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世界の半導体市場、2024年は回復基調、本格的回復は2025年に

世界の半導体市はが2024年は前年比16%増の6112.3億ドルに成長するという見通しをWSTS(世界半導体市場統計)が発表した。2025年にはさらに12.5%成長し、6873.8億ドルになると予測した。WSTSに加盟する半導体メーカーは48社、抜けている企業は推察して世界の半導体市場としている。

2024 Forecast Summary / WSTS

図1 2024年と2025年の見込み 出典:WSTS


2023年も結局は、1桁%のマイナスで済み前年比8.2%減に収まった。これを経時変化的に追いかけてみると予想には人間の感情が加わっていることがわかる。2022年は好調だったが、23年はマイナスになりそうだという傾向がみられ、22年11月には23年を-4.1%と予想していた。ちょうど11月に前年と比べて毎月100億ドルもの急激な販売額の低下があり、これが7カ月間続いたため、23年6月には-10.3%と予測した。しかし実際には23年6月ごろから、前年との差額は30億ドル程度と、急激に縮まり、9月には単月でプラスに転じた。そこで23年11月に発表された数字は-9.4%と6月の発表値よりは緩和された。そして実際には-8.2%で収まったという訳である。

こういった経過を見ている限り、マイナスになりそうだというときは比較的緩いマイナスを予想し、マイナスになったときは予想以上にマイナスになると感じていたことが人間の心理を物語っている。だからこそ、数字の一人歩きには注意すべきであろう。

さて、2024年に伸びそうな製品を見てみよう。最も大きく成長しそうなのはやはりメモリである。前年比76.8増の1631.5億ドルになると予想している。前年が極めて悪くメモリ全体で28.9%減の922.9億ドルにまで下がったためにその反動は大きい。次に大きいのはロジックで、同10.7%増の1976.6億ドルが見込まれている。前年もロジックは同1.1%増であり、それほど凹んでいなかった。これは、パソコンとスマートフォンという2大半導体市場が良くなかったものの、生成AIでAI向けのロジックが成長したことでロジック(SoC)全体でマイナスには至らなかった。

また、2024年はIC全体としては20.8%増が見込まれているが、ディスクリートとセンサ(特にMEMSなどを利用する機械的なセンサ)がそれぞれ-7.8%と-7.4%であるが、光エレクトロニクス製品(LEDやレーザー、CMOSセンサなど)は-1.0%で済んでいる。

ディスクリート部品の7~8割はパワー半導体だと言われているため、その売り上げはまだ回復途上にあると見て良いかもしれない。またパワー半導体の多くは産業用途であり、民生用は少ない。このため産業用の回復がまだ遅れている、と今の時点でWSTSは見ているのであろう。

一般的に調査会社の多くは2024年に全面的に回復するというよりも2025年に本格的に回復すると見るところが多いため、25年に期待しているように思える。WSTSも同様で、今よりも12.5%増になると見込んでおり、全ての製品分野でプラス成長が見込まれている。ちなみに2025年の世界半導体販売額は6873.8億ドルと見込まれており、1ドル=150円とすると、103兆円となり、100兆円の大台にのることになる。

(2024/06/07)
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