苦境のインテル、製造分離など再構築、米国官民の支援、世界の注目
このところ事業運営の難局が相次いで伝えられているインテルが、月曜16日に戦略的再建計画に向けた今後の方針を示している。チップ製造事業の独立子会社分離、ドイツ工場建設2年間停止、および米国におけるプロジェクト継続が骨子となっている。長年不動の半導体サプライヤNo.1の地位がここ数年揺らいでいる経過ということで、国内半導体製造強化を図っている米国の官民のインテル支援の動きが、アマゾンのAI(人工知能)カスタム半導体契約はじめあらわれてきている。現下の四半期半導体ランキングでは、Nvidiaが突出の一方、インテルが韓国勢およびTSMCに抜かれるデータ結果となっており、今後の地位回復に向けた足取り&結果に集まる世界の注目である。
≪厳しい局面の打開に向けて≫
インテルを取り巻く厳しい局面についての評論そして具体的な内容が、それぞれの切り口であらわされている。
◇"Intel is a sick company. It has to separate manufacturing from development" (9月15日付け Calcalist Tech)
→伝説的な起業家であり、USBメモリースティックの発明者でもあるDov Moran氏は、インテルにはもう打つ手がないと考えている。人員削減が迫り、重要なプロジェクトが遅れる中、疑問は残る:イスラエル経済は、インテルの世界的変革の波及効果にどう耐えられるだろうか?
◇Exclusive: How Intel lost the Sony PlayStation business―Report: Sony selects AMD over Intel for PlayStation 6 chip (9月16日付け Reuters)
→ロイター通信によると、ソニーは次期プレイステーション6用チップの供給先として、インテルではなくAMDを選んだという。この決定は、数ヶ月にわたる話し合いの末に下されたもので、インテルの入札は、TSMCとの利益配分をめぐる意見の相違により、最終的に失敗に終わったという。
◇Intel reportedly lost PlayStation 6 chip design contract to AMD in 2022 − the $30 billion deal was up for grabs―Intel and IFS battled AMD and TSMC. (9月16日付け Tom's Hardware)
→ロイター通信によると、インテルはソニーのプレイステーション6用プロセッサの設計・製造入札でAMDに敗れたよう。3人の関係者が語ったところによると、インテルとAMDはPS6のチップ設計・製造入札の最終候補者だった。
インテルの敗北は、IFS受託製造事業(現在はインテル・ファウンドリーとして知られる)の希望に耐え難い打撃を与えたと伝えられている。この契約は約$30 billionの売上げに相当すると考えられているが、代わりにライバルのAMDとTSMC、そしてそれらの株主の巣を肥やすことになる。
◇Sony reportedly picked AMD over Intel for the PS6/ Whenever the PlayStation 6 arrives, Reuters reports it will have AMD hardware inside − not Intel. (9月16日付け The Verge)
→PS5 Proの次は?Reutersの報道では、ソニーの今秋の700ドルの新システム以降の計画に焦点が当てられており、将来のプレイステーション6を駆動するチップの契約を勝ち取るための戦いは、AMD対Intelの戦いになり、Broadcomのような他の企業は先に脱落し、最終的にAMDが勝ったとしている。
半導体主要各社への補助金授与を決めている米国CHIPS Actの懸念を孕んだ現時点の様相である。
◇Cracks Emerge in U.S. CHIPS Act―Challenges arise for CHIPS Act amid production delays―Delays in production starts by top chipmakers supporting the U.S. CHIPS Act are signs of concern. (9月18日付け EE Times)
→1)インテルやサムスンなど、米CHIPS法を支持する大手チップメーカーによる生産開始の遅れは、米政府の景気刺激策が期待に応えられない可能性を示すものだ。
今週、インテルはヨーロッパにおける最新施設の開設を約2年遅らせることを発表した。インテルのPat Gelsinger最高経営責任者(CEO)は9月16日の発表で、「ポーランドとドイツでのプロジェクトは、市場の需要予測に基づいて約2年延期する」と述べた。
ゲルシンガーCEOは、アリゾナ、オレゴン、ニューメキシコ、オハイオにおけるCHIPS法に関連する米国での投資は軌道に乗せることを約束した。
2)インテルとサムスン電子は、米国CHIPS and Science Actの下で生産スケジュールの遅れに直面しており、景気刺激策の効果に対する懸念が高まっている。インテルは資金繰りに行き詰まり、人員削減と設備投資の減少を余儀なくされており、サムスンはテキサス工場での生産を遅らせている。
買収提案の話もあらわれているこの週末である。
◇クアルコム、業績不振のインテルに買収提案 WSJ報道 (9月21日付け 日経 電子版 07:54)
→米半導体大手クアルコムが業績不振の米インテルに対し、買収を提案したことが20日わかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。インテルの時価総額は19日時点で約900億ドル(約13兆円)で、実現すれば巨額の買収となる。
関係者の話として、現時点では「合意にはほど遠い」とも伝えている。
このような局面のなか、インテルの再構築に向けた計画の発表関連が、以下の通りである。
◇Intel’s big turnaround plan includes spinning off its chipmaking business/ Intel CEO Pat Gelsinger plans to ‘establish Intel Foundry as an independent subsidiary.’ (9月16日付け The Verge)
→インテルは、数十億の損失と株価下落を回復する計画の一環として、チップ製造事業を分離する。月曜16日の発表で、インテルのPat Gelsinger CEOは、インテル・ファウンドリーはインテルから「より明確な分離と独立性」を持った独立子会社になると述べた。
◇Intel CEO sets out the road ahead―Intel CEO talks "Smart Capital approach," foundry spinoff (9月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)先週3日間の取締役会を経て、インテルのPat Gelsinger CEOは従業員への書簡で今後の方針を示した。
