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21年の世界半導体市場、固く見ても19%成長へ、IC Insightsが上方修正

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2021年1月の世界半導体の販売額が前年同月比で13.2%増の400億ドルに達したというSIA(米半導体工業会)のレポート(参考資料1)を受けて、市場調査会社のIC Insightsが今年の世界半導体予測を固く見て19%成長するという見通しに上方修正した。空前の半導体ブームになりそうだ。その根拠を検証してみよう。

2Q21-4Q21 IC Market Growth Rate Scenarios

図1 2021年の半導体ICの販売額は超保守的でも12%成長 出典:IC Insights


世界半導体市場は例年、前年の12月や第4四半期よりも翌年1月、あるいは翌第1四半期の販売額は必ずと言っていいほど、落ちていた。12月はクリスマス商戦で消費が活発に動くが、1月に入ると落ち着くのが例年だからだ。例えば、メモリバブルが起きた2017年の1月の販売額は、対前月比は-8.4%の293億ドル、2018年の1月は同様に全く同じ-8.4%で359億ドル、そして落ち込んだ2019年は-13.8%の312億ドルであった。にも拘わらず、2021年1月は2020年12月比で+1%の400億ドル、と逆に成長したのである。

1月の急激な上昇は、もちろん半導体不足によるところが大きいが、単価が予想以上に上がったために販売額も上がってしまった。

IC Insightsは1月の結果を受けて、2021年の第1四半期の半導体ICの販売額を1131億ドルと見積もった(参考資料2)。これは前四半期比2%としたもの。そこで、2021年全体のシミュレーションをしてみると、もし第2四半期から第4四半期も変わりなく1131億ドルの販売額だと「超保守的に」見ても12%成長という計算になる。ただ現実には例年、第1四半期を底として、第2四半期、第3、第4四半期へと進むにつれ、少しずつ対前期比の成長率は少しずつ上がってきていた。

そこで、比較的保守的にもう一度見てみると、季節要因を考えて、次の第2四半期(2Q)は前四半期比+3%の1164億ドル、さらに3Qの販売額は+8%増の1252億ドル、4Qは横ばい(0%)の1252億ドル、と見積もると、なんと2021年の販売額は19%増となる。これは、4799億ドル(1ドル105円として50兆円を突破)する。この四半期ごとの販売額と四半期ごとの伸びはそれほど甘い見積もりではない。通常の季節要因の範囲内だ。

セミコンポータルが独自で動向を見るためWSTSの対前年比と前年差をとってみると、1月の13.2%という伸びは極めて大きく、急激な伸びに映る(図2)。2月にSPIマーケットセミナーを開催した時( 参考資料3)は、1月のデータがまだ出ていなかったために、2021年の成長率はせいぜい10%前後かと思われていた。


世界半導体販売額の前年同月差/比

図2 WSTSの単月ごとのデータをプロットした推移 1月の急増は今年の半導体不足によるもの


SIAから発表されるデータは3ヵ月の移動平均であり、セミコンポータルがプロットしたデータは単月ごとの変動の大きいデータである。この先を見るには3カ月の移動平均よりは単月の数字の方がよく見える。3カ月の移動平均は変動をならし歴史的な動向を見るには都合がよいが、この先を見るには適切ではない。過去3カ月のデータに引きずられるからだ。

今年の後半には半導体不足が解消されるだろうが、すぐには対応できないため、今年いっぱいは大きなプラスになるだろうが、22年はその反動でマイナスになる可能性はある。

参考資料
1. Global Semiconductor Sales Increase 13.2% year-to-year in January (2021/03/01)
2. IC Insights Raises Its 2021 IC Market Forecast from 12% to 19% Growth (2021/03/09)
3. SPIマーケットセミナー「世界半導体市場、2021年を議論しよう」 (2021/02/07)
4. 世界の半導体市場、8月は前年同期比も前月比もプラス成長 (2020/10/07)

(2021/03/11)

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