日本は6.6%増と最も伸びが小さいが、円ベースでは11.6%増となっており、円安の影響を考慮した結果となっている。2016年は1ドル108.6円だったが、2017年は113.8円と設定している。ただし、最近は円高が進んでおり、為替次第では日本の伸びはもっと上がる可能性がある。

IC InsightsやGartnerが最近になって2ケタ成長の見込みを発表したあと、WSTSも2ケタ成長を見込むような予想を発表したが、この予測は、5月23〜25日にカナダのバンクーバーで開催された会議の結果をベースにしている。WSTSに加盟している半導体メーカーは44社で、その内16社から20名が参加したという。ただし、IntelもQualcommも加わっていないため、これらの大手の数字は推測しているようだ。

今回の2ケタ成長は、半導体の中でもメモリの売上に大きく依存している。DRAM、NANDフラッシュとも、2015年後半から2016年前半までの間、メモリメーカーは供給過剰で生産を抑えてきた。その結果、2016年後半からメモリ不足に陥っているものの、生産が間に合わない状況が今でも続いている。このためメモリの単価が上がり、供給が間に合わなくてもメーカーは潤っている。またメモリに引きずられてロジックやアナログなども好調で、供給不足状態が半導体売上額の好調につながっている。


図2 IC製品別の売上額予想 出典:WSTS

図2 IC製品別の売上額予想 出典:WSTS


製品別でみると(図2)、2017年のメモリの売上額は30.4%増の1001億ドルを突破しており、IC全体をけん引している。スマートフォンのアプリケーションプロセッサが属するロジック部門では6.5%増、その周辺を支配するアナログICも7.5%増となっており、メモリに引きずられている。DRAMも好調でモバイルパソコンが伸びており、メモリ容量を増やすほか、スマホの64ビットプロセッサが定着し、4GB容量が標準的になりつつある。スマホは依然として半導体のけん引役になっている。

IC以外の製品の中では、センサが最も伸びが大きく、13.9%増の123億ドルが見込まれている。オプトエレクトロニクスは4.7%増と伸びは小さいが、335億ドルが見込まれている。パワートランジスタが大部分を占めるディスクリートは5%増とやはり伸びは小さいが、204億ドルが見込まれている。

半導体景気は2018年も続きそうな勢いで、WSTSは2018年も半導体全体で2.7%成長するとみており、半導体設備投資による増産の影響、すなわち供給過剰が表面化することで2019年には0.2%減と予測している。

(2017/06/07)

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