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台湾に向かう半導体関連の動き:事業売却、最先端連携、5G対応開発

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最先端半導体への取り組みが追い風となっている台湾半導体業界に向かう動きが相次いでいる。パナソニックが半導体事業から撤退、台湾の新唐科技(Nuvoton Technology)への売却を発表、世界半導体市場における我が国の存在感の一段の低下となる。最先端半導体の研究開発に向けて、東京大と台湾・TSMCが提携を発表している。そして、Intelと台湾・MediaTekが、5G対応半導体の設計および製作でコラボするとし、MediaTekは同社初の5G SoC、Dimensity 1000を打ち上げている。環境激変を受けて「グローバルな協調と競争」の枠組みがまた一段と変わらざるを得ない現状を受け止めるとともに引き続き業界構図の推移に注目するところである。

≪脱皮を図るそれぞれの動き≫

パナソニックが半導体事業から撤退、台湾のメモリ半導体メーカー、Winbond Electronicsが株式の約6割を保有する台湾の新唐科技(Nuvoton Technology)に270億円で売却する、と発表している。日本の半導体業界のまた一区切りと、以下あらわされている。

◇パナソニック、半導体撤退へ、台湾企業に売却 (11月28日付け 日経 電子版 05:00)
→パナソニックは半導体事業から撤退する旨。台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー:Nuvoton Technology Corporation)に、事業会社の株式を売却する旨。パナソニックの半導体事業は赤字が続き、再建を目指してきたが、米中貿易摩擦による販売減速が事業継続を断念する引き金となった旨。かつて日本の電機大手は世界の半導体市場を席巻したが、積極投資を続けた韓国・台湾勢にシェアを奪われ競争力を失った旨。パナソニックの撤退により、日本の半導体事業のリストラは区切りを迎える旨。
パナソニックは半導体の開発や製造、販売を手がける全額出資のパナソニックセミコンダクターソリューションズ(京都府長岡京市)を売却する旨。
同社が49%、イスラエルの半導体企業タワージャズが51%をそれぞれ出資する合弁会社、パナソニック・タワージャズセミコンダクター(富山県魚津市)が、富山県や新潟県の計3工場で画像センサなどの半導体を生産しており、これも手放すことになる旨。
ヌヴォトンは電子機器を制御するマイコン(MCU)などの自社製品と、他社からの受託生産が二本柱。台湾の半導体メモリ大手、華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)がヌヴォトンの株式の約6割を保有する旨。

◇パナソニック、半導体事業の売却発表、270億円で (11月28日付け 日経 電子版 16:26)
→パナソニックは28日、半導体事業を台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に売却すると発表、半導体事業子会社の全株式を2020年6月をメドに、2億5000万ドル(約270億円)で売却する旨。工場や一部事業の売却など構造改革を進めたが、半導体事業は赤字が続いていた旨。パナソニックは2021年までに構造的な赤字事業の整理を徹底する方針を示している旨。

◇パナソニック、半導体撤退、来年6月メド、台湾企業に売却 (11月29日付け 日経)
→パナソニックは28日、半導体事業を台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に売却すると発表、事業子会社の全株式を2020年6月をメドに、2億5000万ドル(約270億円)で売却する旨。半導体は家電とともに成長したが、韓国や台湾勢の攻勢で競争力を失った旨。パナソニックは再建を断念して撤退する旨。構造改革はまだ道半ば。

◇Nuvoton to buy Panasonic chip unit (11月29日付け DIGITIMES)
→Panasonicが、同社半導体事業をメモリ半導体メーカー、Winbond Electronicsがmajorityを有する台湾のMCU specialist、Nuvoton Technologyに売却することに合意の旨。

◇Panasonic to exit semiconductor business (11月29日付け DIGITIMES)
→半導体operationsを台湾・Nuvoton Technologyに売却決定、Panasonicが、かつて1990年代に世界のトップ10プレイヤーに入った半導体業界を離れる旨。

