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東芝の半導体、350名をリストラ、システムLSIで何が重要か

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東芝デバイス&ストレージ社が早期退職優遇制度を利用して350名の人員を削減する。2019年9月末までの退職を前提として準備が整い次第、順次募集を始める。これまでも東芝エネルギーシステムズ社と東芝デジタルソリューションズ社で昨年11月に早期退職を実施、2019年3月末までに823名が応募した。2018年度決算説明会で明らかにした。

図1 2018年度決算説明会での東芝代表執行役会長CEOの車谷暢昭氏

図1 2018年度決算説明会での東芝代表執行役会長CEOの車谷暢昭氏


今回の早期退職募集は、昨年11月に発表した「東芝Nextプラン」を達成するため、システムLSI事業の市況変動に対する適応力強化と安定事業化に向けた諸施策の追加の一環となる。デバイス&ストレージ社によれば、早期退職制度に加え、車載・産業市場にもっとフォーカスするとしている。画像処理プロセッサViscontiを主体としたデジタルIC、マイコンのラインアップ強化、モータ制御ICなどのアナログICに集中するというが、これではルネサスエレクトロニクスとの違いが判らなくなる。

ちなみにデバイス&ストレージ社の半導体部門の売上額は前年比1%減の3549億円となり、営業利益はわずか2億円で営業利益率は0.1%という惨敗だった。HDD事業その他は5%増の5460億円で、営業利益は112億円とさほど良くない。半導体事業では、ディスクリートのスマホ向け小信号トランジスタは販売減だが、車載向けパワー半導体は増収である。さらにシステムLSIは中国市場の後退で減収という。

今回のリストラは、売り上げと事業規模に見合った人員体制の構築のために行う。対象となる早期退職者は、システムデバイス事業部、共通スタッフ、営業部門、およびこれらの部門の一部子会社に在籍する者としている。この人員削減で発生する費用として、約64億円を見込んでいる。

東芝の経営陣は、システムLSI事業のリストラはこれで終わり、と述べていたが、この先のシステムLSI事業に対する不安材料は、実はある。半導体経営陣のシステムLSIに対する認識である。ViscontiをデジタルICと定義しながら、ロジックLSI事業では顧客価値の高い製品を開発するとしており、デジタルICとロジックLSIの違いを説明していない。また、システムLSIとは何をもってそう呼ぶのかについても説明していない。

これらをきちんと定義していなければ、ハードウエアとソフトウエア(ミドルウエアやアルゴリズム)、さらにはプラットフォームを定義できず、コスト競争力を失うリスクがある。ハードとソフトのどこにどれだけ投資すべきなのかを理解していない恐れがあるからだ。また、何のためにプラットフォームが必要なのかを理解していない経営者もいる。東芝はメモリを持っていたために競争力を保つことができたが、メモリを捨てた日本の半導体メーカーがことごとく失敗したのは、まさに投資すべき対象を見誤ったためである。かつて、ディスプレイドライバをシステムLSIと呼んでいたメーカーがあり、システムLSIにおけるソフトウエアの重要性を全く認識していなかった。

5月13日に本社で開催された決算説明会では、半導体ビジネスがもはやハードウエアのビジネスではなくなっていることに気がついていない役員の発言が多かった。いまだに半導体事業はハードという認識だった。だから不安が残る。

(2019/05/14)

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