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頑張ったキオクシア、19年第3四半期は前四半期比14.3%成長

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2019年第3四半期におけるNANDフラッシュの売上額は前四半期比10.2%増の119億ドルになった、とTrendForceが発表した(表1)。メモリ単価は5%値下がりしたものの、ビット需要は15%成長した。中でもキオクシアは6月下旬の停電事故の後にもかかわらず、20%以上のビット需要で売り上げは14.3%増加し、22億2670万ドルに達した。

表1 NANDフラッシュの上位6社ランキング 出典:TrendForce

3Q19 Sales Ranking of Branded NAND Flash Makers


キオクシア(旧東芝メモリ)は2019年6月下旬に四日市工場で停電事故を起こした。この影響で第2四半期は、同10.6%減の19億4810万ドルと沈んだ(表2)。全体的にはSamsungの独り勝ちで、キオクシアとMicron、Western Digitalが沈み、NANDフラッシュ全体として売上額は横ばいとなっていた。


表2 2019年第2四半期におけるNANDフラッシュメーカーランキング 出典:TrendForce

2Q19 Sales Ranking of Branded NAND Flash Makers


キオクシアは、第2四半期の落ち込みを早く回復させるため、ビット需要を前四半期比20%以上も増やし出荷してきた。季節要因としてちょうど増える時期であったと同時にAppleの新しいスマートフォンによる需要が立ち上がった結果でもあった。単価は同5%減少したものの、売上額は14.3%増加した。

四日市工場での停電事故によってライバルメーカーより生産が遅れてしまったが、早期に再開できた。加えてNANDフラッシュの更なる生産量を増やすため、岩手県の北上工場K1ファブの建設を10月に終え、早ければ2020年上半期にも稼働し始める予定だという。これによってビット出荷量のシェアを停電前の状況に取り戻すと期待している。

Samsungでは、サーバーとモバイル向けのNANDフラッシュのビット出荷量が10%を超え、単価の下落は5%未満にとどまった結果、売上額は5.9%増になり39億8700万ドルとなった。今後の生産量アップに対しては、中国西安の第2工場の稼働を20年上半期にスタートさせる計画だ。

Western Digitalのビット需要は、前四半期比9%増だったが、四日市工場の停電の影響で単価がさほど下がらず、売上額は8.4%増の16億3200万ドルになった。

Micronはモバイルデバイスの立ち上がりとクライアントPCの在庫需要の高いことから同4.7%増の15億3000万ドルにとどまった。

Intelは、企業向けSSDと個人向けSSDの出荷が共に増えたことにより、50%以上のビット出荷量が増えた。ただ、先端プロセスと高集積化技術によって個人向けSSDの採用が増えたのにもかかわらず、単価は10%以上落ちた。この結果NANDフラッシュの売上額は37.2%増の12億9000万ドルとなった。

参考資料
1. 2018年第4四半期におけるNANDフラッシュ販売額は大きくマイナス (2019/02/22)

(2019/11/26)

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