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AI半導体チップの新たなランキングが登場

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AIチップは登場したばかりで、市場がまだ小さいため、販売額で順位を競うことはできない。しかし、経済的な指標は売上額だけではない。企業の履歴分析や企業の特性、市場性など独自の指標を創り出した、Compass Intelligence社がAIチップベンダーをランク付けした。

Top 15 Companies in AI Chipset by Score and Rank

図1 AIチップセットベンダーのランキング 出典:Compass Intelligence


図1にはAIチップだけではなく、IPベンダーのようなソフトウエア部品ベンダーも含み、AI半導体チップに係わる設計からIDMまで載せている。

トップに立つのは、GPUを使ってディープラーニングのアルゴリズムを具現化しているNvidia、第2位がAI企業を買収して組み入れたIntel、そして第3位がクルマ向け物体認識プロセッサとその開発環境を昨年リリースしたNXP Semiconductorsとなった。以下、4位から10位までがIBM、AMD、Google、ARM、Apple、Qualcomm、Broadcomという順で並んでいる。

今のAIブームは、ニューラルネットワークモデルを何層にも重ねて、学習していくディープラーニング技術に端を発している。GPUのように比較的軽い積和演算器を大量に集積しているグラフィックスチップGPUでは、グラフィックス、すなわちお絵かきの色塗りを行う演算は高速ベクトル演算と共通する。一方、多数の入力を持つニューロンを多数並列に並べて信号を次々と送るニューラルネットワークには、データに重みをかけるという積和演算に通じるものがある。ニューラルネットワークは、積和演算器を並列に並べて計算するという行列演算を行っている。つまり、GPUは生まれながらに超並列演算のニューラルネットワークの演算に共通しているのだ。

だからGPUに特化してきたNvidiaは最初、ゲーム機やパソコンのゲームアクセラレータにGPUを使ってきた。割り込みを許さず、ひたすら超並列演算を可能にするGPUはゲーム機だけではなく、スーパーコンピュータの高速演算にも使えるということで、データセンターではCPU+GPUはセットで使われるようになってきていた。このような折りにGPUの並列演算は、AIのディープラーニング用のニューラルネットの演算にも使えることがわかり、NvidiaはAIに注力し始めている。

Intelもディープラーニング演算が自動物体認識だけではなく音声認識や文字認識などのパターン認識の演算に向け、GPUよりももっとフレキシブルにプログラムできるFPGAベンダーのAlteraを買収した上に、AI専門のNervanaやクルマ用ビジョンプロセッサのMobileyeを買収し、AIを強化してきた。AI強化はハイエンドコンピューティングとも共通する部分が多いため、Intelは汎用のコンピューティング半導体に力を入れていける。

(2018/04/27)

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