2)パット・ゲルシンガーCEOによると、インテルは戦略的再建計画の一環として、また透明性と説明責任を高めるために、チップ製造事業を独立子会社に分離する計画だという。「インテル・ファウンドリーをインテル社内の独立子会社として設立する予定」とゲルシンガーCEOは記し、ファウンドリーの経営陣はそのまま残るとしている。同社はポーランドとドイツでの工場建設を2年間停止する予定だが、米国でのプロジェクトは継続する。
◇Intel stock jumps on plan to turn foundry business into subsidiary and allow for outside funding (9月17日付け CNBC)
→*インテルは、ファウンドリー事業のために別法人を設立すると発表、外部からの資金調達を可能にする構造。
*該チップメーカーは過去2年間それぞれ、ファウンドリー事業におよそ$25 billionを費やしてきた。
*同社株は2024年に価値の60%近くを失った。
◇インテル、半導体受託部門を分離・子会社化 経営立て直し (9月17日付け 日経 電子版 06:00)
→米インテルは16日、現在は一部門である半導体の受託生産(ファウンドリー)事業を子会社化すると発表した。外部資本を受け入れられるようにして、事業のてこ入れを図る。インテルは業績が低迷しており、経営の立て直しに向けた事業再編に乗り出す。
◇Intel’s German plant delay lands blow to EU’s chip ambitions (9月18日付け Taipei Times)
→インテル社が月曜16日にドイツでの工場建設計画の延期を決定したことは、欧州連合(EU)の半導体開発への意欲を後退させるものであり、ベルリンでは100億ユーロ($11 billion)の補助金の配分をめぐる論争が再燃するだろう。
今後も波紋を呼ぶ計画内容であるが、苦境のインテルに向けた米国官民の支援の動きが、以下の通りである。
◇Intel Solidifies $3.5 Billion Deal to Make Chips for Military―Intel secures $3.5B deal for Pentagon chip production (9月13日付け BNN Bloomberg (Canada))
→Intel社は、国防総省のSecure Enclaveプログラム向けに先端半導体を生産するため、最大$3.5 billionの連邦補助金を確保した。CHIPS and Science Actの一環であるこの契約は、米国の半導体製造を強化することを目的としており、この資金はオレゴン州、オハイオ州、ニューメキシコ州およびアリゾナ州の拠点を支援するものであり、国家安全保障および半導体業界にとってより広範な意味を持つ。
◇Biden administration awards Intel up to $3 billion under the CHIPS Act (9月16日付け CNBC)
→*バイデン政権は、国防総省向けマイクロエレクトロニクスの供給拡大を目的とした 「Secure Enclave」プログラムに対し、CHIPS and Science Actの下、インテルに最大$3 billionの追加資金を授与した。
*インテルは、他のサプライヤー向けに国内半導体製造を増やすプロジェクトの一環として、4つの州にファウンドリー工場を建設している。
*3月、バイデン政権はCHIPS法に基づき、インテルに最大$8.5 billionを供与した。
アマゾンが、AIカスタム半導体でインテル18Aプロセスでの顧客になる契約である。
◇Intel secures AWS as customer for 18A process―Intel to produce custom AI chips for AWS under multiyear deal ―Intel has secured AWS as a customer for its 18A process. (9月17日付け Electronics Weekly (UK))
→「インテルとアマゾン・ウェブ・サービスは本日、インテルの製品とウェハーを対象とする複数年、multi-billion-dollarの枠組みの下で、カスタムチップ設計への共同投資を発表した」とインテルの声明は述べている。「これは、顧客が事実上あらゆるワークロードに電力を供給し、AIアプリケーションのパフォーマンスを加速できるよう支援する、両社の長年の戦略的協力関係を大幅に拡大するものである。」
◇Intel and AWS Expand Strategic Collaboration (9月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→インテル コーポレーション(INTC)とAmazon.com会社、Amazon Web Servicesは本日、インテルの製品およびウェハーを対象とする数年、数十億ドルの枠組みの下で、カスタム・チップ設計への共同投資を行うことを発表した。これは、顧客が事実上あらゆるワークロードをパワーアップし、AIアプリケーションのパフォーマンスを加速できるよう支援する、両社の長年の戦略的協力関係を大幅に拡大するもの。
◇インテル、アマゾン向けカスタムAIチップ製造へ−独工場延期 (9月17日付け ブルームバーグ 日本語版)
→*インテルの株価は時間外取引で一時10%近く急伸
*インテルの米国工場の拡張、予定通り進行中
米インテルのパット・ゲルシンガーCEOは、製造事業においてアマゾン・ドット・コムのクラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を顧客として獲得した。これにより、米国で建設中の新工場に仕事がもたらされる可能性があり、苦境に立たされているインテルの再建に向けた取り組みが後押しされそうだ。
発表を受けインテルの株価は米株式時間外取引で一時10%近く上昇した。年初来では58%下落しており、16日通常取引終値は20.91ドルだった。
インテルはまた、ドイツとポーランドにおける新工場の建設を延期する一方、アリゾナとニューメキシコ、オレゴン、オハイオの各州における米国事業拡大には引き続き取り組む。
◇Intel lands Amazon as client for custom AI chips, a major win for its foundry business―CEO Pat Gelsinger outlined steps that Intel would take to revive itself, after it reported disastrous second-quarter earnings (9月17日付け South China Morning Post)
