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「COVID-19」インパクト:高まる危機感の中、2月半導体販売高発表

特に米国および欧州での「COVID-19」インパクトにより大きく高まる危機感の中、同じ轍を踏まないよう一層の外出自粛が迫られている我が国、という現時点である。そのような週を締めるタイミングで、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より定例の月次世界半導体販売高が発表され、この2月について$34.5 billion、前月比2.4%減、前年同月比5.0%増というデータ内容である。「COVID-19」インパクトは出始めで本格的にあらわれるのは3月以降とされる一方、昨年の2月は一昨年の活況から大きく落ち込んだ販売高ゆえの前年同月比の見え方となっている。なにより新型コロナウイルスのできるだけ早い終息に向かう事態の推移への期待である。

≪2月の世界半導体販売高;インパクト概況&半導体関連≫

米国・SIAからの発表、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇2月のグローバル半導体販売高が前月比2.4%減−中国での需要が1月比大きく減少、COVID-19危機初期インパクトを反映…4月3日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年2月の世界半導体販売高が$34.5 billionで、前月、2020年1月の総計、$35.4 billionから2.4%減、しかし前年同月、2019年2月の総計、$32.9 billionからは5.0%増、と発表した。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、半導体製造者、設計者および研究者を代表し、メンバーで米国半導体会社販売高の約95%を占め、そしてnon-U.S.各社に対するグローバル販売高のシェアを高め伸ばしている。

「2月のグローバル半導体販売高は全体に堅調で、昨年2月の販売高を上回るが、中国における需要が前月比で大きく低下、そしてCOVID-19世界的大流行のグローバル市場に対するインパクト全体が入手できる販売高数字ではまだ捉えられていない。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「半導体は、我々の経済、インフラ、および国家セキュリティを支え、そして治療法を見い出し、患者を世話し、そして在宅での人々の仕事および勉強を助けるのに使われている多くの先端技術の中核にある。」

地域別には、前月比で、Japan(6.9%)およびEurope(2.4%)では増加したが、Asia Pacific/All Other(-1.2%), Americas(-1.4%), およびChina(-7.5%)では減少した。前年同月比では、Americas(14.2%), Japan(7.0%), およびChina(5.5%)で増加したが、Asia Pacific/All Other(-0.1%)およびEurope(-1.8%)では減少した。

Americas
前年同月比  14.2%/
前月比 -1.4%
Europe
-1.8%/
2.4%
Japan
7.0%/
6.9%
China
5.5%/
-7.5%
Asia Pacific/All Other
-0.1%/
-1.2%
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域Feb 2019Jan 2020Feb 2020前年同月比前月比
========
Americas
6.36
7.37
7.26
14.2
-1.4
Europe
3.38
3.24
3.32
-1.8
2.4
Japan
2.99
2.99
3.20
7.0
6.9
China
10.71
12.22
11.30
5.5
-7.5
Asia Pacific/All Other
9.43
9.53
9.42
-0.1
-1.2
$32.87 B
$35.36 B
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %

--------------------------------------

市場地域9-11月平均12- 2月平均change
Americas
7.52
7.26
-3.4
Europe
3.36
3.32
-1.1
Japan
3.12
3.20
2.6
China
13.02
11.30
-13.2
Asia Pacific/All Other
9.84
9.42
-4.3
$36.85 B
$34.50 B
-6.4 %

--------------------------------------

※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/04/February-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りそこからの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年後半の折角の戻し加減がコロナウイルス・インパクトにより大きく水を差されて、今後の下振れが避けられないが、少しでも戻していく材料発掘に暇なしでの業界の動き推移への注目である。

販売高前年同月比前月比販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %


このところ全面的に外せない視点となっているが、「COVID-19」インパクトを受け激震が続く世界の概況について、以下日々の動きからの抽出である。
鎮静化加減にいまなお目が離せない中国の一方、欧州そして米国が日々高まる危機感で対応に追われる状況が以下にあらわされる通りである。

□3月30日(月)

