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今年の後半を占う市場調査レポートを発行

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今年後半の半導体市場はどう見ればよいのだろうか。半導体メーカーの販売額を集計しているWSTS (世界半導体市場統計) の発表によれば、5月までの半導体販売額は25ヵ月連続プラス成長である。その一方で、2週間ほど前には、市場調査会社のガートナーが年初予想の5.4%増から2.2%増へと下方修正した。一体どちらの数字を信じたらよいのだろうか。

二つの相反するデータをにらみ、さらにこれまでのさまざまな市場調査会社の数字を見比べ、これまでの実績データと照らし合わせる。不明な点は取材する。セミコンポータルは地味なデータ収集作業を続け、今年の半導体産業界の見通しを立てた。それを「半導体市場レポート 2015年7月版」として発行する。

これまでは、「エグゼクティブサマリーレポート」という紙媒体を年に2回発行してきた。ここに掲載した記事の多くは、半年間の記事を収集したものだが、「特集●20xx年の半導体市場展望」だけはオリジナルに書き起こした。ただし、紙媒体には紙面の制約があり、特集を全て掲載することができなくて、行数調整が必要だった。内容によっては2ページ単位で増減する必要もあった。

電子ファイルであれば、行数調整を気にすることなく、レポートを書くことができる。前回の「エグゼクティブサマリーレポート 2015年2月号」では、「特集●2015年の半導体市場展望」記事は8ページ立てであったが、今回の電子ファイル(pdf)は、20ページ構成の記事に仕立てた。

電子ファイルだと、インターネット上にある情報を引用するのにURLでハイパーリンクができるようにしておけば、すぐにその資料を見ることができる。使う上での利便性は上がった。

この「半導体市場レポート 2015年7月版」では、半導体市場を推定するのに必要な応用市場の動向をしっかりと捉え、半導体デバイスの市場動向を求めた。それを元に半導体製造装置市場の動向をつかんだ。この作業のために必要な市場調査会社に取材し、資料を読み、市場動向を分析した。7月中旬に発表された最新の企業の業績も加味し、景気感を読む。

今回の作業を通じて、年初予想した4〜6%成長にほぼ間違いないと確信した。成長率に関しては、さまざまな市場調査会社によって大きく異なる。Gartnerは2.2%、WSTSは3.4%と予測し、他の調査会社は5.5%あるいは6%という数字もある。これまでのジャーナリスト・アナリストとしての経験から、市場予測の数字の信頼性は±1%程度あると考えている。当たるとか当たらないというレベルになると、細かい市場環境や突発的な経済状況、政治状況などいろいろな要素が加わるため、成長率の絶対値は意味のある数字ではない。むしろ、動向として捉えていただくことがよろしいかと思う。

動向(トレンド)として捉え、技術の流れをつかむことで、自社の進むべき道が市場の方向と合っているかを確認し、自社の生産能力と照らし合わせる。「感」だけでビジネスはできない。かといって100%明確になるまで判断を伸ばすようでは他社に負ける。ある程度、確率的な要素を含ませた上で戦略を社内で決める。決めたら社長がトップダウンで決めた戦略を社員やメディアに伝える。市場調査はあくまでも企業の戦略を決める場合の支援材料である。だから数字の絶対値に重きを置いてはなるまい。ただし、調査レポートなしで市場を理解することは無理であろう。このレポートが企業運営を進める上でお役になれたら幸いである。


2015年後半の半導体市場展望
(1) WSTSの成長率は低め
(2) 調査会社のさまざまな成長率
(3) スマホが相変わらず市場をけん引
(4) 中国市場でスマホが変調
(5) ファブレットが望まれている
(6) メモリは調整あっても伸びる
(7) メモリ以外の有望な半導体
(8) 製造装置も7%成長に下方修正
(9) リファービッシュ装置が急成長
(10) 絶好調のTSMCが示唆する後半
(11) 参考資料 16件

入手はこちらから。

レポートの価格は良心的な値付けにした。セミコンポータル会員は6,480円、非会員は9,720円(ともに消費税込)。

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