2023年世界の半導体企業、トップは2年続けてTSMC
各社の決算発表から世界の半導体企業ランキングを見積もると、1位はTSMC、2位Nvidia、3位Intel、4位Samsung、5位Qualcommという結果になった。これらの数字は、主として各社の決算発表を示したものだが、市場調査会社はTSMCを入れないところが多い。しかし、各社合計で半導体市場規模を求めるのではなく、単なるランキングを求める目的であるからここではTSMCを含めている。
図1 世界の半導体企業ランキング 1位は2年連続TSMC 出典:各社の決算報告書とセミコンポータル
1位のTSMCは、売上額が前年比8.7%減にも拘わらず、2022年に続き2年連続トップに立った。22年に2位だったSamsungは4位に後退した。2位のNvidiaはトップテン圏外からいきなり2位に食い込んだ。
この中で、Nvidiaの決算会計年度は2024年度(2023年2月〜2024年1月期)とカレンダー年とは違う。しかし、2023年2月から10月までの数字は公表しているため、残りの1月と11月、12月を推定してカレンダー年の売上額を推定してみる。2023年の第1四半期における半導体景気はまだどん底で、Nvidiaの2023年度第4四半期(2022年11月〜23年1月期)の売上額は60.51億ドルしかなかった。これを平均化するため3で割ると1月は20.17億ドルとなる。また、2024年度第4四半期(23年11月〜24年1月期)の売上額は221.03億ドルであったため、平均的にその2/3が11月と12月だとみなすと、この2ヵ月分は147.35億ドルになる。すでに発表されている2月から10月までは388.19億ドルであるから、これらを合計すると555.7億ドルとなる。ただ、この金額でさえIntelを超えているため、2位はほぼ確定だといえるだろう。
Nvidiaの数字は極端で、2023年第2四半期(2〜4月期)から急激に伸びている(図2)。第3四半期(3Q)、第4四半期(4Q)はさらに伸び続けている。そして次の2024年1Qとなる2025年度第1四半期の見通しは、240億ドル±2%であるから、さらに伸びることになる。
図2 Nvidiaの売上額は2023年2Q(2024年度第2四半期)から急速に伸びている 出典:Nvidiaの決算発表の数字をセミコンポータルがグラフ化
決算期はカレンダー年の企業が多いものの、若干ずれている企業としてBroadcomが11月〜翌10月、Micronは12月〜翌11月、Infineonは10月〜翌9月などがある。図1でBroadcomとMicronはそれぞれ企業が発表した年度で表現した。Infineonはカレンダー年に換算している。四半期決算報告とカレンダー年度で3カ月ずれている分を正確に変換できるからだ。
図1は、1位から13位までを示しているが、9位のTexas Instrumentsと10位のInfineon Technologies、11位のSTMicroelectronicsはかなり接近しており、特にInfineonはユーロで発表しているため、ユーロとドルの換算レート次第では、その順位は微妙だ。ここでは先週末の最近の数字で1ユーロ=1.08ドルで計算した。STのレートは明らかではないので、変動がありうると指摘しておこう。同様に韓国のSamsungとSK Hynix、台湾のMediaTekも現地レートで発表している。換算レートを以下に示す。1韓国ウォン=0.00075米ドル、1台湾元=0.032米ドル。
日本企業としてトップスリーとなるソニーセミコンダクタソリューションズとルネサスエレクトロニクス、キオクシアを算出した。換算レートは1ドル=150円である。すると1兆5530億円売り上げのソニー半導体は103.5億ドル、国内2位のルネサスは1兆4694億円売り上げだが、97.96億ドル、キオクシアは9997億円の売り上げだが66.65億ドルになる。超円安のため、日本企業をドルで表示すると世界にはとても及ばない数字になってしまう。また、ソニーの半導体はソニーグループの決算報告書では、「イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)部門」で表現されている。