◇米中韓全土からの外国人を入国拒否、政府調整 (日経 電子版 01:30)
→政府は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、米国、中国、韓国の全土からの外国人の入国を拒否する調整に入った旨。これらの地域に関する外務省の感染症危険情報は渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げる旨。政府関係者が明らかにした旨。
入国拒否は出入国管理法に基づく措置で、入国申請日より前の14日間に該当地域に滞在した外国人が対象になる旨。近く国家安全保障会議(NSC)で決める旨。

米国はじめ収まらないインパクトで行動自粛に向けた制限の延長が続いていく。

◇米、4月末まで行動制限を継続、新型コロナ感染増で (日経 電子版 09:27)
→トランプ米大統領は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国民に求めている行動制限を4月30日まで続けると発表、現行指針は3月30日に期限を迎えるが1カ月延ばす旨。経済の一部再開に向けて4月12日までの自粛要請の緩和を目指してきたが「致死率が2週間以内にピークを迎える可能性がある」として警戒を続けることにした旨。

□3月31日(火)

◇東京五輪、2021年7月23日〜8月8日開催へ (日経 電子版 02:15)
→新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて延期となった東京五輪を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)と政府、東京都、大会組織委員会は30日、新たな五輪の開催日程を2021年7月23日〜8月8日とすることで合意、パラリンピックは同8月24日〜9月5日と決まった旨。

米国株式市場も、その日の状況推移への大きな反応が続いている。

◇NYダウ690ドル高、経済対策とワクチン開発期待で (日経 電子版 06:57)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前週末比690ドル70セント(3.2%)高の2万2327ドル48セントで終えた旨。米政府の大規模な経済対策が前週成立し、景気への過度な懸念が後退したうえ、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待も高まり、買いを後押しした旨。月末とあって、今月の急落で低下した株の構成比を元に戻すリバランス(資産構成の再調整)の買いも入りやすかった旨。

◇Supply Chain 101: The DPA Won't ‘Cure’ Covid-19 (EE Times)
→Donald Trump大統領が発動、新型コロナ対策で「将来における最悪のシナリオのために」向けたDefense Production Act(DPA:国防生産法)について。

中国は、主要経済指数の2月の底から3月の戻しが以下の通りであるが、額面通りには読めないと慎重なコメントが付されている。

◇China factory activity unexpectedly expands, but economy cannot shake off virus shock-Chinese factory activity rebounds from record low (Reuters)
→中国における工場活動が伸びに戻しているが、国家統計局はこの戻しは経済が落ち着いている兆しとは見るべきでない旨。公式購買担当者景気指数は、2月に35.7と記録的に急落の後、3月は52にある旨。

◇中国景況感が改善、3月PMI、3カ月ぶり50超 (日経 電子版 10:40)
→中国国家統計局が31日発表した2020年3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比16.3ポイント高い52.0だった旨。企業の生産再開が進み「拡大」「縮小」の節目となる50を3カ月ぶりに上回った旨。ただ、2月のPMIが新型コロナウイルスの影響で過去最低だったため、3月の数値を押し上げた面もある旨。
国務院発展研究センターの張立群研究員は「3月のPMIが節目の50を上回ったことは経済活動の全面的な回復を意味しない。いまの国内外の経済の空前の厳しく複雑な情勢を十分に認識すべきだ」としている旨。

◇北京市の小中高校が4月13日からオンラインで授業再開へ (人民網日本語版)
→北京市教育委員会は30日、4月13日から、小中高校の学科授業をオンラインで再開することを発表、北京は今後、新型コロナウイルス感染拡大防止対策と、学校の学科授業を同時進行させる新たな段階に入る旨。北京にいる学生には、使用する教材が4月13日までに配布される予定で、北京にいない学生は電子版の教材を使用することができる旨。新華社が報じた旨。

中国の経済成長率の現時点率直な見方を受け止めている。

◇中国、マイナス3.7%成長、1〜3月エコノミスト予測 (日経 電子版 16:00)
→日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率の予想平均値はマイナス3.7%だった旨。新型コロナウイルス流行で生産や消費が落ち込み、四半期の統計で遡れる1992年以降で初のマイナス成長を見込む旨。通年の成長率も3.3%に急減速する見通し。

□4月1日(水)

