新年2025年早々の視点から:米中摩擦、中国関連、TSMC、半導体市場
年末年始、そして年明け早々の世界の半導体関連の動静に、まだ新年の静まった雰囲気の中での注目である。4つのキーワード、まずは引き続く米中摩擦である。中国製成熟ノード半導体まで米国の調査が入る動き、そして次期トランプ政権の始動の影響である。次に中国関連。不振が伝えられる経済情勢とともに、成熟半導体生産強化の一方で海外依存が依然高い状況がある。
そしてTSMC。最先端、特に2-nmのリードの推移に加えて、米国および我が国での工場展開状況である。最後に半導体市場の様々な切り口。AI(人工知能)関連需要が大きく牽引する市況が当面続く一方、DRAMおよびNANDメモリ価格の低下が見込まれており、広範な回復の足取りに目が離せない現況である。
≪世界の鼓動の始まりを控えて≫
「新冷戦」の局面の始まりとなったペンス米国副大統領(当時)の演説が2018年のこと、以来いろいろ応酬の経緯を伴って引き続く米中摩擦であるが、この年末年始も関連する動き&内容が以下の通りである。
◇中国、トランプ関税に備え 貿易の対米比率1〜11月最低 (12月31日付け 日経 電子版 02:00)
→中国の輸出入における対米比率が低下している。中国税関総署によると、2024年1〜11月の貿易総額(ドル建て)に占める米国の割合は11.2%で、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年以降で最低となった。通年でも最低となる見通しだ。24年1〜11月の貿易額に占める対米比率はピーク時の01年から4.6ポイント低下した。輸出は14.6%と01年以降で最低。
◇Huawei sanctions 2.0 in the cards with Trump back in office―Analysis: Huawei braces for renewed US sanctions (12月31日付け DigiTimes)
→国務長官にMarco Rubio氏、国家安全保障顧問にMike Waltz氏といったDonald Trump氏の新閣僚人事は、対中政策のより積極的な方向へのシフトを示唆している。これらの人事は、ファーウェイのような中国のハイテク企業により厳しい制裁を課すことに焦点を当て、トランプ大統領の第1期目に見られた強硬なアプローチに戻る可能性が高いことを示唆している。
◇Donald Trump’s ‘Maganomics’ will damage growth, economists tell FT polls―Economists see "Maganomics" as threat to US growth (1月2日付け Financial Times)
→フィナンシャル・タイムズ紙の調査によると、エコノミストたちはドナルド・トランプ次期米大統領の「マガノミクス」に懐疑的で、保護主義的な政策によって成長が損なわれる可能性があるとしている。投資家は楽観的だが、エコノミストはインフレとスタグフレーションを警告しており、連邦準備制度理事会(FRB)は金利に慎重な姿勢を示す可能性が高い。
◇U.S. Companies Vouched for China During Trump’s First Term. Not Anymore.―US companies wary of China amid economic challenges―Executives are more pessimistic about opportunities and see risks in advocating Beijing’s (1月2日付け The Wall Street Journal)
→かつては中国を金儲けのチャンスと見ていた米国企業も、中国の経済成長が鈍化し、景況が悪化するにつれて慎重になっている。多くの企業が事業を縮小したり、他国に投資機会を求めたりしており、中国と米国企業の利害関係が大きく変化していることを反映している。
半導体関連では、中国製の成熟ノード半導体の安値販売を警戒する米国の調査の動きがあり、今後に注目である。
◇Mature-Node Foundries Face Overcapacity from China ―China's chip overcapacity raises concerns for US economy (1月2日付け EE Times)
→1)EE Timesがインタビューした3人のアナリストのうち2人によると、2018年頃に最先端プロセス技術競争から撤退したチップファウンドリーが新たな脅威に直面している。
米国政府当局は、数カ月にわたって生産能力の急増に懸念を示してきたが、2024年12月23日、Biden政権が中国の不公正な貿易慣行と呼ぶものに対する調査を発表した。この措置は、中国のハイテク産業の進出を遅らせるために同政権が取ってきた一連の輸出規制・禁止措置に続くものである。
The Office of the U.S. Trade Representative(USTR:米通商代表部)は301条調査を開始し、「中国が成熟ノードチップの支配を狙い、米国経済に与える影響 」を調査している。
2)米国当局は、中国の成熟ノードチップのダンピングについて調査を開始した。アナリストらは、2018年以降の中国の生産能力増強により、ほとんどの成熟ノード需要を満たすことが可能になり、UMC、GlobalFoundries、STMicroelectronicsおよびTIなどの企業に課題を突きつけていると指摘している。
次に、その中国でも、それぞれ落ち着かない事態が以下の通りである。半導体は、米国の輸出規制で最先端に踏み込めない状況であり、成熟ノード半導体の増産の順調な推移が見込めるかに注目である。
