急速に回復するNANDフラッシュ市場、企業の明暗分かれる
フラッシュメモリ市場がようやく上向いてきた。2023年第4四半期(4Q)におけるNANDフラッシュ全体の販売額は前四半期比24.5%増の114億8580万ドルとなった。ただし、フラッシュメーカーにとって明暗が分かれている。1位のSamsungは同44.8%増の42億ドルでシェアを31%から37%へと拡大したのに対して、Micronの販売額は同1.1%減に留まった。
図1 2023年4QにおけるNANDフラッシュメーカーの売上額 出典:TrendForce
台湾系市場調査会社のTrendForceが発表した、2023年4QのNANDフラッシュ市場は、114.9億ドルと成長したものの(図1)、企業によって明暗が分かれた。SamsungとSK hynixの韓国勢はそれぞれ同45%増、33%増と大きく二桁増を記録したものの、他の大手は1.1%減から8%増にとどまった。
TrendForceによると、4QにおけるSamsungはサーバーとノートPC、スマートフォンからの急速な立ち上がりによるものとしている。顧客の発注に対して全て満足した訳ではないものの、ビット出荷量は同35%増加し、平均単価ASPは12%上昇した結果だという。SK hynixもSamsung同様、単価が回復したおかげで33.1%増の24.8億ドルの売り上げにつながった。
これらの韓国勢に対して、キオクシアのパートナーであるWestern Digitalは出荷量が2%減ったもののASPが10%上昇したため、7%成長の16.7億ドルとなった。キオクシアはパソコンとスマホの受注が増え、出荷量も増えたため8%成長だったとしている。単価については触れていない。
Micronは収益を改善するためビット出荷量を10%減らしたことで売上額は1.1%減の11.4億ドルに減少したとしている。
2024年第1四半期は従来ならオフシーズンで市場は落ちるはずだが、さらに20%増になる見込んでいる。在庫調整が大きく改善され、単価も上がるためだとTrendForceは見ている。NANDフラッシュのコントラクトベースの平均単価は同25%上がるとしている。
TrendForceは、NANDフラッシュを大量に使うSSD(固体ディスク)の売り上げに関しても発表している(図2)。やはり韓国2強は前四半期比で大きく伸ばしているのに対して、それ以外のメーカーは一桁成長ないしマイナスに沈んでいる。
図2 フラッシュメーカーのSSD売り上げも明暗が分かれている 出典:TrendForce
Samsungは前四半期比64.3%増の9.61億ドル、SK Hynixは同96.9%増の7.66億ドルと急速に回復している。前四半期にSSDメーカーは生産量を絞ったため、価格が値上がりし、さらにクリスマスシーズンとなる第4四半期になり、需要が急速に高まった。このためトップ5社全体のSSD市場は前四半期比47.6%増の230.66億ドルになった。
2024年1Qはさらに20%増加するとTrendForceは見ているが、在庫が一掃され、企業向けSSDのコントラクト価格が25%以上上がるためだとしている。加えて、中国市場は旧正月を迎えることでもSSDの売り上げが増えるとしている。