→インテルのファウンドリー(受託製造)事業が、アマゾンのクラウド・サービス部門を人工知能チップのカスタム製造の顧客として契約した、と両社が月曜16日に発表した。
Pat Gelsinger CEOが従業員向けのメモを発表し、インテルがアマゾンを数十億ドル規模の顧客として確保し、カリフォルニア州サンタクララを拠点とするインテルに設計サービスと製造の対価を支払うことを発表した後、インテルの株価は取引時間を延長して約8%上昇した。このメモには、インテルが計画しているコスト削減の概要も記されている。
◇Intel to make custom AI chip for AWS―EUROPE ON HOLD: Among a flurry of announcements, Intel said it would postpone new factories in Germany and Poland, but remains committed to its US expansion (9月18日付け Taipei Times)
→インテル・コーポレーションのPat Gelsinger CEOは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を同社の製造事業の顧客として獲得し、米国で建設中の新しい工場に仕事をもたらす可能性があり、経営難に陥っている該チップメーカーを立て直す努力を後押しする。
米国官民挙げてインテル救済に立ち向かう動き関連である。
◇インテル救済に官民一丸 半導体受託製造に4200億円補助 (9月17日付け 日経 電子版 15:04)
→米国の官民が米インテルの救済に一丸で乗り出した。16日、米政府はインテルに最大$3 billion(約4200億円)の補助金を追加支給し、米アマゾン・ドット・コムはAI向け半導体の生産を委託すると発表した。半導体は安全保障上の重要性が増している。最先端の半導体製造の国産化を背負うインテルに米政府の関与が強まっている。
◇Intel's strategic transition: can new orders and cost cuts lead to a rebound? (9月18日付け DigiTimes)
→インテルは今でも最も偉大なアメリカ企業のひとつだと多くの人が思っている。しかし、最近の苦境は、「大きすぎて潰せない」というお世辞にも良いとは言えないレッテルが貼られるに至った。今重要なのは、新規受注のニュースや、グローバル従業員15,000人の大幅削減や不動産からの撤退を含む$10 billionのコスト削減の継続的努力の中で、インテルが希望の光を見ることができるかどうかである。
◇インテル救済、米官民一丸 政府、4200億円の補助金 アマゾン、AI半導体委託 (9月18日付け 日経)
→米国の官民が米インテルの救済に一丸で乗り出した。16日、米政府はインテルに最大$3 billion(約4200億円)の補助金を追加支給し、米アマゾン・ドット・コムはAI向け半導体の生産を委託すると発表した。半導体は安全保障上の重要性が増している。最先端の半導体製造の国産化を背負うインテルに米政府の関与が強まっている。
◇インテル救済、米官民一丸――米、最先端半導体「自国化」に遅れ 米の戦略、対中は規制で対応 (9月18日付け 日経)
→米国の半導体戦略に遅れが目立ち始めた。自国生産を強化する戦略の中核企業である米インテルの業績が悪化し、米政府にとっては誤算が生じている。先端半導体で中国が追い上げるなか、国家間の競争が激しさを増している。
並行するタイミングで、四半期半導体売上げランキングのデータがあらわされている。Nvidiaの突出以外は小幅な増加基調であるが、インテルの現状を改めて知る内容となっている。
◇Omdia Reports Record Semiconductor Revenue in 2Q24, Despite Market Weakness (9月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Omdiaの新しい分析によると、2Q24の半導体総売上げは$162.1 billionと過去最高を記録、四半期ベースで6.7%の伸びを示した。この数字は、4Q21の記録を約$500m上回るものである。この記録的な伸びは、業界トップの売上げ元、NVIDIAによるところが大きく、NVIDIAの四半期半導体売上げは4Q21を$18 billion上回っている。
エヌビディアの売上高は、半導体業界が過去最高を記録した4Q21の4倍以上となっている。エヌビディアがなければ、市場の売上高が最高を更新するのは遠かっただろう。エヌビディアの売上高を除くと、記録は4Q21のままであり、総売上高は$155.8 billion、2Q24の売上高は$138.2 billionであり、$17 billion以上低い。
◇SK hynix to surpass Intel to become No. 3 global chipmaker in Q3: report (9月18日付け Yonhap News Agency)
→韓国の大手チップメーカーSKハイニックスが、第3四半期に初めて売上高で米半導体メーカーのインテル社を上回る可能性が高いことが、水曜18日に発表された報告書で明らかになった。
市場アナリストのOmdiaによると、SK hynixは7-9月期に$12.8 billionの最高売上高を記録し、インテル社を抜いて世界第3位のチップメーカーになると予想されている。
◇Omdia reports record semiconductor revenue in 2Q24, despite market weakness (9月19日付け emsnow.com)
→Omdia社主席アナリストのCliff Leimbach氏は、最新の業界業績について次のように述べている:「半導体のトップ企業は規模を拡大している。売上高上位10社は、2Q24で市場全体の64%を占めており、これは過去最高のシェアであり、5年平均の57%を7ポイント上回っている。過去最高の売上高を記録した21年第4四半期と比較すると、市場の拡大がより少数の企業に集中していることがわかる。4Q21では、上位10社が売上シェアの57%を占めていた。」
「NVIDIAは引き続き市場シェアを拡大しており、力強いAI需要に牽引され、売上げベースで半導体市場の14.8%を占めるに至っている。歴史的に首位か2位のインテルは、3四半期連続で3位のままである。2Q24のシェアは7.5%で、Omdiaが半導体市場の追跡を開始した2002年1Q以来、インテルの市場シェアは最低となった。」と結論づけるLeimbach氏。
◇Samsung, SK hynix, and TSMC set to overtake Intel in revenue in Q3―Intel likely to be overtaken by rivals in Q3 revenue―The slow performance of the data center and AI unit drags Intel down. (9月19日付け Tom's Hardware)