◇NYダウ、410ドル安、月間・四半期とも過去最大の下げ (日経 電子版 05:40)
→31日の米株式相場は反落し、ダウ工業株30種平均は前日比410ドル32セント(1.8%)安の2万1917ドル16セントで終えた旨。単月では3492ドル安、1〜3月期では6621ドル安となり、月間、四半期ともに過去最大の下げ幅となった旨。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が強いほか、前日に大きく上げた反動で売りが優勢となった旨。

我が国の景況の見方にもコロナ・インパクトの影が大きくあらわされている。

◇景況感7年ぶりマイナス、短観、大企業製造業マイナス8 (日経 電子版 09:19)
→日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス8になった旨。7年ぶりにマイナスに転落し、悪化幅も7年3カ月ぶりの大きさだった旨。2019年12月のゼロから8ポイント悪化、非製造業や中小企業の景況感も急速に落ち込んだ旨。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が影を落としている旨。

◇設備投資・雇用、先行き不透明感強く、日銀短観 (日経 電子版 11:24)
→日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、全規模・全産業の2020年度の設備投資計画が前年度比で小幅なマイナスになり、大幅な悪化を見込んだ市場予測より堅調な結果になった旨。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を十分に織り込んでいない可能性が高い旨。人手不足の状況が続く雇用も含め、先行きには不透明感が強い旨。

◇トランプ氏「苦しい2週間に」、米の死者24万人の恐れも (日経 電子版 10:07)
→トランプ米大統領は31日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け「とても厳しい2週間に向かう。苦しい2週間になる」と厳しい認識を示した旨。行動制限などの対策をとっても、米国内で最終的に10万〜24万人の死者が出る可能性を指摘した旨。感染拡大を可能な限り抑えるため外出の自粛などを求めた行動指針を順守するよう呼びかけた旨。

□4月2日(木)

米国および欧州の深刻な現状である。

◇世界で病床確保急ぐ、米欧に危機感、日本は対応鈍く (日経 電子版 05:32)
→新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界中で病床の不足が深刻になっている旨。感染者の受け入れ態勢の充実に向け、米欧諸国は病院船を投入し、見本市会場を治療棟に改装するなど異例の構えで臨む旨。多くの国が既に経験したオーバーシュート(爆発的な感染拡大)。未体験の日本では、受け入れ先を指定医療機関から一般病院にまで広げる取り組みにとどまる旨。ウイルスの脅威を前に対応の鈍さが目立ってきた旨。

◇NYダウ続落、973ドル安、コロナ収束見えず (日経 電子版 06:01)
→1日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比973ドル65セント(4.4%)安の2万943ドル51セントで終えた旨。トランプ米大統領が3月31日に新型コロナウイルスの感染拡大の今後について「とても厳しい2週間に向かう」と発言。経済活動の停滞が長引くとの懸念が広がり、下げ幅は一時、前日比1000ドルを超える場面もあった旨。

□4月3日(金)

米国の3月の労働&雇用関連データが以下の通り急激な悪化、深刻な状況をあらわしている。

◇米の失業保険申請、最大の664万件、解雇・一時帰休で (日経 電子版 03:25)
→米労働省が2日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、3月28日までの1週間で664万8千件となり、過去最大だった前週(330万件)からさらに2倍に膨らんだ旨。新型コロナウイルスで経済活動が大幅に制限され、飲食店や小売店などでは従業員の解雇や一時帰休が急増している旨。
トランプ政権は給与補填などの経済対策を決めたが、迅速な執行が求められる旨。

◇US payrolls plunge 701,000 in March amid the start of a job market collapse-Jobs report shows 701K lost in March (CNBC)
→米国・Labor Department発。3月の米国経済は701,000 jobsを失い、失業率が4.4%に上昇、各社コロナウィルスの拡がりと戦う中の旨。該数字は該世界的大流行のインパクト全体をあらわしていない様相、月半ばに締めた調査に基づく旨。

□4月4日(土)

◇米雇用3月70万人減、減少は9年半ぶり、失業率も悪化 (日経 電子版 01:41)
→米労働省が3日発表した3月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月比70万1千人減少、就業者の減少は2010年9月以来、9年半ぶり。失業率は4.4%と前月から0.9ポイントも悪化した旨。新型コロナウイルスの影響で雇用情勢は一段と悪化しており「失業率は4〜6月に10%を超える」(米議会予算局)との見方が強い旨。