◇Huawei’s Latest Premium Phones Use South Korean Memory Chips―Teardown: Huawei Mate 70 phones use SK Hynix memory chips ―Huawei’s latest Mate 70 flagship smartphone range continues to use memory chips from South Korea’s SK Hynix, teardown discovers (12月30日付け Silicon (UK))
→ファーウェイのフラッグシップスマートフォン「Mate 70」の最新ラインは、韓国のSKハイニックスのメモリーチップを引き続き使用していることが、teardownの結果判明した。
カナダの調査会社、TechInsightsによると、11月に発表されたMate 70 Proスマートフォンは、SKハイニックスの12ギガバイトの低消費電力モバイルDRAMと512GBのNANDチップを使用しているという。上位モデルのMate 70 Pro Plusは、同じNANDとSKハイニックスの16GB DRAMチップを使用しているという。
該モバイルNANDチップは、14ナノメートル製造プロセスと極端紫外線(EUV)リソグラフィーを使って製造された。これは、中国では販売が禁止されているが、韓国では許可されている装置を使った高度なプロセスである。
◇China struggles to build car chip supply chain to break free of heavy reliance on imports―China's EV boom spotlights reliance on foreign chips (1月1日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→1)Ministry of Industry and Information Technology(MIIT)の担当者によると、中国の自動車用チップの自給率は現在10%未満である。
2)中国の電気自動車(EV)生産台数は急増し、車載用チップの需要を生み出しているが、中国メーカーは依然として需要の90%以上を海外サプライヤーに依存している。政府は自動車メーカーに対し、今年までにチップの25%を国内で調達するよう促しているが、Infineon TechnologiesやNvidiaなどのグローバル企業が依然として市場をリードしている。
◇China’s yuan hits 2-year low, Asian currency pressure rises, as US dollar strengthens―China steps up yuan support as economic pressures rise (1月2日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→*中国の「緩やかな」金融政策は金利差をさらに拡大し、人民元をさらに緊張させる可能性があるとアナリストは予測する。
*ドナルド・トランプ大統領のホワイトハウス復帰が近づくにつれ、オフショア人民元は対米ドルで2年以上ぶりの安値水準まで急落しており、アナリストは、世界的な不確実性の高まりと新たな関税の脅威の中で、アジア通貨への圧力が長期化すると予測している。
そしてTSMCであるが、世界をリードする最先端ノードの推移とともに、米国および我が国での工場展開にやはり注目、以下の現時点である。
◇Arizona’s Tiny Taipei: How a Taiwanese Chip Factory Seeded a Community―TSMC's Arizona plant creates a new community (12月29日付け The New York Times)
→1)世界的なハイテク企業であるTSMCは、バイデン政権が資金援助した工場で働くために、アジアから何千人もの労働者をフェニックス郊外に呼び寄せた。フェニックスにある炒め物レストラン「Taiwan Bistro(台湾ビストロ)」は、近くに工場を構えるTSMCの従業員に人気がある。
2)TSMCは、CHIPS and Science Actの資金援助を受けてアリゾナ州にチップ工場を開設し、台湾人労働者とその家族のコミュニティの成長に種をまいた。TSMCは$6.6 billionの補助金を得ることになっており、該プロジェクトに$65 billionの拠出を約している。
◇Upcoming TSMC investor meeting to discuss company prospects, new US tariff policies (12月30日付け DigiTimes)
→TSMCの四半期投資家会議は2025年1月16日に予定されている。今後の経済見通しとともに、1月20日にドナルド・トランプ次期米大統領の就任式を控えていることから、同大統領が支持する高関税政策などがTSMCに与える潜在的な影響について市場の憶測を呼んでいる。
◇熊本県知事、TSMCに第3工場要請「最先端の半導体を」 (1月3日付け 日経 電子版 02:00)
→TSMC進出に沸く熊本県では、地域経済や台湾との人的交流が活発化している。副知事として受け入れ準備にも携わった木村敬熊本県知事は「さらなる世界最先端品の生産に向け、第3工場の進出もTSMCにお願いした」と話す。
最後に半導体市場の様々な切り口である。まずは、早く上昇を期待するメモリ半導体価格ではあるものの、厳しい様相の以下の内容である。