→インテルは、AI部門とデータセンター部門の不振により、第3四半期の売上高が$12.5 billion to $13.5 billionに落ち込むと予想されており、この落ち込みにより、インテルの売上高は競合のNvidia、TSMC、サムスン電子およびSKハイニックスの後塵を拝することになりそう。Nvidiaは約$32.5 billionで首位、TSMCは最大$23.2 billionを見込んでいる。
◇世界半導体大手が6年ぶり最高益 4〜6月2.4倍、AIけん引 (9月19日付け 日経 電子版 18:01)
→世界の半導体大手10社の2024年4〜6月期の合計純利益は$36.8 billion(約5兆2000億円)と、前年同期の2.4倍に増えた。同期間として6年ぶりに過去最高益を更新した。米エヌビディアが画像処理半導体(GPU)の特需を捉え、全体の利益の45%を稼いだ。AI向けメモリーを手掛ける企業の業績も改善した。
◇半導体6年ぶり最高益、世界大手10社 エヌビディアけん引、4〜6月最終 (9月20日付け 日経)
→世界の半導体大手10社の2024年4〜6月期の合計純利益は$36.8 billion(約5兆2000億円)と、前年同期の2・4倍に増えた。同期間として6年ぶりに過去最高益を更新した。米エヌビディアが画像処理半導体(GPU)の特需を捉え、全体の利益の45%を稼いだ。AI向けメモリーを手掛ける企業の業績も改善した。
着実な再生回復の推移に引き続き世界の目が集まる今後である。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□9月17日(火)
4年半ぶりとなる0.5%の大幅利下げを米連邦準備理事会(FRB)が決定、これに関連する動き&内容に以下終始、米国経済軟着陸の期待から史上最高値で締めた今週の米国株式市場である。
◇FRB、4年半ぶり利下げは波乱含み 17〜18日にFOMC (日経 電子版 04:14)
→FRBは17〜18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。約4年半ぶりに政策金利を引き下げる見通しだ。市場関係者の間では利下げ幅が通常の倍の0.5%になるとの見方が急速に強まっている。金融引き締めの手じまいはスタートから波乱含みだ。
◇NYダウ、続伸し228ドル高 大幅利下げ期待で最高値更新 (日経 電子版 06:22)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比228ドル30セント(0.55%)高の4万1622ドル08セントで終えた。8月30日以来、およそ2週間ぶりに最高値を更新した。FRBの大幅利下げが米景気を支えるとの見方から主力株の一角に買いが入った。
FRBは17〜18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを開始し、市場では利下げ幅が通常の2倍の0.5%になるとの観測が強まっている。
□9月18日(水)
◇NYダウ5日ぶり小反落、15ドル安 利益確定売りが優勢 (日経 電子版 06:10)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに小幅反落し、前日比15ドル90セント(0.03%)安の4万1606ドル18セントで終えた。前日に最高値を付けた後で、主力株には利益確定売りが出た。もっとも、FRBの金融緩和が景気を支えるとの期待は根強く、ダウ平均は上昇する場面もあった。
□9月19日(木)
◇FRB、0.5%の大幅利下げ決定 議長「後手に回らぬ決意」 (日経 電子版 06:18)
→FRBが金融引き締めからの転換に動き始めた。18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。高インフレの収束が濃厚となり、米国は持続可能な経済成長の姿を模索する。
利下げはユーロ圏や英国、カナダに続く措置。
◇NYダウ続落、103ドル安 大幅利下げで利益確定売り (日経 電子版 07:43)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比103ドル08セント(0.24%)安の4万1503ドル10セントで終えた。FRBは18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりとなる利下げを決めた。利下げ幅は通常の倍となる0.5%とし、米景気の下支えに前向きとの見方から発表後は株買いが優勢になった。もっとも、大幅利下げの観測から買われてきた面もあり、主力株には利益確定売りも出て次第に下げに転じた。
□9月20日(金)
◇NYダウ反発、初の4万2000ドル台 ハイテク株見直し買い (日経 電子版 06:21)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発した。前日比522ドル09セント(1.25%)高の4万2025ドル19セントで終え、最高値を更新した。FRBが18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅な利下げを決めた。利下げが米景気を支えるとの見方が強まり、主力株に買いが広がった。ダウ平均の上げ幅は650ドルを超える場面があった。
世界の株価に波及するFRB決定である。
◇世界株高、米経済軟着陸を楽観視 NYダウ最高値 (日経 電子版 06:34)
→米国や欧州の代表的な株価指数が過去最高値を更新している。FRBの大幅利下げで米国経済のソフトランディング(軟着陸)への楽観論が広がり、素材や消費といった景気敏感株の上昇が目立っている。19日の世界の株式市場は株高の流れが続いた。米ダウ工業株30種平均は前日比522ドル高の4万2025ドルと史上初の4万2000ドル台に乗せた。
□9月21日(土)
◇NYダウ小幅続伸、連日高値 米経済の軟着陸期待が支え (日経 電子版 06:08)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比38ドル17セント(0.09%)高の4万2063ドル36セントで終えた。連日で最高値を更新した。FRBの利下げを受け、米経済がソフトランディングできるとの見方が引き続き相場の支えとなった。
≪市場実態PickUp≫
【Apple関連】
先週発表したAI機能「Apple Intelligence」搭載iPhone 16への市場の反応、そして今回のA16チップがTSMCアリゾナ工場でも製造されているとの見方など、以下に示している。スマホ世界販売、この8月について、サムスン電子、そして小米(シャオミ)に次いでAppleは3位とのこと。上記のインテルを思い浮かべてしまうところがある。
◇Apple's cautious AI rollout: supply chain anticipates iPhone 16 3Q24 sales impact (9月13日付け DigiTimes)