◇台湾勢、対日買収に活路、半導体、中国企業に対抗 (11月29日付け 日経)
→パナソニックの半導体事業の譲渡先となったのは、台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)。日本勢が相次ぎ半導体を切り離すなか、台湾勢が受け皿となっている旨。台頭する中国勢に対抗するため、技術や人材の取り込みを急ぐ旨。一方、今回の事業売却で世界市場における日本の存在感は一段と低下する旨。競争力を保つ日本企業はソニーなど一握り。
背景には中国勢の脅威がある旨。台湾企業は中国生産によるコスト削減と果敢な投資判断で電子産業の集積地としての地位を築いた半面、息の長い研究や技術開発は弱い旨。そのなか、台頭する中国勢に役割を侵食される「紅い供給網(サプライチェーン)」の脅威論が高まり弱点の補強に動く旨。
日本勢は、好不況の波が激しい一方で半導体事業から次々に脱落。半導体をあくまで「一部門」として抱えていた電機メーカーは世界の競合についていけなくなった旨。今回のパナソニックの事業売却も同じ流れの中にある旨。

これは最先端半導体の研究開発が対象であるが、東京大と台湾・TSMCが以下の通り提携していくと発表している。

◇TSMCが東大と提携、先端半導体の開発後押し (11月27日付け 日経 電子版 17:51)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と東京大学は27日、先端分野の半導体の研究開発で提携すると発表、TSMCが半導体開発や試作のプラットフォームを東大側に提供するほか、材料など幅広い分野で共同研究を進める旨。同社が海外の大学と包括的な提携を結ぶのは初めての旨。提携では東大大学院工学系研究科に10月に設置された「システムデザイン研究センター」(ディーラボ)に対し、TSMCがクラウド上の仮想空間を活用した半導体設計のプラットフォームの提供や試作支援を行う旨。

◇TSMC and UTokyo announce semiconductor tech collaboration (11月28日付け DIGITIMES)
→東京大とTSMCが、最先端半導体技術におけるorganization-wideコラボを追求するアライアンスを発表、該アライアンスのもと、TSMCは東大大学院工学系研究科のSystems Design Lab, d.labにCyberShuttle multi-projectウェーハprototypingサービスを供給する旨。該d.labはまた、半導体設計プロセスに向けてTSMCのOpen Innovation Platform Virtual Design Environment(VDE)を採用する旨。

さらに、米国・Intelが台湾・MediaTekとパソコン用5G半導体に向けて連携を図っていくとしている。並行して、MediaTekは5G SoCsファミリーの最初のもの、Dimensity 1000を打ち上げている。台湾の方が先行している様相がうかがえるところがある。

◇Intel partners with MediaTek to make 5G chips for PCs-Intel, MediaTek to team on chips for 5G laptops in 2021-The two companies will try to compete with Qualcomm's technology for cellular-connected computers. (11月25日付け CNET)
→IntelとMediaTekが、cellular-connected computers向け半導体の設計および製作でコラボ、2021年に拡販の5G-ベースlaptopsを狙っている旨。
MediaTekは、4つのコア搭載、7-nmプロセスで製造の5G system-on-a-chip(SoC)デバイス、Dimensity 1000を出したばかりの旨。

◇MediaTek's first 5G SoC is the AI-heavy, power-sipping Dimensity 1000 (11月25日付け VentureBeat)
→higher-end 5G機器用Qualcomm Snapdragon 855代替で、MediaTekが5G system-on-chip(SoC)に取り組んでいるのは驚きでないが、本日該半導体をDimensity 1000と正式に名づけ、5G SoCsファミリーで最初というものについてスペックを与えている旨。

◇MediaTek Rolls 5G Chip, Modem Alliance with Intel (11月26日付け EE Times)