◇国内通信量、4割増加、外出自粛でデータ通信に停滞懸念 (日経 電子版 02:01)
→新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的にデータ通信量が急増している旨。国内通信大手によると、3月下旬の通信量(日中)は2月比で最大4割増。世界でも同様にデータ通信量が膨らんでいる旨。外出自粛でテレワークが広がり、企業の利用と動画配信サービスが増えている旨。外出抑制に加え、遠隔授業の本格利用が始まれば、通信ネットワークの停滞懸念が強まりそうな旨。

◇NYダウ反落、前日比360ドル安、景気悪化懸念で (日経 電子版 07:45)
→3日の米株式相場は反落、ダウ工業株30種平均は前日比360ドル91セント安の2万1052ドル53セントで終えた旨。新型コロナウイルスの感染者数の急増が続いているうえ、朝方発表された3月の米雇用統計では雇用者数が9年半ぶりに減少した旨。米景気への懸念が強まり、幅広い銘柄に売りが優勢となった旨。

ニューヨーク州の米国内で一桁深刻な状況をTV画面で目にしているが、米国半導体の中核、シリコンバレーでの状況が以下の通りである。

□3月30日(月)

◇Coronavirus roundup: Santa Clara County Fairgrounds will soon shelter the homeless | An exemption for home sales (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ここ何ヶ月か、Santa Clara County Fairgroundsにて有効なopen spaceを如何に使うのが最善か議論していたSanta Clara County。今やCOVID-19outbreakにより一時的にしても答があり、Alphabet社傘下のVerilyが運営するdrive-thru coronavirus testing siteに加えて、該150-acre Fairgroundsが、homelessの居住者を保護し、症状のある人たちの隔離場所となる旨。

◇Bay Area shelter-in-place orders extended through May 1 (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa ClaraおよびSan Mateoのcountiesなど7つのBay Area管轄区域が、外出禁止令を少なくとも5月1日まで延長、COVID-19コロナウィルスの拡がりを抑制する狙い。

□3月31日(火)

◇Coronavirus roundup: Verily rolls out community-testing guide | Local distilleries make hand sanitizer (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Alphabet社傘下のVerilyが、COVID-19に向けて人々を遮断する経験をとってcommunity-based testingを行おうとする人々に向けたガイドをリリース、VerilyのProject Baselineは、Stanford Medicineからのinputを伴ってCaliforniaのDepartment of Public Healthなど市、countyおよび州機関とのコラボでつくられたCOVID-19 Community-Based Testing Program Guideを展開の旨。

□4月2日(木)

◇Coronavirus roundup: SJ approves paid sick leave | Dispensaries barred from selling recreational pot in-store (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Joseが、essential businessesにいるworkersに向けて最大80時間の休暇許可を認める有給病気休業条例の通過、しかしCOVID-19緊急事態の限りの旨。

半導体および関連業界におけるコロナウィルス関連の対応&動きについて、以下日々の動きの中からの抽出である。

□3月26日(木)

◇Juniper Research: Coronavirus to Cause $42 Billion Revenue Gap in Global Consumer Device Shipments over the Next 9 Months (SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Juniper Researchの最新分析。コロナウィルスが、smart機器ベンダーに向けて向こう9ヶ月にわたり約$42 billionの売上げgapを引き起こす可能性の旨。

□3月27日(金)

寄付活動の一端である。

◇Google-parent Alphabet to donate $800 million in response to coronavirus crisis-Alphabet gives $800M+ to the coronavirus outbreak relief (Reuters)
→Googleの親会社、AlphabetのChief Executive Officer、Sundar Pichai氏が金曜27日、同社がCOVID-19との戦いで用いられる医療供給品生産に向けた資金および政府および健康機関&事業向けad creditsで$800 millionを上回る寄付を行う旨。

□3月30日(月)

このような事態だからこその有り様、あるべき姿の論調が目についている。

◇Covid-19: A Nuts-and-Bolts Guy Takes Charge (EE Times)
→Covid-19世界的大流行の真っ最中、自分たちの材料、役割がよく分かる人たちの必要性が強くなっている旨。

