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ロジック・アナログ・パワーは底打ちから上昇へ!!〜米国半導体は復活ののろし

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メモリ半導体が低迷する中にあって、ロジック半導体は底を打ち、かなりの上昇気運に乗り始めた。そしてまたアナログ半導体も堅調に伸び始めており、パワー半導体は車載の引き合いがすごいことから2019年は15%増以上になるとみられる勢いである。

半導体景気を占うフィラデルフィア半導体指数は2019年2月21日、前日比で一時1.5%上昇し、2018年10月3日以来の高値となった。2018年12月24日に付けた直近の安値から28%上昇し、同年3月に記録した過去最高に迫っているのだ。これを観ても今回の市況後退は一時的なリセッションであり、言うところのシリコンサイクルの谷間に落ち込んでいるとは決して言えないのだ。

問題は価格が急降下し在庫調整もまだ進まないメモリ半導体であるが、ここに来て大手装置メーカに対してSamsung、東芝、Micron Technology、SK Hynixなどから打診程度のオファーは入り始めているという。「装置の発注から納期まではどのくらいかかるか」、「この機種についての在庫の台数はどのくらい」程度の、まだまだ弱い打診であるが、動き始めるかすかな光は射してきた。今のところ、メモリの本格復活は6〜9月くらいと思われるが、Samsungからは4月納入を決めている工場もあるという。

さてロジック復活の先頭に立つのは、もちろん米国の雄、Intelである。同社の2018年通期のトータルセールスは、年初計画の650億ドルを大幅に上回る708億ドル(前年比13%増)となった。18年第4四半期売り上げは187億ドルであり、Samsungの165億ドルを抜いて業界トップとなった。こうなれば、2019年末にはSamsungから世界王座を奪還する可能性も十分にあるとみてよいだろう(編集室注)。

IntelだけではなくAMDも絶好調であり、FPGA系も回復基調、しかしスマホ向けをメーンとするQualcomm、Nvidiaなどはまだ上昇の兆しが見えてこない。ロジック好調の背景にはサプライズな出来事としてパソコンが再び伸びてきたことがある。スマホゲームに飽き足らず、パソコンでもっとハイエンドのゲームをやりたいという若者たちが増えている。そしてまたVR、ARの世界に入りたい人たちもパソコンを買い始めた。

アナログ半導体の大半、Analog Devicesも絶好調だ。同社の2〜4月期売上高予想は15億ドルで市場予想に一致しており、2月21日付株価は前日比1.5%上昇し2017年10月以来の高値となっている。これを皮切りにほかのアナログメーカーも順調に売り上げを伸ばしてゆくだろう。

パワー半導体はこの先数年にわたって二桁成長を続けることは確実だろう。ハイブリッド車、EV、燃料電池車など次世代エコカーには大量に採用されるわけであり、データセンター、ロボット、鉄道、エアコンなどへの搭載数も増えてくる。2019年は15%増が期待され数年先には3〜4兆円の大型市場を形成していく勢いなのだ。三菱電機、富士電機、東芝、ローム、新電元工業、サンケン電気などの日本勢はパワーで世界シェア50%以上を持っており、今後大型投資に踏み切るのは間違いのないところだ。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉


編集室注
市場調査会社のIC Insightsは2019年の半導体産業は、IntelがSamsungを抜いてトップになると予想している。
http://www.icinsights.com/news/bulletins/Intel-Expected-To-Recapture-1-Semi-Supplier-Ranking-In-2019/

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