中国のファブレスメーカーの需要に応えるため、台湾・ファウンドリー、TSMCおよびUMCの中国における拠点の増強ぶりである。

◇To Meet Demand of Chinese Clients-TSMC and UMC Planning to Expand Facilities-TSMC, UMC will expand fabs to meet demands of Chinese firms (11月25日付け BusinessKorea magazine online)
→台湾のファウンドリー、TSMCとUMCが、中国のファブレス会社の需要により良く合わせるために中国におけるそれぞれの製造拠点拡大を計画している旨。
TSMCは、今年末までにNanjing(江蘇省南京市)において12-インチウェーハベース月次生産capacityを10,000枚から15,000枚に高めようとしており、TSMCの該地域拠点は現在、16-nmプロセスによりconsumer electronics用microcontrollers(MCUs)およびスマートフォンapplicationプロセッサを生産の旨。加えてTSMCは、該ウェーハベース生産volumeを来年20,000枚に高めていく旨。
同様にUMCは、Xiamen(福建省厦門市)における28-nm to 40-nmプロセスを12-インチウェーハベース生産で170,000枚から250,000枚に増やして拡大していく旨。該プロセスは旧く、つくられる製品の大方は中国のclientsに供給される模様の旨。
一方、中国のファウンドリー、SMICは、今年第三四半期に97%のcapacity稼働率を記録、中国ファブレス会社への供給が全体の60%を上回る旨。

中国市場に向けた生産対応、そして最先端はじめ日米との連携、買収、と求心力を高める台湾半導体業界に一層の注目である。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中貿易問題については部分合意が間近と言われながらも先が開けない状況が続いている。トランプ政権からは、「危険な通信機器」調達禁止に向けた中国に対する揺さぶりが見られている。

◇No 'phase two' U.S.-China deal on the horizon, officials say (11月25日付け Reuters)
→米国と中国のofficials, lawmakersおよびtrade experts発。予備的な“phase one”締結に揉めて、両国の間の意欲的な“phase two”貿易取引はありそうになくなっている旨。

◇米、「危険な通信機器」調達禁止、中国念頭に規制案 (11月27日付け 日経 電子版 05:51)
→米商務省は26日、米国の通信網に危険を及ぼす可能性がある製品の調達を禁じる規制案を発表、リスクが大きいと判断すれば米企業に取引を止めるよう求める旨。中国製品を念頭に米国市場から排除する狙い。米中両政府が貿易問題で部分合意を探るなか、トランプ政権はハイテク分野で硬軟織り交ぜながら揺さぶりをかけている旨。

さらに、香港情勢が米中貿易問題の先行きに重く圧し掛かっている。注目の香港区議選では民主派が圧勝の一方、トランプ大統領が香港人権法に署名して成立、中国側が強く反発して、貿易交渉への影響が懸念されている。

◇香港区議選、民主派が議席8割超す圧勝、現地報道 (11月25日付け 日経 電子版 06:03)
→香港で24日投票が行われた区議会(地方議会)議員選挙で、民主派が圧勝する見通しとなった旨。香港メディアによると、民主派は全452議席のうち8割超を押さえ、選挙前の約3割から大きく躍進する旨。民主派は区議選をデモの賛否を問う「住民投票」と位置づけてきた旨。デモ支持の民意が示されたとして、普通選挙などの要求を強める可能性がある旨。民主派が区議会選で過半数以上を獲得するのは1997年の中国返還後で初めて。

◇香港の圧倒的な民意、中国に圧力、民主派が議席8割超 (11月25日付け 日経 電子版 21:30)
→24日投票の香港区議会議員選挙は、民主派が全議席の8割超を獲得して圧勝した旨。6月に始まった大規模デモへの支持の高さと、締め付けを強める中国政府への反感が浮き彫りになった旨。行政長官選挙の民主化などデモ参加者の要求は高まるが、中国政府は逆に反発を強める公算が大きい旨。「一国二制度」の下で香港で示された民意が事態をさらに混乱させる可能性もある旨。

◇米、香港人権法が成立、中国「内政干渉だ」報復言及 (11月28日付け 日経 電子版 08:10)
→トランプ米大統領は27日、香港での人権尊重や民主主義の確立を支援する「香港人権・民主主義法」に署名し、同法は成立した旨。ホワイトハウスが発表した旨。香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているかどうか米政府に毎年の検証を義務付けるのが柱。成立を受け、中国政府は28日に発表した声明で「重大な内政干渉だ」と反発。報復措置を発動する考えを示した旨。

