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2020年2QのNANDフラッシュは前四半期比6%増、キオクシアは3%減に

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2020年第2四半期(2Q)におけるNANDフラッシュのトップテンランキングでは、1Q で5位だったSK Hynixが4位のMicronを抜いて4位に上がった。北米のデータセンター向けのストレージ製品(SSD)に入り込むことに成功したものだという。前四半期比で唯一キオクシアが3.1%減だったが、他社は全てプラスでNANDフラッシュ全体では6.5%成長した。

表1 2020年第2四半期のNANDフラッシュ上位6社ランキング 出典:TrendForce

Table1: 2Q20 Sales Ranking of BrandedNAND Flash Makers(Unit: Million USD)


これは市場調査会社のTrendForceが明らかにしたもの。NANDフラッシュのASP(平均単価)は前四半期比で3%増加し、ビット需要の増加とも相まって全体で6.5%成長となった。

1位のSamsungは、消費者向けと企業向けのSSDの高い需要が続いたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、スマートフォン市場と小売店で需要が弱まりビット需要は3%減となった。ただ、ASPが5%上がったため、トータルで0.9%成長の45億4200万ドルとなった。3D-NANDの92層のV5プロセスの出荷量は着実に増えており、128層のV6プロセスは量産が始まったところだという。ストレージ製品への実装とクライアントの採用は2020年中に完了し、V6製品は2021年に量産が立ち上がると見ている。中国西安工場の第2期の拡張工事は進んでいる。

キオクシアは、ゲーム機と企業向けのSSDへの需要は期待されたが、スマホ需要の落ち込みとビット容量が伸びなかったために出荷量は4%下がったものの、ASPが若干上がったために、トータルで3.1%減の24億8800万ドルの売り上げにとどまった。生産能力として岩手のK1工場が立ち上がったものの、キオクシア全体の生産規模は月産49万〜50万枚にとどまっているという。技術的には96層製品に注力しており、112層のBICS5製品は来年後半になるとTrendForceは見ている。

キオクシアの生産ラインを使っているWestern Digitalは、PCとサーバー向けのSSDの販売が増加したものの、モバイル向けが低下した。新型ウイルスによるテレワーク需要がこの落ち込みをカバーし、ビット需要が8%増加したものの、ASPは1%増に留まり、売り上げは8.6%増になった。

SK Hynixは、北米のデータセンターにストレージ製品を納入することに成功した結果、20年前半における企業向けSSDのシェアがかなり成長したという。Hynixは四半期比でビット成長5%、ASPも8%成長し、売上額は同17%成長の16億9400万ドルになった。ただし、Hynixの生産能力は19万〜20万枚/月で2020年当初よりも年末は若干下がる見込みだとしている。20年第4四半期にはNANDフラッシュ製品全体の70%が96層および128層の製品だとこの調査会社は見ている。競争力強化に注力しており、176層品は2021年に立ち上がるという。

Micronは、企業向けSSDが急に伸びたため、NANDフラッシュの売上額は、16億6500万ドルとなり前四半期比10%増加し、ビット出荷量も7%成長した。チャンネルディストリビュータへのウエーハの割り当てを減らしたため出荷が絞られASPが3%上がった。128層のNAND製品は少量生産を開始、今注力している176層製品は2020年末に量産に入るとしている。176層の生産は来年になりそうだ。

Intelは長い間をかけて企業向けと個人向けのSSDを育ててきたが、この新型コロナパンデミックの影響で個人向けの注文が20年第2四半期に急増し、出荷数量は25%も成長した。第1四半期にすでに決まったASP価格交渉でASPが据え置きになったため、NANDフラッシュの売り上げは24%増の16億5900万ドルになった。今年は生産能力を拡張せず、大連工場の生産規模は現状維持となる。Intelは企業向けのSSDに力を入れており、144層の企業向けSSDを個人向けにも提供し始め、21年には増強していくようだ。個人向けのSSDは20年第3四半期に販売される計画だ。

3Qの見通しとして、Chromebookの緩い立ち上がり、次期iPhoneシリーズに向けた在庫の確保、ゲーム機に関するSSD需要、などが見込まれている。しかしデータセンターのサーバーOEMやカスタマはサーバーの低価格化のプレッシャーがあり、PCのOEMメーカーは在庫が十分あるため、やや保守的になっているという。一方で中国のYMTCは生産量を増強しており、既存メーカーは3D-NANDの層数を増やすことで対応しようとしている。このためNANDフラッシュ市場は第3四半期にはやや生産過剰となり、NANDフラッシュ全体の販売額はほぼ横ばいと見ている。

参考資料
1. NAND Flash Revenue Rises 6.5% QoQ in 2Q20 Due to Pandemic-Induced Demand Growth for Cloud Services, Says TrendForce (2020/08/27)
2. 2020年第1四半期のNANDフラッシュのトップランキング (2020/05/29)

(2020/09/01)

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