→アップルは9月10日の製品発表イベントでAI機能「Apple Intelligence」を発表し、10月に米国で展開することを発表した。ただし、中国語、フランス語、日本語、およびスペイン語などの言語への対応は2025年までとなる。ハードウェアや外観に大きな変更はないため、Apple Intelligenceが市場の需要に与える影響は依然として不透明だ。サプライチェーン筋によると、10月の第一陣の販売後に状況が明らかになるとのことだ。
◇Apple shares slide as analysts highlight sluggish iPhone 16 demand (9月16日付け CNBC)
→*アップルの株価は、新しいiPhone 16の需要が予想よりも低いことを報告した後、月曜16日に下落、昨年のiPhone 15の最初の週末販売高から前年比12%減、とTF証券のアナリスト、Ming-Chi Kuo氏はメモに書いた。
*クオ氏が書いた一つの重要な要因として, 先週のAppleの年次イベントでの新モデルに向けた主要なセールスポイントの一つ、Apple Intelligenceがベータ版で来月まで利用できないことがある。
*バンク-オブ-アメリカとJPモルガンのアナリストはまた、出荷時間は、昨年に比べて、最新のiPhone Proのモデルのための軽い需要に変換することができる、とも投資家向けノートに書いた。
◇Apple A16 chip is now being produced in the USA (9月17日付け AppleInsider)
→TSMCがアリゾナのファウンドリーでアップルのiPhone用チップの生産を開始したと報じられている。
アリゾナにあるTSMCのファウンドリーは何年も前から建設中で、プロジェクトの計画は2020年まで遡る。4年後、この拠点は稼働を開始し、アップル向けのチップ製造を開始したとされている。
◇Apple A16 chips now being made in the US, creating a mystery―Reports: TSMC's Ariz. plant produces Apple A16 chips (9月18日付け 9to5Mac)
→アップルのA16チップは、TSMCのアリゾナ工場で製造され、台湾に近い歩留まり率を達成していると報じられている。このチップは次期iPhone SE 4用と推測されているが、正確な用途はまだ不明である。
◇Apple's A16 Chips Now Being Manufactured in Arizona TSMC Plant (9月18日付け MacRumors)
→台湾の独立系ジャーナリスト、Tim Culpan(ティム・カルパン)氏によると、アップルのA16チップは現在、TSMCのアリゾナ工場でアメリカ国内で製造されているという。
2年前にiPhone 14 ProでデビューしたA16チップは、アリゾナ州にあるTSMCのFab 21施設で少量ながら生産されていると伝えられている。このチップは、TSMCの台湾工場で採用されているのと同じ4nm N4Pプロセスで製造され、品質と性能の一貫性を確保しているという。
◇iPhone 16 series to drive Wi-Fi 7 adoption, benefiting chip makers in 2025―Wi-Fi 7 in iPhone 16 series to boost chipmakers in 2025 (9月18日付け DigiTimes)
→iPhone 16シリーズがWi-Fi 7を採用したことで、モバイル・アプリケーションにおける同技術の普及が加速し、Androidフラッグシップもそれに続くと予測されている。これは2025年までに、MediaTek, M3 Technology, RichWave TechnologyおよびRealtek Semiconductorを含むチップメーカーに利益をもたらすだろう。
◇Apple poised to introduce self-developed 5G modem in iPhones by 2025 (9月18日付け DigiTimes)
→アップルは2025年までにiPhoneに自社開発の5Gモデムを搭載する構え。最新のiPhone SEが最初の搭載モデルとなる見込みで、早ければ2025年前半に、次いでiPhone 17シリーズの一部モデルが年後半に登場する可能性がある。アップルの自社製5Gチップの出荷台数は、2026年までに1億台を突破すると予測されている。
◇Apple、8月のスマホ世界販売で3位に転落 小米が2位に (9月19日付け 日経 電子版 04:35)
→香港の調査会社カウンターポイントは18日、8月の世界のスマートフォン販売台数で、中国の小米が約3年ぶりに米アップルを上回って2位になったと発表した。近年は韓国サムスン電子とアップルが首位を争ってきたが、アップルは3位に転落した。上位ブランドの競争が激化している。
8月の首位はサムスンだった。小米がアップルを抜いて2位となるのは2021年8月以来だ。
◇EU warns Apple to open up its operating systems (9月20日付け Taipei Times)
→アップル社はEUから、自社の高度に守られたiPhoneとiPadのオペレーティングシステム(OSs)をライバル技術に開放するよう警告を受けており、最終的には、主要なデジタル独占禁止規則の下で多額の罰金を科されるリスクがある。
◇iPhone16発売、関心はカメラ AIは「なくても困らない」 (9月20日付け 日経 電子版 12:51)
→米アップルは20日、新型スマートフォン「iPhone16」シリーズを日本などで発売した。東京都内の直営店に集まったファンはカメラの新機能に関心を寄せる。目玉として打ち出したAI機能に対しては「便利だと思うが、なくても困らない」(20代男性事業家)との声も聞かれ、購入の決め手にはなっていない様子だった。
【Microsoft関連】
業務ソフト「マイクロソフト365」のAI支援機能、AIインフラ投資のための$30 billion規模の基金、そして米国スリーマイル原発再稼働によるAI電力供給、とMicrosoft関連の以下内容である。
◇さらばエクセル・パワポ職人 Microsoft、AI支援高度化 (9月17日付け 日経 電子版 12:58)
→米マイクロソフトは16日、業務ソフト「マイクロソフト365」のAI機能を強化すると発表した。「エクセル」や「パワーポイント」では「職人技」とされてきた高度な作業をAIが代替する。個人スキルに依存していたデータ処理や資料作成の複雑な操作を誰でもできるようにする。
◇エクセルやメール、AIで使いやすく Microsoft提供開始 (9月17日付け 日経 電子版 05:28)
→米マイクロソフトは16日、業務ソフト「マイクロソフト365」のAI支援機能を強化すると発表した。AIでプロジェクトの資料を一元管理するサービスを始める。表計算ソフト「エクセル」で大量のデータを簡単に自動分析する機能や、メールソフトで優先度に応じて並べ替える機能も搭載した。AIを使った企業の業務改革をさらに進める。