◇DRAM prices expected to decline in early 2025 impacting PC, server, and GPU VRAM markets―TrendForce: DRAM prices forecast to drop in Q1―The downward trend of DRAM prices is expected to continue next year (12月30日付け Tom's Hardware)
→DRAM価格が新年の第一四半期に低下する様相、TrendForceは、需要の低迷とDDR4の供給過剰を受け、PC向けDRAMの価格が8%から13%下落すると予測している。サーバー用DRAMは、DDR5への移行が進み、5%から10%下落するとの見通しである。
◇Q1 NAND prices to fall 10-15%―TrendForce: NAND prices to drop up to 15% amid high inventory (1月1日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForceによれば、第1四半期のNAND契約価格は、在庫水準の高まりと需要の悪化を背景に、10〜15%下落する。
2025年はどうなるか、以下いろいろな切り口の市場関連予測である。
◇25年はAIエージェントが働く アポも資料作成も自律的に (12月30日付け 日経 電子版 02:00)
→ビジネスを大きく変えるAI技術として「AIエージェント」が2025年に本格的に普及しそうだ。質問に答えるだけでなく、自律的に考えて人のサポートや仕事を代わりに務めることができる。米グーグルなどIT各社は競争の主戦場として、サービスを相次ぎ投入している。AIエージェントは生成AIに次ぐ進化の形とされる。
◇Industry Weighs in With 2025 Forecasts-Part 1: General Predictions―AI, chiplets and sustainability to shape 2025, industry says ―On this New Years Day, we share 2025 predictions from leading companies in our industry. (1月1日付け All About Circuits)
→Arm、Analog Devices、Alphawave Semihave、AMDなどの業界リーダー数名が、2025年の半導体とエレクトロニクスに関する予測を語った。特にエッジにおけるAIの役割の増大と、従来のシリコン設計の課題を克服するためのチップレットの採用が強調された。各社幹部はまた、脱炭素化と電力効率に焦点を当てた持続可能性の重要性も強調した。
◇Industry Weighs in With 2025 Forecasts-Part 2: Company Predictions―In part 2, we share predictions from a selection of companies on where they see themselves heading in 2025. (1月1日付け All About Circuits)
→2025年における貴社の方向性、市場、焦点について、どのような予測をお持ちか?
パート1の記事の質問に比べ、この質問に回答した企業は少なかった。しかし、ここには興味深い視点がたくさんある。
◇Outlook 2025: Tariffs, immigration cloud projections of strong economy―Experts expect slower economic growth in 2025 (1月2日付け The Bond Buyer)
→2025年の経済成長は鈍化すると予想されているが、必ずしも景気後退に陥るわけではなく、ほとんどの専門家はGDP成長率を2%前後と予測している。SIFMAのエコノミスト・ラウンドテーブルは20人のチーフ・エコノミストで構成され、今年の平均成長率を1.9%と予想している。ゴールドマン・サックスのDavid Mericle氏やムーディーズのMark Zandi氏のようなアナリストは、堅調なファンダメンタルズとインフレ率の低下を挙げているが、関税や移民の変更を含むトランプ次期政権による政策の不確実性がリスクとなっている。
これは予測には当たらず、まさに大問題。2-nm半導体の見方である。
◇2025’s Big Question―Chipmakers race to 2nm with varying success (1月1日付け Electronics Weekly (UK))
→1)第4四半期は、2025年のBig Question、すなわち、年末までに最高の2nmプロセスを実現するのはどこか?に答える興味深い四半期になるだろう。
2)TSMC、サムスン電子、インテルおよびラピダスは、2nmプロセス技術の実現に向けて競争しており、TSMCは2025年後半に量産を開始するゲート・オール・アラウンド(GAA)プロセスで60%の歩留まりを報告し、リードしている。サムスンとインテルは第4四半期の2nm生産を目指しているが、サムスンは歩留まりで苦戦しており、インテルは10%の歩留まりを報告している。ラピダスは4月に2nmプロトタイプチップをリリースし、年末までに商業生産を開始する計画だが、$25 billionの資金不足に直面している。
年初恒例のCES 2025(1月7−10日:Las Vegas)について、事前の見方である。
