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Samsung、ついにDRAMトップの座をSK hynixに明け渡す

2025年第1四半期(1Q)におけるDRAM業界の販売額は前四半期比(QoQ)で5.5%減の270億ドルとなったが、これまで盟主として君臨してきたSamsungが2位に転落した。代わって1位となったのは、SK hynixだ。Hynixは、AIデータセンター向けのAIチップとセットで実装されるHBMを生産してきた。HBMはDRAMチップを複数枚重ねたメモリ。

1Q25 Global DRAM Branded Memory Revenue Rankings / TrendForce

図1 2025年第1四半期におけるDRAMメーカーのランキング 出典:TrendForce


この第1四半期売上額は、前四半期比(QoQ)でSamsungの19.1%減に対してSK Hynixは7.1%減にとどまった。また3位のMicronは2.7%増の65.75億ドルの売上となった。2位のSamsungもHBMを生産するようになったものの、中国市場へ直接売れなくなったことが要因だとTrendForceは見ている。SamsungはHBM3eを再設計し、生産量は縮小したという。Hynixは、DRAM出荷量が低くマイナスとなったが、HBM3eは伸び、ASP(平均単価)も維持できたとしている。

DRAMを4枚、8枚など3次元に重ね合わせる3D-ICメモリがHBMだが、実はチップ単体では良品でも重ねて電気的特性やダイナミック特性、そして信頼性特性を評価すると不良品になっていた、というようなことはざらにある。HBMの難しさはここにある。単純にチップを重ねてつなげば済むわけではない。

SK hynixはHBM開発当初から関わってきて、これがNvidiaのGPUと一緒に使われることになり始めて成長の機会をえた。一方のSamsungはHBMがこれほど成長するとは思ってもいなかった。DDR4やDDR5などと比べると、HBMはコストパフォーマンスが合わない、としてDDRに集中してきた。この1〜2年はスマートフォンやパソコンの伸びが鈍化してきたため、DDRも伸びず、慌ててHBMを開発・生産し始めたが、Nvidiaの認定を通るのに時間がかかった。

昨年ブームになったAIデータセンターへの高い需要が今年も続いている。このためHBMはこれからも伸びると見られていた。しかしトランプ関税の影響が出てくれば、これまでの伸びは期待できなくなる。それはDDRも同じで、半導体産業は大きな打撃を受けると見られている。

第2四半期は、パソコンのOEMやスマホメーカーは在庫を一掃したため、これからは生産を増やしていくだろう。特に90日間のトランプの相互関税猶予期間の前に増産するためビット調達が増えると見ている。

参考資料
1. 「DRAM、単価上昇のおかげで売り上げが昨年の2倍に」、セミコンポータル、(2024/08/21)

(2025/06/05)
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