◇Microsoft, BlackRock to launch $30 billion fund for AI infrastructure―$30B fund to focus on global AI infrastructure (9月18日付け Reuters)
→マイクロソフトとBlackRock(ブラックロック)は、エネルギー調達、データセンターおよびサプライチェーンに焦点を当てたAIインフラ投資のための$30 billion規模のファンドを立ち上げる。該グローバルAIインフラ投資パートナーシップには、MGXとNvidiaからの意見や専門知識が含まれている。
◇ブラックロック、MicrosoftとAIファンド 4兆円規模 (9月18日付け 日経 電子版 05:58)
→世界最大の運用会社、BlackRock(ブラックロック)は17日、米マイクロソフトと連携し、AI関連のインフラ整備のためのファンドを立ち上げると発表した。規模は$30 billion(約4兆2700億円)で、主に米国のデータセンターや電力網に投資する。AI普及にあわせ需要増が見込まれるデジタルインフラへの投資を加速する。
◇米スリーマイル原発、再稼働へ MicrosoftのAI電力供給 (9月21日付け 日経 電子版 03:19)
→米大手電力コンステレーション・エナジー(Constellation Energy)は20日、東部ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所1号機を再稼働させると発表した。米IT(情報技術)大手マイクロソフトのAIで使用するデータセンターに20年間にわたり電力を供給する。米国ではデータセンターの電力消費が急増し、温暖化ガスを排出しない原発の見直しが進んでいる。
【米中摩擦関連】
いろいろな関連の切り口であるが、まずは米国の対中関税大幅引き上げ措置である。
◇US locks in steep China tariff hikes, some industries warn of disruptions―White House confirms steep tariffs on Chinese imports (9月13日付け Reuters)
→・USTR、中国製EVsに100%、半導体に50%、電池と鉄鋼に25%の関税を維持
・米通商代表部(USTR)、中国製フェイスマスク、手術用手袋、注射器の関税を倍増
・中国の関税適用除外が5つの機械カテゴリーに追加
・業界団体、関税引き上げでサプライチェーンが混乱すると警告
バイデン米政権は13日、中国の国家主導の産業慣行から戦略的産業の保護を強化するため、電気自動車(EVs)への100%関税を含む中国からの輸入品に対する急な関税引き上げを実施した。
米通商代表部は、中国製EVsに100%、太陽電池に50%、鉄鋼、アルミニウム、EV用バッテリーおよび主要鉱物に25%の関税を課すなど、該関税の多くは9月27日に発効すると発表した。
中国の半導体製造装置の海外からの購入がままならない中、自給自足の取り組みが見られる現状であるが、その関連である。
◇China touts home-grown chip lithography machines amid semiconductor self-sufficiency drive (9月15日付け South China Morning Post)
→*技術省、無名企業による深紫外リソグラフィーの「重要な技術的ブレークスルー」を主張
中国政府は、アメリカの制裁の中で技術自給を目指す中、大きな進歩を遂げたという2つの国産チップ製造機を宣伝している。
◇China hit hard by new Dutch export controls on ASML chip-making equipment―New restrictions announced by the Netherlands affect machines used by many semiconductor plants in China (9月16日付け South China Morning Post)
→業界関係者によると、オランダがオランダのチップツール大手ASMLホールディングに対し、同社の最も信頼性の高い装置の一部について中国でのサービスを禁止したため、本土の半導体工場は生産面で大きな困難に直面する可能性がある。
今月初め、オランダのReinette Klever対外貿易・開発相は同国の輸出規制の変更を発表し、ASMLは同社の1970iおよび1980i液浸深紫外(DUV)装置を中国の顧客に販売するのにライセンス申請が求められる。
中国の台湾攻撃を想定、Nvidia CEO、Huang氏の対応の考え方である。
◇Nvidia GPUs could be made 'somewhere else' if China attacks Taiwan: Jensen Huang―Nvidia outlines contingency plans for GPU production―Jensen Huang says Nvidia has 'enough intellectual property' to transfer work to other firms (9月16日付け Taiwan News)
→NvidiaのJensen Huang CEOは、中国が台湾を攻撃した場合、同社はグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)の生産をTSMCから他の場所にシフトする可能性があると述べた。Witology Markettrend Research InstituteのLin Wei-chih氏は、サムスン電子とインテルが代替策になり得るとし、より実現可能な解決策として先端パッケージの多様化を推奨した。
Nvidia代替も中国自前で、との模索である。
◇China seeks a homegrown alternative to Nvidia − these are some of the companies to watch (9月17日付け CNBC)
→*グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPUs)を擁するNvidiaは、OpenAIのような巨大なAIモデルの学習に必要な重要なハードウェアとして注目を集めている。
*米国が中国の最先端半導体へのアクセスを制限しようとしている中、北京は自国のチップ産業を育成する取り組みを強化している。
*Huawei、AlibabaおよびBaiduをはじめとする中国のハイテク大手の中には、Nvidiaに代わる製品を開発しようとしている企業もある。
米中摩擦関連の評論、見方が続いている。それぞれに今後の推移、展開に注目するところである。
◇Breaking The Circuit: US-China Semiconductor Controls - Analysis (9月17日付け Eurasia Review)