◇香港人権法、新たな火種に、米中貿易交渉に波及も (11月28日付け 日経 電子版 23:07)
→トランプ米大統領は27日、香港での人権尊重や民主主義確立を支援する「香港人権・民主主義法」に署名し、同法が成立、中国は「内政干渉」と反発し、報復措置をとる構えを見せる旨。米中の対立は貿易やハイテク分野から人権問題に拡大して複雑さを増している旨。部分合意へ大詰めを迎えていた貿易交渉にも暗雲が垂れこめてきた旨。

【日韓摩擦関連】

日本と韓国の間の輸出管理を巡る協議が始まっており、12月中旬に本格化させ、下旬開催が探られている両国首脳会談にもっていく運びである。輸出管理の厳格化を求める日本側に韓国がどう反応するかに注目である。

◇輸出管理巡り事務レベル協議、日韓両政府、課長級で (11月28日付け 日経 電子版 22:46)
→日本と韓国の両政府は28日、輸出管理の厳格化を巡る課長級の協議を始めた旨。韓国は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効を停止したが、日本の輸出管理の厳格化見直しがなければ協定延長の取り消しも辞さない姿勢を示している旨。日本はGSOMIAとは関係ないとの立場。協議では韓国の輸出管理体制を確認し、今後の対応を検討する旨。

◇日韓局長級政策対話、12月中旬開催へ (11月29日付け 日経 電子版 09:16)
→韓国の産業通商資源省は29日、日本の対韓輸出管理の厳格化を巡る日韓の局長級の政策対話を12月16〜20日に東京で開催すると発表、12月4日にはオーストリアのウィーンで局長級の準備会合も開催する旨。両政府は11月28日にソウルで課長級の準備会合を開いており、12月下旬に想定する日韓首脳会談を視野に協議が本格化する旨。

◇韓日の輸出規制巡る協議が来月本格化、首脳会談にらみ突破口開くか (11月29日付け 聯合ニュース 14:40)
→日本の対韓輸出規制を巡り韓国と日本は来月、通商当局間協議を本格化する旨。予想されていたよりも早めの協議日程は、年末の首脳外交をにらんだ設定といえそう。韓日関係をこじれたままにはしておけず、年末に両首脳が対面する前にどうにか突破口を開く必要があるという認識で両国が原則的に一致したとみられる旨。

◇韓国、輸出管理体制を強化へ、政策対話、加速狙う (11月29日付け 日経 電子版 18:50)
→韓国政府は輸出管理体制を強化する旨。安全保障にかかわる戦略物資の輸出について、審査を担当する専門部署の職員数を2020年1月1日付で5割増やし45人体制にする旨。韓国側は日本が問題視してきた輸出管理体制を補強することで、政策対話の加速を狙う旨。

【市場底打ち&上向き】

7-9月四半期の半導体関連市場のプラスに戻すデータがあらわれているが、さらにいくつか。まずは、半導体組立&テスト、OSAT市場の本年後半のビジネス上向きである。

◇OSAT market may be on the turn-TrendForce sees OSAT market rebounding (11月25日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce発。メモリ半導体価格が低下、スマートフォンの売上げが停滞して今年始め低下しているoutsourced semiconductor assembly and test(OSAT)市場が、2019年後半ではビジネスが上向きになっている旨。OSATトップ10会社の第三四半期売上げ合計が$6 billion、前四半期比18.7%増、前年同期比10.1%増。

メモリIC設計会社から見たDRAM価格であるが、この第四四半期に底を打ち、来年上昇に向かう見方である。

◇ESMT expects niche-market DRAM prices to rebound-Niche-market DRAM prices should make a comeback in 2020, ESMT says (11月26日付け DIGITIMES)
→メモリIC design house、Elite Semiconductor Memory Technology(ESMT)は、niche-market DRAM価格が2020年に戻していくと見ている旨。DRAM価格は第四四半期に底を打ち、来年上昇し始める、とESMT、加えて、niche-market DRAM価格も弾みを受けていく旨。

