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Micronが広島工場に数十億ドルを投資する理由

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世界の半導体企業の中で2018年第4位になったMicron TechnologyがDRAMの生産量を増強する。広島工場(旧エルピーダメモリ)に新たな投資を行い、工場の拡張を進めているが、このほど拡張された新棟と、これから着手する建屋について明らかにした。Micronはこれから広島工場への投資と人員採用を継続していくことをコミットしている。

図1 Micron Technologyの広島工場で稼働し始めた新棟

図1 Micron Technologyの広島工場で稼働し始めた新棟


これまでMicronはエルピーダから買った広島工場にあまり投資をしてこなかったという声をよく聞かされた。Micronが日本のエルピーダに働く社員や企業文化を長い年月をかけてようやく理解し、納得するようになった。今回、記者だけに工場の一部を見せたのではなく、製造装置メーカーや材料メーカーなどサプライチェーンやユーザーを含めて招待し、工場拡張の記念オープニングイベントを開催した。

これまで現実には、20億ドル超を投資してきたと同社社長兼CEOのSanjay Mehrotra氏(図2)は言う。雇用に関しても、Micronがエルピーダを買収して以来、マイクロンメモリジャパン全体で800名を新規採用し、現在3000名を超える社員を抱えるようになった。Micronが今回の広島工場を、「先端技術DRAMのCenter of Excellence」と位置づけ、日本をDRAM開発の拠点としている。今後も3年間で500名を新規に採用する予定だという。

図2 Micron TechnologyのSanjay Mehrotra CEO

図2 Micron TechnologyのSanjay Mehrotra CEO


さらに英語が苦手な日本人のための英語研修にこれまで500万ドルを投資してきたという。加えて、彼らが重視するのは女性のエンジニア。2019年4月に新たに採用した400名の内、女性社員が30%、さらに外国人も30%を占めたという。グローバルな多様化(diversity:ダイバーシティ)した戦略を進め、単なる女性の数を増やすだけではなく、Micronにおける女性のキャリヤパスが見えるような会社にしたいとMicron TechnologyのGlobal HR Business Partner VP中西詩絵氏(図3)は言う。「日本一、女性が働きやすい職場を目指す」とマイクロンジャパン社長の木下嘉隆氏(図3)は力説する。


図3 Mehrotra CEOの左が木下社長、右隣りはGlobal OperationsのEVPであるManish Bhatia氏、右端がGlobal HR Business Partnerの中西氏

図3 Mehrotra CEOの左が木下社長、右隣りはGlobal OperationsのEVPであるManish Bhatia氏、右端がGlobal HR Business Partnerの中西氏


この2年間、2017年~2018年、Samsungを筆頭とするDRAMメーカーは、その生産量をほとんど上げずに単価の値上がりだけで済ませてきた。Samsungは営業利益がなんと70%まで達したほどの儲けすぎを享受しても増産しなかった。まさにメモリバブルだった。今、ユーザーからこのしっぺ返しが来ている。

DRAMをこのまま増強しなければ、ユーザーはますますDRAMメーカーを敵視するようになりかねない。Micronは、Samsungに遅ればせながら2017年に1X nmのラインを立ち上げ、2018年には1Y nm DRAMを生産、さらに今年は1Z nmプロセスのDRAMを生産し始めた。このためにMicronは、昨年工場拡張に着手し、今回1Z nm DRAMの生産にこぎつけた。

MicronのDRAM主力工場である広島工場は、大量生産というよりも試作パイロットラインおよび初期量産ラインという位置づけであり、大量生産は台湾の2工場で行う。DRAM開発は神奈川県の橋本技術センターで行う。ここはもともとNECの工場であり、2000年にエルピーダとなった時に日立製作所のデバイス開発センターと武蔵工場からエンジニアが合流した。ここに600名のDRAM開発者がいる。日本では、東京都の蒲田にNANDフラッシュのデザインセンターを持ち、品川にチップの評価・解析を行うカスタマラボを設けた。DRAM開発は、1X nm以降、本社のある米国アイダホ州のボイジーで共同開発している。DRAMの微細化は2020年ごろに止まるという予想があったが、Micronは1Z nm以降も1α、1β、1γnmと続く計画があるという。

今回完成した図1のB棟は、1Y nm DRAMの拡張と、1Z nm DRAMのパイロット生産を行う。さらに新規に建設中の建屋は、1αnm以降の生産になるという。B棟では、完全自動搬送システムを導入し、ほとんど人がいない。天井近くを走る自動搬送システムは村田機械が製作し、2階構造となっている。1階側の搬送ロボットはFOUPを装置に出し入れするために使い、2階部分の搬送ロボットはウェーハストッカーとして使っている。このため物理的なウェーハストッカーは存在しない。搬送ロボットはワイヤレス給電で動き、接点がなくゴミが出ない構造になっている。

なぜ日本に力を入れるのか。CEOのMehrotra氏は、「日本には自動車産業、エレクトロニクス産業があり、半導体製造装置メーカーや材料メーカーもある。それらと共に研究開発センターもある。半導体産業は開発から量産まで、エンドツーエンド(e2e)の産業である。だから日本とコラボレーションすることが成功のカギとなる。しかも日本には優秀な人材がいる」と述べている。

(2019/06/12)

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