DIMMよ、さらば、Micronが新型メモリモジュールLPCAMM2をサンプル出荷
いよいよメモリモジュールで性能や消費電力が律速される時代がやってきた。長い間、標準となってきた、ソケットに挿し込むタイプのDIMM(Dual Inline Memory Module)やSO(Small Outline)DIMMの交替時期に差し掛かる。これからのAIパソコンやさらなる高性能・低消費電力が要求されるコンピュータ向けに押さえつける接続方式のCAMM(Compression Attached Memory Module)をMicronがサンプル出荷した。
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図1 Micronが提案する新型メモリモジュールLPCAMM2 出典:MicronTechnology
CAMMタイプのメモリモジュールカードは、コンピュータメーカーのDellが提案したもので、今回Micronが提案するのは、その第2世代版でLP (Low Power) CAMM2と呼んでいる。すでに重要顧客の評価を受けている最中で、「この評価が終われば量産に入る。我々には自信がある」と同社Compute Products GroupのVP兼ジェネラルマネージャーの Praveen Vaidyanathan氏はオンライン会見で述べている。
新しいメモリモジュールLPCAMM2は、LGA(Land Grid Array)のメモリチップの端子を専用コネクタに直接圧接、それをマザーボード配線と接続する。マザーボードのメモリ部分の配線をし直す必要はあるが、従来のSODIMMの体積(32,808mm3)と比べ、64%削減された体積(11,934mm3)になり、ボードスペースを減らすことができる。
図2 新しいLPCAMM2モジュールパッケージはLGAベースの端子でありコネクタとは圧着する 出典:Micron Technology
従来のDIMMではソケットからのリード配線が長くなり、配線のインダクタンスやキャパシタンスなどの寄生効果が効いてくるため、性能向上や消費電力低減には限界があり、これからのAIパソコンなどでは性能・消費電力では厳しかった。今回のLPCAMM2では、配線長が短く寄生容量やインダクタンスを削減できるため、性能は向上し消費電力は下がる。
この新型モジュールは、従来のDDR5 SODIMMと比べ、体積削減に加え、消費電力が57~61%削減され、性能は、ウェブブラウジングやビデオ会議などのPCMark 10の基本的なベンチマークテスト において最大15%向上したとしている。
Micronのニュースリリース(参考資料1)には、パソコンメーカーのLenovoと、マイクロプロセッサのIntel、EMSのCompalのそれぞれのコメントが載っており、これらのメーカーが同サンプルを評価しているのではないか、と容易に想像できる。
参考資料
1. "Micron First to Market with LPDDR5X-based LPCAMM2 Memory, Transforming User Experiences for PCs", Micron (2024/01/09)