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2017年の半導体市場はメモリバブル

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2017年第4四半期のDRAM販売額は、64%増の210億6100万ドルとなりそうだ、と米市場調査会社IC Insightsが発表した(図1)。2017年を通して前年比は74%になる。やはり2017年の半導体市場はメモリバブルと言えそうだ。この第4四半期の211億ドルは四半期ベースでも今年最高額。

グラフ: Quarterly DRAM Revenue($M) 1Q15-4Q17F

図1 DRAM販売額 出典:IC Insights


1993年からこれまでのDRAM販売額の年率平均伸び率は13%成長。DRAMは乱高下の厳しい製品であり、成長する年は60%以上が4回もある(図2)。2017年の74%増という数字は1994年の78%増に次ぐ大きな数字となりそうだ。


グラフ: 1993-2017F DRAM market Growth

図2 DRAMの前年比成長率 出典:IC Insights


今年DRAMがこれほどまで伸びた理由は、増産できなかった(しなかった)ことが最大の理由だ。2015年から2016年中ごろにかけて、DRAMの在庫が多くたまり、DRAMメーカーは生産を減らしながら在庫を掃き出し終えるのを待っていた。2016年中ごろからDRAM製品の在庫が掃けた後、生産を拡大しようにもラインは急には立ち上がらなかった。DRAMで20nm以下の微細化での歩留まりが上がらなかったためだ。さらにゲーム機やデータセンター用サーバー向けの高性能グラフィックスDRAMの需要が立ち上がった。秋にはスマートフォン用のモバイルDRAMも需要に応えられなかった。

IC Insightsはこれに加えて、スマホのマルチタスク処理の高速・低価格を求めてスマホ1台内の平均的なDRAM容量が高まっていることも上げている。つまり需要の高まりである。AppleのiPhone 8には2GB、iPhone Xには3GBの容量、SamsungのGalaxy S8は4GB、華為技術のP10 PlusとHTCのU11は6GBも搭載されている。スマホの機能にVR/AR(仮想現実/拡張現実)などの機能が付くようになり、DRAM容量は増える方向にある。

DRAMは過去の歴史から、大きく成長した翌ないし翌々年は大きく落ち込んでいた。このためSamsungとSK Hynixは、新たなDRAM生産能力を2018年に向上させると、2017年の中ごろに発表している。2017年に投資したものの、稼働は2018年に回すようだ。Samsungによると、2017年の半導体設備投資は260億ドルになるという。SK Hynixは中国の武漢に巨大なラインを設立し、Micronは新たなDRAM工場を設立して生産能力を倍増させるとしている。

しかし、これまで値上げ一本調子でやってきたDRAM単価は、この12月5日になってわずか1%だが、下がり始めた。ただ、半導体の歴史はチップ単価の下落であったため、この程度の下落はまだ許容範囲だという見方はあるが、これまでのようなメモリバブルはそろそろ終わりを迎えることは間違いない。

(2017/12/15)

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