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WSTS、2016年の世界半導体市場は2.4%減から横バイへと上方修正

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2016年の世界半導体の成長率は、春のWSTS(世界半導体市場統計)の予測(2016年5月の会議)では2.4%減のマイナス成長だったが、11月に行われた会議では0.1%減とほぼ横ばいへと、上方修正することになった。直近のメモリがDRAM、NANDフラッシュとも単価が上がり、売り上げは好調になってきたためとみられる。

図1 世界半導体の地域別市場 出典:WSTS

図1 世界半導体の地域別市場 出典:WSTS


WSTSは、今回の予測を立てるにあたって9月までの実績値をもとに議論し作成した。市場をけん引するのは自動車でセンサやアナログ関係の伸びが目立つとしている。クルマ以外でも、IoTやドローンなども成長している。昨年と比べて回復基調になってきている背景にはメモリの伸びが挙げられる。NANDフラッシュは相変わらず順調に伸びてきており、DRAMも回復しつつある。

特にDRAMはこのところ引き合いが強く、モバイルDRAMはこの第3四半期には前四半期比16.8%増と極度に良い(参考資料1)。PC向けのDRAMの平均単価は、第2四半期を底として第3四半期から2017年第1四半期までは伸び続け、回復基調にある。メモリの市場調査会社であるTrendForce社傘下のDRAMeXchangeによると(参考資料2)、2017年第1四半期には4GバイトのメモリモジュールのPC DRAMの平均単価は15%増加するとみている。

地域別では、日本とアジア太平洋地域が半導体市場をプラス成長とみているが、日本は円高の影響を受けているため、ドルベースでは2.5%増だが円ベースでは8.9%減となっている。

製品別では、アナログとマイクロ(MCU+MPU)はプラス成長、ロジックとメモリがマイナス成長となっている。ただ、WSTSの分類ではスマートフォン用のアプリケーションプロセッサをロジックと分類しているため、ロジックのマイナス成長は、スマホの成長率が以前ほど高くなく緩んできたことを示している。マイコンは伸びており、その背景にはクルマやIoTの成長がありそうだ。

IC以外では、MEMSで代表されるセンサ類が22.6%増と極めて大きく成長している様は、クルマやIoTの伸びがあるだろう。またディスクリートも4.2%増ということも、背景にはクルマの成長がある。ディスクリートのうちの60〜70%がパワートランジスタであり、モータ制御用に多数使われていることがうかがわれる。それもクルマ用にウィンドウの開閉やワイパー駆動、LED照明など小電流の応用がクルマ用途では多い。中国と米国がクルマ市場で、中国・米国・インドでは再生可能エネルギー用途が多いという。


参考資料
1. Global Mobile DRAM Revenue Rose 16.8% Sequentially in Third Quarter, Says TrendForce, (2016/11/24)
2. TrendForce Expects Average Contract Price of PC DRAM to Go Up 15% Sequentially in First Quarter of 2017 (2016/11/22)

(2016/12/02)

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