NANDフラッシュのビット出荷および売上げについて、第三四半期における上げ具合である。

◇NAND bit shipments up; ASPs down; revenues rise-NAND bit shipments, revenue rise in Q3 -Q3 NAND bit shipment grew 15%, says DRAMeXchange and revenue rose 10.2% to $11.9 billion. (11月27日付け Electronics Weekly (UK))
→DRAMeXchange発。NANDビット出荷および売上げが、2019年第三四半期に増加、全体では、売上げが前四半期比10.2%増の$11.9 billionの一方、NANDビット出荷が同15%増加、Intelが50%を上回るビット出荷の伸びで引っ張っている旨。

【首位入れ替わるか?】

半導体前工程の製造装置市場は長らくApplied Materials(AMAT)がランキング首位の座にあって、半導体のインテルと同様の雰囲気があったが、今年はEUV lithography装置のASML(オランダ)が首位になるとThe Information Networkの見方である。

◇ASML to take semiconductor equipment lead from Applied in 2019, says market research firm-Market research firm sees ASML taking top spot in IC gear (11月25日付け DIGITIMES)
→The Information Network発。1990年以来初めてのこと、Applied Materialsが半導体装置市場でのリードを失う見込みの旨。「ここ3年wafer front end(WFE)市場でのシェアを落としているApplied Materialsは、2019年における主導を失う見込み」と、同社president、Robert Castellano氏。「ASMLが、高価なEUV lithography装置出荷の力強さから該主導を受け継ぐ。」

◇ASML Will Overtake Applied Materials As Semiconductor Equipment Leader In 2019 (11月27日付け The Information Network)
→半導体装置front end市場におけるリーダーとして約20年を経て、Applied Materialsが2019年さらに2020年にかけて席巻を失う旨。ここ3年市場シェアを失ってきているApplied Materialsは、ASMLの21.6%シェアに対し19.4%である旨。2020年にはASMLのシェアが22.8%に高まる一方、Appliedのシェアは19.3%に留まる旨。

【Intel関連】

AIプロセッサ、CPU不足そして事業売却、という切り口でIntelの以下の動きがみられている。PCメーカーの業績にインパクトとなっているCPU不足について、ロジックはファウンドリーに託してCPU生産に傾注する方針のもと、Samsungにおいても該生産委託が増加している。

◇Intel AI Exec Gadi Singer: Partners 'Crucial' To Nervana NNP-I's Success-New Chip Has Higher Compute Density Than Nvidia's T4 GPU (11月22日付け CRN (US))
→Intelのartificial intelligence(AI) executive、Gadi Singer氏。同社のchannelパートナーが、deep learning推論workloadsに向けた新しいNervana NNP-Iプロセッサの使用において大きな役割を果たす旨。

◇Intel CPU shortages may affect SSD adoption in PCs in 2020-Sources: Shortages of Intel CPUs might affect SSD adoption (11月25日付け DIGITIMES)
→上流supply chainの業界筋発。key Intel CPUsの不足継続で、来年のPCsにおける業界のsolid-state drives(SSDs)採用が損なわれる可能性の旨。

◇Intel may sell home connectivity unit that brings in $450M annually (11月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社が、home Internet access装置向け半導体をつくる同社事業部門の売却を検討している旨。

◇サムスン電子、インテルからの委託生産量が増加 (11月28日付け 韓国・中央日報)
→パソコンやサーバの頭脳の役割をする中央処理装置(CPU)市場でライバルのAMDの攻勢を受けているインテルが、今年に入ってサムスン電子への委託生産(ファウンドリー)量を増やしたことが分かった旨。インテルは主力のCPUの生産能力拡充に注力し、CPU以外のロジックチップは委託生産を増やす考え。部品業界によると、インテルは独自のCPU生産量を確保するため、台湾のTSMC、サムスン電子ファウンドリー事業部、グローバルファウンドリーズ(GF)などにCPUを除いた半導体の委託生産量を増やしている旨。これら企業は世界半導体委託生産市場で1-3位。

【M&A関連】

XeroxのHPに対する買収提案の1件であるが、HPが念押しを再度拒否、敵対の色合いを一層濃くする状況となっている。

◇HP refuses to open its books to Xerox over $33bn buyout offer (11月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→HPが日曜24日夕方、プリンタ&複写機メーカー、Xeroxの$33bn buyout提示をもう1度拒否、Carl Icahn氏支援のグループとの敵対闘争への軌道に入っていく旨。