◇Will SK, Nvidia boast stronger AI chip ties at CES 2025?―Nvidia, SK Group and Samsung to spotlight AI at CES 2025 (12月31日付け The Korea Times (Seoul))
→ラスベガスで開催されるCES 2025では、主要ハイテク企業がAIの進歩と応用を紹介する。エヌビディアのJensen Huang CEOの基調講演では、特にSKハイニックスとサムスン電子が関与する新しいグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)とAIチップのサプライチェーンが強調されると予想される。SKハイニックスは高帯域幅メモリ(HBM)を展示する可能性が高く、サムスンはHBM顧客基盤の拡大を目指す。
LGとサムスンは家電製品におけるAIアプリケーションを実演し、SKグループはAIバリューチェーンへの貢献を展示する予定だ。
◇Intel and AMD will battle for gaming CPU supremacy at CES 2025―Intel, AMD to unveil gaming CPUs at CES 2025―AMD's Strix Halo is going to go head-to-head against Intel's Arrow Lake. (1月3日付け PCWorld)
→IntelとAdvanced Micro Devices(AMD)は、CES 2025で新しいプロセッサを発表する予定で、IntelはゲーミングノートPC向けのCore HおよびHX Arrow Lakeモバイルプロセッサを、AMDはモバイルゲーム向けのRyzen 9000X3DデスクトッププロセッサおよびStrix Haloチップを発表する。また、クアルコムはPCs向けのOryon CPUコアについて説明する可能性がある。
最後に、新たなステップアップを迫られるとされるSamsungについて、次の記事が見られている。苦境が伝えられるインテルとともに、今後に注目するところである。
◇サムスントップ、韓国政治に翻弄 大統領弾劾よぎる悪夢―サムスンは生き残れるか(1) (1月2日付け 日経 電子版 05:00)
→韓国のサムスン電子が停滞期に入った。半導体や電子機器などの主力事業で中国企業に追い上げられ、新たな成長モデルを生み出せていない。もがく巨大企業の実態を描いた書籍「サムスンは生き残れるか 逆境の韓国経済」(1月10日発売)から、主なエピソードを4回連載で紹介する。
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いろいろ波乱要因が見え隠れして、スッキリ断定といかないこの新年であるが、着実なステップアップに向けた足取りに引き続きの注目である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□12月31日(火)
年末年始にまたがるこの週、下落が続いたが、最後の1月3日に上昇に転じた米国株式市場である。
◇NYダウ続落で始まる、一時700ドル超安 ボーイング下落 (日経 電子版 01:02)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落して始まり、午前9時40分現在は前週末比573ドル86セント安の4万2418ドル35セントで推移している。ハイテク株を中心に幅広い銘柄に売りが出て、指数を下押ししている。年末で取引参加者が少なく、値動きが大きくなっている。ダウ平均の下げ幅は700ドルを超える場面がある。
トランプ次期米大統領が掲げる関税引き上げや米国内の規制緩和・減税などがインフレ再燃につながるとの警戒が根強い。
強まる一途の米国ドル、対して日本円の弱まりである。
◇Dollar Gains as Fed Rate-Cut Rethink Fuels Best Year in Nine―Dollar posts biggest annual gain since 2015―Fed’s slower pace of interest-rate cuts to aid the dollar―Many Trump policies will be dollar bullish early 2025: TD (Bloomberg)
→米ドルは昨年、好調な経済とドナルド・トランプ次期大統領の税制・関税政策への期待から、2015年以来最大の年間上昇率を達成した。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、ドルが主要通貨に対して上昇し、8%上昇、ニュージーランド・ドル、ノルウェー・クローネおよび日本円が最も弱くなった。
□1月1日(水)
◇NYダウ3日続落、29ドル安 年間では13%高 (日経 電子版 07:27)
→12月31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比29ドル51セント(0.06%)安の4万2544ドル22セントで終えた。米長期金利が上昇(債券価格は下落)し、相場の重荷となった。一方、消費関連やディフェンシブ株の一角などには値ごろ感を意識した買いが入り、相場を下支えした。
□1月3日(金)
◇NYダウ4日続落、151ドル安 Apple一時3%安 (日経 電子版 07:36)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、祝日前の前営業日に比べ151ドル95セント(0.35%)安の4万2392ドル27セントで終えた。下げ幅は360ドルを超える場面があった。アップルなど主力株の一部が下落し、投資家心理の重荷となった。半面、経済指標が米景気の底堅さを示したことは相場の支えとなった。