→2022年10月、バイデン政権は、米国の技術的優位性を維持し、安全保障上の懸念に対処することを目的として、中国が米国の先端半導体や技術にアクセスすることを制限する輸出規制を導入した。これらの規制は、先端チップやスーパーコンピュータ・コンポーネントなどの分野を対象とし、2023年に強化された。この規制は短期的には中国の半導体産業を混乱させたが、長期的な効果や潜在的な中国の報復については懸念が残り、以下の概要でさらに検討する重大な政策ギャップもある。
◇US and Japan near deal to curb chip technology exports to China, FT reports―Report: US, Japan close to a deal on restricting chip tech exports to China (9月17日付け Reuters)
→フィナンシャル・タイムズ紙(FT)が火曜17日、この問題に詳しい関係者の話として報じたところによると、北京が日本企業に対して報復するという脅威を東京で警戒しているにもかかわらず、日米両国は中国のチップ産業への技術輸出を抑制するための合意に近づいているという。
◇US-China decoupling disruption as opportunity not threat―A third-party country roadmap for navigating the next big five phases of the two superpowers’ deepening split (9月17日付け Asia Times)
→米国と中国の経済的デカップリングはもはや投機的ではなく、世界経済全体に波及する結果を伴い、今まさに展開されようとしている。貿易不均衡、技術競争、そして国家安全保障への懸念に後押しされ、分裂は加速し、21世紀を形作るだろう。
◇[News] More than 30 Projects, Overview of China’s Semiconductor Industry Project Progress in 2024 (9月17日付け Trend Force)
→2024年、中国の半導体業界は次第に低迷期を脱し、緩やかな回復局面に入った。
市場の状況を見ると、川下需要の増加に伴い、多くの国内半導体産業プロジェクトが加速している。
最近、30以上の半導体関連プロジェクトが契約締結、建設、上棟、生産などの段階に入った。
◇China chip stocks surge on government equipment list (9月18日付け MSN)
→半導体産業に関連する中国企業数社の株価が水曜18日、急騰した。中国の国内チップ製造技術開発への取り組みが前進したことを示すと解釈する向きもある政府リストに対する投資家の興奮が原動力となった。
上海張江ハイテクパーク開発(Shanghai Zhangjiang Hi-Tech Park Development)と上海高麗集団(Shanghai Highly Group)は、市場引けまでに1日の上昇率の上限である10%を記録した。取引帯域の広い三和同飛冷凍(Sanhe Tongfei Refrigeration)は、1日の上昇限界20%に達した。
◇日蘭の半導体技術、米国が対中取引で近く新規制 FT報道 (9月18日付け 日経 電子版 02:04)
→AI向けなど高度な半導体製造技術の中国への提供を巡り、米国が近く日本とオランダの企業を主な対象とした新たな規制を導入する見通しとなった。米政府が11月の大統領選前の公表を検討していると、英フィナンシャル・タイムズが報じた。
◇Tech war: Chinese memory chip maker YMTC achieves design breakthrough despite US sanctions (9月19日付け South China Morning Post)
→中国フラッシュメモリー大手のYMTCは、国内半導体装置ツールプロバイダーとの緊密な連携により、チップ設計アーキテクチャで小さな飛躍を遂げた。
◇China-based CXMT's aggressive production expansion may disrupt global DRAM market―CXMT's rapid DRAM expansion could challenge market leaders (9月20日付け DigiTimes)
→Changxin Memory Technologies (CXMT)は、中国政府の強力なバックアップを受け、DRAM生産能力を積極的に拡大しており、サムスン電子、SKハイニックスおよびマイクロンの3社による独占に挑戦する可能性がある。
【インド関連】
先週開催のSEMICON India 2024を受けた内容はじめ、新興半導体圏の構築に向けた足取りは、定点観測を要するところである。
◇Semiconductor companies partner with academia to bridge skills gap―Collaborations aim to reduce the semiconductor skills gap (9月16日付け Entrepreneur INDIA)
→1)TeamLease Degree Apprenticeshipの報告書によると、インドの半導体業界は2027年までに、R&D、製造、設計および先端実装など様々な分野で25万人から30万人の専門家不足に直面すると予想されている。
2)アプライド マテリアルズ、ラムリサーチおよびケイデンス・デザイン・システムズなど、インドの半導体企業は、業界のスキルギャップに対処するため、学術機関と協力している。その取り組みには、ラボの設立、カリキュラムの開発および仮想ナノ加工環境の提供などが含まれる。
◇India roundup: SEMICON India 2024 sets new benchmark in scale (9月16日付け DIGITIMES)
→インドは9月11日から13日までSEMICON India 2024を開催した。
Tata Electronicsはウェハ・ファブ・プロジェクトの進捗状況を報告し、NXPはインドへの投資を倍増する計画である。
※モディ首相、世界の半導体大国を目指すインドのシリコン外交を強調
※セミコン・インディア2024、世界的な関心の高まりで以前の規模を上回る;NXPはインドでの研究開発努力を倍増へ
※PSMC、30年ぶりのインド商業ウェハ工場への技術移転を承認
※東京エレクトロンがTataのチップ製造施設に装置を供給、ラム・リサーチがインドで新研究所を開始
※タタ・エレクトロニクス、ASMPTシンガポールとATMP(assembly, testing, marking, and packaging) ventureに関するMoUに調印
※L&Tセミコンダクター・テクノロジーズ、先進的IC設計でIBMと提携