◇Xerox turns to HP shareholders in takeover proposal (11月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Xeroxが、HPの$33bn takeover提案を直接HPの株主にもっていくとし、2社の間の敵愾心がエスカレートの旨。

日立製作所が、傘下の日立化成の売却を巡る動きが次の通りである。

◇日立製作所、日立化成を昭和電工に売却へ、デジタル注力 (11月25日付け 日経 電子版 23:50)
→日立製作所は25日、グループの中核子会社である化学大手、日立化成の売却を巡り、総合化学メーカーの昭和電工に買収の優先交渉権を与えることを決めた旨。日立はグループの「御三家」と呼ばれた日立化成を売却。ものづくりからデジタル関連事業を中核とする企業への移行を急ぐ旨。実現すれば国内の化学業界では久々の大型再編となる旨。


≪グローバル雑学王−595≫

米国と中国の狭間にある地政学的な位置づけの欧州、EUについて、ファーウェイそして5Gを巡る米中のせめぎ合い、駆け引きを、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より2回に分けて見ていく1回目である。携帯通信事業者の業界団体、GSMA(GSM[global system for mobile communications] Association)主催、スペイン・バルセロナでのMWC(Mobile World Congress)は半導体業界の先端の動きを捉える上で最も重要なイベントの1つであるが、今年2月下旬のMWCの場でのファーウェイの折り畳み式5Gスマートフォン「Mate X」発表について詳細があらわされている。「5G元年」と謳う2019年、ファーウェイが訴える最先端の戦略性そして半導体の取り組みに改めて注目である。ハードウェア&ソフトウェアの根幹を握る米国の欧州「反ファーウェイ」の旅がMWCに合わせて展開されている。まさに最前線の応酬の実態である。


第4章 EUを巡る米中の攻防 …2分の1

■自信満々の5Gスマホ発表
・GSMA主催、世界最大のモバイル見本市「MWC(Mobile World Congress) 2019」
 …2019年2月25日〜2月28日:スペイン・バルセロナ
 …GSMA:世界750社以上の携帯電話会社が加盟する団体、1995年ロンドンに設立
 →世界198ヵ国・地域から7900人の関連会社のCEO、10万9000人の訪問者、3640人のジャーナリスト
・この場で、世界中のモバイル関係者たちが最も注視したのが、ファーウェイとトランプ政権のバトルの行方
 →ファーウェイは開幕の前日、バルセロナの高級ホテルで、折り畳み式5Gスマートフォン「Mate X」を発表
  →3日前にサムスンがサンフランシスコで、5Gスマートフォン「Galaxy Fold」を先行発表
  →ファーウェイの5Gスマートフォンの方が優れていることを強調
  →販売価格は2299ユーロ(約28.2万円)を予定
   →サムスンの1台1980ドル(約21.4万円)に比べて25%も割高
 →今後はファーウェイは『世界最高レベルの製品』を世に出していく
・この発表は、世界のスマートフォンがいよいよ「5G時代」に突入したことを告げるもの
 →トランプ政権による「包囲網」を、世界最強の5Gスマートフォンを世に問うことによって、中央突破
・「王者アップル」は過去10年余り、ライバル各社が先に発売する新製品を
 見定めた上で、一段上を行く美しい新製品を発売
 →いわば「後出しじゃんけん」によって、世界の市場を掌握
・ファーウェイは今回、こうした「アップル商法」は成り立たないと判断、先に5Gスマホを発売することにこだわった
 →「4G→5G」という技術のギャップがあまりに大きいため
・アップルはクアルコムの特許技術に依存、両社は特許料を巡って訴訟合戦を展開
 →アップルは5Gスマートフォンの発売で、ファーウェイに1年も水を開けられてしまった
・MWCの会場で、「5Gスマートフォン」を発表した2日後の2月26日、ファーウェイの郭平副会長兼輪番会長の基調講演
 …『5Gをより安全に、より早く、よりスマートにもたらす』
 →「ファーウェイは、5Gネットワークを大規模に展開していく世界で最初の企業」
 →「ファーウェイは5Gアンテナに、新しい素材を使用」
  →コンポーネント数を99%も削減、カバーも軽量化、重量を40%軽く
 →「また、昨年2018年10月、世界で最も強力な自主開発のICチップ『Ascend 910』と『Ascend 310』を発表」
 →「ファーウェイは、バックドアを埋め込むことはない。何者かがファーウェイの機器でそのような行為を行うことも容認しない」
 →「結論は、最高の技術と安全性を望むなら、ファーウェイを選ぶべき」
・これに対してアメリカも、MWCで反撃に
 →「反ファーウェイ要員」として、関係官庁の高官たちを送り込んだ
 →ファーウェイを「二枚舌の詐欺師」と非難、ファーウェイの機器を購入したらアメリカの資金援助は得られなくなると、各国に釘を刺すため
・MWCでの勝負は、完全にファーウェイ側に軍配が上がった
 →胡厚崑輪番会長が2月26日、MWCの会場で順調ぶりをアピール
  …「現在までにすでに30件の5G関連の契約、内訳は、ヨーロッパ18件、中東9件、アジア太平洋3件」
 →ファーウェイの周躍峰ワイヤレス・ソリューション部門CMO
  …「世界で3G人口が5億人になるのに約10年、4G人口が5億人になるのに約5年、5Gは3年しかかからない」
  …「世界最速で5Gを展開する市場の1つが中国、推進役を担っているのがファーウェイ」
・ファーウェイはダメ押しで2月28日、アメリカの主要紙に全面広告
 …「あなたが聞いたことすべてを信じないで。われわれのドアは常にオープン、アメリカ市民にもっとよくわれわれのことを知ってもらいたい」