□1月4日(土)
◇NYダウ5日ぶり反発、300ドル高で推移 自律反発に期待 (日経 電子版 05:28)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、15時現在は前日比307ドル96セント高の4万2700ドル23セントで推移している。前日まで主要な株価指数の下落が続いた後で、主力株の一部に自律反発期待の買いが広がっている。
ダウ平均は前日までの4営業日で930ドルあまり下落し、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前日まで5日続落していた。
≪市場実態PickUp≫
【自動車市場関連】
米国・Teslaと中国・BYDの対比である。
◇BYD世界販売4割増の427万台 24年、PHV刷新寄与 (1月1日付け 日経 電子版 20:45)
→中国の自動車大手、BYDは1日、2024年の世界での新車販売が23年比41%増の427万2145台だったと発表した。24年はプラグインハイブリッド車(PHV)向けの技術を刷新し、新車に搭載したことでPHV販売が7割増加した。25年は500万台の大台が視野に入る。
BYDはEVとPHVのみを販売している。
◇テスラの世界販売が初の減少、24年1%減 中国BYDが肉薄 (1月2日付け 日経 電子版 23:42)
→米EV大手のテスラが2日発表した2024年(1〜12月)の世界販売台数は前年比1%減の178万9226台だった。年間販売がマイナスとなるのは販売実績を公表して以降初めてとなる。中国の比亜迪(BYD)の24年のEV販売はテスラを下回ったが、10〜12月期では約1年ぶりにテスラを超えた。
【韓国関連】
半導体関連のデータおよび取り組みに注目している。
◇輸出$683.8 billionで過去最大にも笑えない韓国…問題は今年 (1月2日付け 韓国・中央日報)
→昨年の韓国の輸出が過去最高の実績を収めた。輸出は過去最大を、貿易収支黒字は6年ぶりの高水準を記録した。こうした実績にも財界の表情は明るくない。今年は険しいことが予想されるからだ。
関税庁と産業通商資源部によると、昨年の輸出は前年より8.2%増加した$683.76 billionで過去最大を記録した。2022年に$683.585 billionで立てた従来の記録を2年ぶりに更新した。世界的な高金利・高物価と、ロシアとウクライナの戦争など地政学的不安の中でも成果を上げた。
韓国のドル箱輸出品目である半導体が好調だったおかげだ。昨年の半導体輸出は前年より43.9%増加した$141.9 billionを記録した。2022年に立てた過去最大の$129.2 billionを2年ぶりに更新した。昨年10−12月期に中国の低価格攻勢により汎用メモリー半導体価格が下落する悪材料が発生したが、DDR5や広帯域メモリー(HBM)など高付加価値品目の輸出が拡大し半導体輸出の好調が続いた。
◇South Korea invests US$24.79 million in 48 next-gen chip R&D projects―South Korea investing $24.8M in next-gen chip projects (1月2日付け DigiTimes)
→韓国産業通商資源部が、2025年までに48の次世代半導体R&Dプロジェクトに資金を提供するためのKRW364 billion($24.79 million)の投資を発表している。このイニシアチブは、Processing-In-Memory(PIM)チップ、先端パッケージング、on-device AI半導体、システム半導体およびcompound power半導体に焦点を当てている。
【台湾発の記事から】
2024年最終週の半導体関連の動きについて、台湾のDigiTimesが以下の通り取り出している。
◇Weekly news roundup: global semiconductor shifts deepen as US probes China's chip sector, Taiwan eyes AI boom―Semiconductor Week in Review(12月22日-12月28日): (12月30日付け DigiTimes)
→今週半導体は、米国が中国の炭化ケイ素(SiC)チップ支配の調査を開始する一方、国内メーカーを後押し、ChangXin Memory(CXMT)がグローバルメモリメーカーに挑戦するDDR5生産を開始、そして台湾企業がcloud AIチップブームに位置付けるなど、大きな変化が見られた。格力電器(Gree Electric)のような伝統的な中国メーカーがチップに意外な転身を遂げ、技術競争が激化する中で業界が急速に進化していることを浮き彫りにした。
*US launches probe into China's silicon carbide chip dominance amid domestic industry struggles
→米中ハイテク競争激化を強調する重要な動きとして、米国政府は中国の炭化ケイ素(SiC)半導体製造に対する301条調査を開始した一方、実質的な資金パッケージを通じて国内生産者への支援を強化する。
*Chinese memory maker begins DDR5 production, challenging global rivals
→ChangXin Memory Technologiesは、80%の歩留まり率でDDR5メモリチップの量産を開始した。これは、中国が先進的なDRAM製造に初めて参入したことを示すもので、サムスン、SKハイニックス、およびマイクロンが支配する市場を破壊する可能性がある。