※インド、初のSiCモジュール製造施設の起工式を開催
◇Semicon India 2024: PM Modi Pulls Out All the Stops for Local Chip Growth―EE Times spoke with several executives about the energy surrounding the Indian semiconductor ecosystem. (9月17日付け EE Times)
→先週、インドのNarendra Modi首相は、首相とのエグゼクティブ・ラウンドテーブルとセミコン・インディア2024の開幕式に、膨大な数のグローバルなチップ設計・製造企業のCEOsや上級幹部を招待した。
エコシステム全体からこれほど多くのグローバルCEOsが一堂に会するのは、前例のないことだった: SEMIのCEOであるAjit Manocha氏は、40年以上この業界にいるが、このような懇親会は見たことがないと述べた。まるで「FOMO(Fear of Missing Out:取り残されることへの不安)」の雰囲気が漂っているかのようだった。上級幹部たちは、チップ業界が集まるステージに立ち損ねることを恐れていたのだ。
◇India In High Gear Towards Building Semiconductor Ecosystem (9月18日付け EE Times India)
→今週、インドとシンガポールの両首相が、インドの半導体エコシステムを成長させ、支援するために協力する協定に調印したことは、インドで急速に勢いが増していることを示すものである。Kaynes SemiconとTower Semiconductorは、製造・組立拠点へのさらなる投資について追加発表を行った。
◇Analog Devices, Tata Group in talks to make semiconductors in India―ADI, Tata Group to explore semiconductor manufacturing in India (9月19日付け Reuters)
→アナログ・デバイセズとインドの塩から航空のコングロマリットであるタタ・グループは、インドでの半導体製品製造を検討する協定に調印した、と該米国のチップメーカーが水曜18日に発表した。
156年の歴史を持つタタ・グループの電子機器製造部門であるタタ・エレクトロニクスは、総額$14 billionを投資し、グジャラート州にインド初の半導体製造拠点を、アッサム州にチップ組立・テスト拠点を建設する。
【AI関連】
少し間を置くと、まったく様変わり、とAI分野の新書に目を通すと、よくあらわされているが、現下のAI関連として取り出した以下の内容もそれぞれ今後の推移に注目すべきこと、との感じ方である。
◇HBM4 Feeds Generative AI’s Hunger For More Memory Bandwidth―Higher implementation and manufacturing costs are made up for by increased bandwidth, board space savings, and power efficiency. (9月12日付け Semiconductor Engineering)
→大規模言語モデル(LLMs)とその近縁の飛躍的な成長に基づいて構築されたジェネレーティブAIは、今日のコンピューティング・テクノロジーの最大の原動力のひとつである。最先端のLLMsは現在、1兆を超えるパラメーターを持ち、マルチモーダル機能を備えているため、テキスト、音声、画像、ビデオ、コードなど、幅広い入力を受け取り、同様に幅広い出力を生成することができる。LLMのトレーニングには、高帯域幅のメモリと組み合わされた膨大な計算能力が必要。このブログでは、次世代HBM4を含む高帯域幅メモリ(HBM)と、要求の厳しいLLMトレーニングのワークロードに対する主要なソリューションについて説明する。
◇With Apple on board, OpenAI’s next act could be its toughest yet (9月14日付け CNBC)
→オープンAIはChatGPTでシーンに登場し、2年足らずでテック界を根底から覆した。しかし今後数ヶ月の間に、人工知能(AI)の寵児はこれまでで最大の試練に直面することになる。
アップルとの待望のパートナーシップは、そのリーチをさらに拡大し、これまでジェネレーティブAIに接したことのない何百万人ものユーザーを目の前にすることになる。破竹の勢いで成長する巨額の評価額は、これまで以上に高いステークスを設定し、特に、アップルやエヌビディアを含む投資家たちからの関心が高い。
◇Tech leaders and US officials discuss artificial intelligence infrastructure (9月14日付け Taipei Times)
→OpenAIのサム・アルトマンCEOとNvidia Corpのジェンセン・フアンCEOは、ホワイトハウスで米政権高官や他の業界リーダーと会談し、AIプロジェクトに必要な大規模なインフラへの対応策について話し合った。
◇G7、AI悪用リスクを監視 健全な活用へ世界共通基準 (9月15日付け 日経 電子版 17:00)
→AIの健全な利用を後押しする国際的な取り組みが動き出す。主要7カ国(G7)が年内にも生成AIの悪用リスクなどに関する情報開示の基準を定め、開発事業者に回答を求める。グーグルやオープンAIなど各国大手が参加する想定で、国際標準の仕組みとして普及をめざす。
◇IDC: Artificial Intelligence Will Contribute $19.9 Trillion to the Global Economy through 2030 and Drive 3.5% of Global GDP in 2030 (9月17日付け IDC)
→IDCの新しい調査「人工知能が経済と雇用に与える世界的影響」では、AIの導入、既存事業におけるAIの活用、そして企業や消費者顧客により良い製品・サービスを提供するための事業支出が、2030年までの累積で$19.9 trillionの世界経済効果をもたらし、2030年の世界GDPの3.5%を牽引すると予測している。その結果、AIは世界のあらゆる地域の雇用に影響を与え、コンタクトセンター業務、翻訳、会計、および機械検査などの業界に影響を与えるだろう。このシフトの引き金となっているのは、98%とほぼ全会一致でAIを組織の優先課題として捉えているビジネスリーダーたちだ。
◇サカナAIにメガ銀出資 NECなど国内10社、協業で業務効率化 (9月18日付け 日経)
→3メガバンクなど国内企業10社が、米グーグル出身の研究者らが設立したサカナAI(東京・港)に出資する。大手生保や証券、NECも名を連ね、約100億円の資金を出す。サカナAIには米エヌビディアが出資をしたが「日本連合」も投資家に加わり、AIを使ったサービスなどで協業を進める。