■世界初の5G基地局向けコアチップ
・ファーウェイは、2019年1月24日に北京で、もう1つの重要な新製品の発表
 →5Gの基地局向けに設計した世界初のコアチップ「天●(北斗七星の意)」(Tiangang)
・ファーウェイの丁(ライアン・ディン)専務取締役兼通信事業者向けネットワーク事業グループCEO
 →「該チップは、統合性、コンピューティング性能、周波数帯域で抜きん出た業界初の5Gコアチップ」
  …「業界最多64チャンネルの周波数帯域に対応、200MHzという広帯域にも対応」
 →「これまでに世界各地で、5Gネットワーク構築に向けた契約を30件締結、計2万5000個に及ぶ5G基地局を出荷」
・「5G元年」を迎えた2019年、ファーウェイは、まさに自信満々

■トランプ政権欧州「反ファーウェイ」の旅
・中国政府や中国の地方自治体は、国内の5Gインフラの多くを、ファーウェイに委託
 →「中国国内の5G化は、まず大都市と沿岸部を優先、整備のピークは2021年に」(ファーウェイの中堅幹部)
・「勝負」は、世界3大市場のうち、米中を除いたもう1つの巨大経済圏、EU(欧州連合)域内でのファーウェイの趨勢にかかる
 →5Gスマートフォンの発表の地にバルセロナを選んだのも、EUこそが「主戦場」と睨んだから
・マイク・ポンペオ米国国務長官、2月11日から15日まで、ハンガリー、スロバキア、ポーランド歴訪
 →まさに「反ファーウェイ戦線拡大の旅」
・(著者は)2016年秋、中欧・東欧諸国を視察して回ったが、どの国でも中国の影響力は圧倒的
 →ハンガリーの首都、ブダペストは人口約180万人、中心部の一角に3万人の中華街
・ポンペオ長官、帰国後の2月21日、FOXビジネステレビのインタビュー
 →「ファーウェイのシステムは、中国人民解放軍によって設計されたものということを、どの国も理解しなければならない」
 →「今後、情報共有や協力ができなくなる」
・2月13日から17日までポーランドとドイツを訪問したペンス米国副大統領
 →1月8日にポーランドがファーウェイ現地社員ら2人を逮捕したことを賞賛
 →「中国の法律では、中国の通信会社がアクセスするネットワークや設備のあらゆるデータを、北京の膨大なセキュリティ機器に提供するよう義務づけ」

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