*Biden's chip scrutiny may reshape global semiconductor landscape
→米国は、半導体業界の緊張が高まる中、中国の成熟プロセスチップに対する監視を強化、米国の大手PCメーカーはサプライチェーンから中国設計の部品を排除するよう促し、IC設計企業は戦略の適応を余儀なくされている。
*Chinese appliance makers, shoe firm make unexpected pivot to chip sector amid US curbs
→米国の貿易制限に対抗するため、中国の伝統的なメーカーが半導体業界に驚くべき進出を果たしている。家電大手の格力電器(Gree Electric)、履物メーカーの澳康国際(AoKang International)、およびレアアース企業家の朱世慧は、さまざまな投資や買収を通じて、チップ分野の意外なプレーヤーとして浮上している。
*Gree claims chip independence as Chinese appliance maker ships 200 million units
→中国の大手エアコンメーカーである格力電器(Gree Electric)は、半導体ベンチャーの重要なマイルストーンを達成、董明珠会長によると、政府資金なしで2億個近い自社開発チップを出荷した。
*China's mature chip push raises global market disruption concerns
→中国の成熟した半導体製造における積極的な拡大は、多額の国家投資に支えられ、成功したソーラーパネル戦略の脚本を踏襲したものであるが、米国の輸出規制にもかかわらず、潜在的な市場の混乱に対する懸念が高まっている。
*Taiwan IC firms eye cloud AI ASIC boom amid market expansion
→クラウドサービスプロバイダーやAI企業がカスタムチップに対するかつてない需要を牽引するなか、台湾のIC設計者は今後3年間で、拡大するクラウドAIおよびASIC市場の一角を占めるべく、自らを位置づけている。
【インド関連】
上と同じく台湾のDigiTimesが、このところのインドにおける動きについて以下の通り取り出している。半導体の一大新興圏を目指すインドには、やはり注目するところである。
◇India roundup: SEMI plans Indian Semiconductor Academy to power country's chip dreams (12月30日付け DigiTimes)
→SEMIが計画しているSemiconductor AcademyおよびMindgrove TechnologiesのUS$8M RISC-V資金調達のような取り組みにより、インドの半導体意欲が勢いを増している。Marvell社およびSynaptics社は、VLSI conferenceおよびそれ以降でインドの可能性を強調、一方、Wistron社、Sunnic社およびMicromax社は、AIおよびチップ革新を支える投資、多角化およびパートナーシップを通じて現地能力を強化している。
*SEMI plans Indian Semiconductor Academy to power country's chip dreams
→SEMIは、インドが世界的な半導体大国になるための野心的な旅に出るにあたり、インドの重要な人材パイプラインの育成を強化している。
*India RISC-V startup secures US$8 million, plans mass-producing first MCU by 2025
→インドを拠点とするIC設計会社、Mindgrove Technologiesは、$8 millionの資金を確保し、インド政府のdesign-in-Indiaイニシアチブの中で、RISC-V製品の商業化を目指す。
*Marvell highlights India's semiconductor growth ahead of VLSI conference
→インドの半導体業界は来月ベンガルール(Bengaluru)で開催されるチップ設計、研究、および技術革新の進歩を紹介する旗艦イベント、第38回VLSI Design Conferenceに参加する。
*Synaptics to assemble chips in India by 2027 as part of diversification strategy
→米国のチップ設計会社シナプティクス社は、サプライチェーンを多様化し、中国への依存度を下げるため、2027年までに少なくとも10%のチップをインドで組み立て、パッケージングすることを目指している。
*Wistron expands global footprint: new investments in US, Vietnam, and India
→世界的なプレゼンスを強化する戦略的な動きとして、ウィストロンの取締役会は2024年12月20日、米国テキサス工場の大規模改修、ベトナムでの新工場建設、およびインドでの追加設備投資など、複数の海外投資プロジェクトを承認した。
*Sunnic expands CIS business in India, diversifies into AI services
→ICディストリビューターのSunnic Technology & Merchandise社は、インドでCMOSイメージセンサー(CIS)事業を拡大する一方、無人オートメーションやスマートヘルスケアソリューションに焦点を当てたサービス事業に多角化している。
