チュートリアルスピーカー

加納 学 氏

加納 学 氏 准教授
京都大学大学院工学研究科化学工学専攻

Biography

1994年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了。同年同助手。1999年京都大学博士(工学)取得。2004年同助教授となり、現在に至る。
品質改善のためのプロセスデータ解析、プロセス制御、マイクロ化学プロセスに関する研究に従事。
計測自動制御学会論文賞武田賞、技術賞、制御部門パイオニア技術賞、教育貢献賞、化学工学会奨励賞内藤雅喜記念賞、日本鉄鋼協会計測・制御・システム研究賞等を受賞。

Presentation Title

あなたの職場で仮想計測技術は役に立っているか? − プロセスデータ解析の正しい使い方

Abstract

半導体産業においては、バーチャルメトロロジーが生産性向上に不可欠な技術となっている。しかし、装置特性が経時変化すること、特に装置メンテナンスに際して装置特性が急激に変化すること、工程数が膨大であること、さらに各工程に多数の装置が用いられていること、しかも装置ごとに微妙な違いがあることなどが、バーチャルメトロロジーの安定運用を難しくしている。実は、半導体以外の産業でも、状況は酷似している。例えば、化学、製薬、鉄鋼産業などでは、バーチャルメトロロジーではなく、ソフトセンサーあるいは仮想計測という言葉が用いられるが、構築したモデルのメンテナンスが最重要課題として認識されている。

統計的な方法で仮想計測を実現する場合、装置から得られる測定データを正しく解析することが決定的に重要であることは言うまでもない。このプロセスデータ解析には、外れ値の検出、測定ノイズの除去、モデル構築手法の選択、入力変数の選択、モデルの構築と評価など様々な要素が含まれる。問題は、あなたの職場でプロセスデータ解析が正しく使われているかどうかである。自信を持って「はい」と答えられるだろうか。必ずしもそうではないのではないかと思う。

本講演では、プロセスデータ解析の基本を復習するとともに、外れ値の検出や入力変数の選択について、半導体産業ではあまり活用されていないかもしれない方法を紹介する。さらに、モデルのメンテナンスという課題を解決するための1つのアプローチとして局所PLSに着目し、その産業応用事例を紹介する。