*Micromax partners with Taiwan-based Phison to form MiPhi, advancing India's AI vision
→インドを拠点とする家電ブランド、Micromax Informatics社は、台湾を拠点とするNANDコントローラーとストレージのプロバイダーであるPhison社と提携し、MiPhiを設立した。
*Tata Group to create 500,000 manufacturing jobs in EMS and semiconductor foray
→タタ・グループの従業員に対する年末のメッセージの中で、N Chandrasekaran会長は、インドに味方する世界的なサプライチェーンシフトに後押しされ、インド経済における製造業の変革的な影響力を強調した。
【Nvidia関連】
AIを大きく引っ張るNvidiaには、本年も引き続きの注目、年末年始の動きから以下の通りである。
◇Nvidia to open-source Run:ai, the software it acquired for $700M to help companies manage GPUs for AI―Nvidia will open-source Run:ai following $700M acquisition (12月30日付け VentureBeat)
→Nvidiaは、AI向けグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)のクラウド・オーケストレーションに特化した企業であるRun:aiの$700 millionの買収を完了し、AIインフラ管理を強化するためにソフトウェアをオープンソース化する。Run:aiの創業者であるOmri Geller氏とRonen Dar氏によると、この動きはAIのエコシステム全体でソフトウェアの可用性を拡大し、柔軟性と効率性を高めるという。
◇GPU juggernaut targets AI efficiency with latest acquisition (12月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→この売却は、欧州連合(EU)が「この取引は欧州経済領域における競争上の懸念を生じない」と合意した後に行われた。
◇GB200 NVL shipments expected to accelerate amid KYEC's capex increase (12月30日付け DigiTimes)
→みずほのレポートによると、GB200 NVLの出荷は、ボトルネックのために当初は生産量が少なかったものの、2024年後半の予定に間に合いそうだという。みずほの予測は、AIチップの需要増に対応して設備投資の増額を発表したKing Yuan Electronics(金元電子)の最近の動向に基づいている。GB200の生産は2024年を通じて加速すると予想されている。
◇Leaker claims Nvidia RTX 5090 mobile could offer 24GB of memory - Nvidia expected to employ 3GB GDDR7 modules to increase VRAM capacities on the same 256-bit interface―Nvidia RTX 5090 mobile rumored to feature 24GB of GDDR7―50% more memory than the RTX 4090 mobile. (1月2日付け Tom's Hardware)
→Nvidiaの次期RTX 5090モバイルグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)は、24GBのGDDR7メモリを搭載する可能性があるとのリークがあった。該RTX 5090モバイルは、RTX 5080デスクトップ版と同様に、GB203 GPUダイと256ビットインタフェースを使用すると予想されている。
【係争について和解】
IBMとGlobalFoundriesには、半導体製造技術に関する複数の訴訟案件があったが、この年始めに包括的な和解に達したことが発表されている。この和解により、契約不履行、営業秘密、知的財産権に関する全ての係争が終結することとなったとされている。
◇GlobalFoundries, IBM resolve litigation from 2015 tech transfer deal―IBM, GlobalFoundries resolve disputes with settlement―Two companies say in joint announcement that the settlement could pave way for future collaboration again (1月2日付け Times Union (Albany, N.Y.))
→IBMとグローバルファウンドリーズは、契約違反と企業秘密の不正使用の疑いに関わる訴訟で和解した。和解条件は極秘だが、両社はこの和解により新たな協業が可能になるとしている。両社は共同声明で、「この和解は、現在進行中の法的紛争の終結を意味し、両社が相互に関心のある分野における新たな協業の機会を模索することを可能にする」と述べた。
◇IBM, GlobalFoundries settle lawsuits over contract, trade secrets (1月2日付け Reuters)