◇‘This Is Where We Work Today’: Engineers in the Covid-19 Era (EE Times)
→telecommuting可能というのは、ある仕事に関わるすべての人々に情報が直ちに手に入るようすべてのビジネスプロセスをディジタル化すること。

◇SIA Statement on Enactment of COVID-19 Recovery Legislation (SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、President & CEO、John Neuffer氏ステートメントを本日リリース、Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security(CARES) Act回復packageの議会承認&制定を推賞の旨。

人工呼吸器への取り組みである。

◇Wurth producing PCBs for ventilators-Wurth Elektronik boosts production of ventilator PCBs (New Electronics)
→Wurth Elektronik(ドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州キュン ツェルザウ)が、ドイツの3つの生産sitesから集中治療およびモバイル人工呼吸器の急速な製造に必要とされるPCBsを供給する旨。

◇Covid-19: A Review of Low-Cost Ventilators (EE Times India)
→肺の中に酸素を保ち、二酸化炭素を取り除くよう設計された人工呼吸器。
COVID-19と戦うために特別な低コスト人工呼吸器をすぐさま設計しつくるよう世界中の設計者が取り組んでいる旨。

◇Blog: Welcome to the Ice Age (EE Times India)
→Covid-19がしつこく留まって、2020年の車載市場の予測が不可能の旨。

◇スマホ供給網、綱渡りの2カ月、新型コロナなお火種 (日経 電子版 08:41)
→新型コロナウイルスの感染拡大で中国の武漢市が封鎖されて2カ月あまり。一大生産地の中国で人や物資の移動が制限され、スマートフォンのサプライチェーン(供給網)は大きく揺らいだ旨。ここに来て中国では生産活動が回復の動きがあるが、部品単位で見れば東南アジアをはじめ他の地域での感染拡大の影響を受けつつある旨。年間10億台を超えるスマホ生産を支えてきた国際分業は、なお予断を許さない状況にある旨。

□4月1日(水)

◇MEMS in the Fight Against Covid-19 (EE Times)
→Covid-19世界的大流行とのtime to fightに向かう競争が、ハイテク会社によるグローバルにたくさんの行動およびコラボの動機となっている旨。
MEMS技術が、PCR(polymerase chain reaction)分析に2つの大きな利点、サイズ削減およびmicrofluidic integrationをもたらす旨。

◇Apple doubles China donations for COVID-19 recovery efforts-Apple increases donations to $7M for China's COVID-19 relief (Reuters)
→Appleが、COVID-19と戦う中国の活動への寄付を倍以上の50 million yuan($7 million)超にする、と同社CEO、Tim Cook氏が水曜1日Weiboで公表、同社が最大市場の1つで42店すべてを開いたとした数週間後の旨。

◇Engineers in the Covid-19 Era-Telecommuting means digitizing all business processes so that information is immediately available to all those involved in a given task. (EE Times India)

中国のスマホ市場の現状である。

◇新型コロナで揺れる国際分業、スマホ供給網、綱渡り、日韓部品メーカーを直撃、「全面再開ほど遠い状況」 (日経産業)
→新型コロナウイルスの感染拡大で中国の武漢市が封鎖されて2カ月あまり。一大生産地の中国で人や物資の移動が制限され、スマートフォンのサプライチェーン(供給網)は大きく揺らいだ旨。ここに来て中国では生産活動に回復の動きがあるが、部品単位で見れば東南アジアをはじめ他の地域での感染拡大の影響を受けつつある旨。
年間10億台を超えるスマホ生産を支えてきた国際分業は、なお予断を許さない状況にある旨。

□4月2日(木)

◇The IoT Of COVID-19-Using data and the IoT to fight the coronavirus pandemic-Data is key to fighting a pandemic. IoT, AI and other tech working toward solutions. (Semiconductor Engineering)
→モバイル機器およびinternet of things(IoT)により、コロナウィルスの世界的大流行と戦う上で役立つデータが得られる旨。スマートフォンのlocation trackersは、屋内退避にいると思われるとき、誰が実際に動き回っているかがわかる助けになる旨。

M&Aの意気込みが大きく削がれる状況は以下の≪市場実態PickUp≫での米ゼロックスのHP買収撤回の項に見られる通りである。

◇M&A中止・延期相次ぐ、ゼロックス、HP買収断念、株価下落、再編の好機にも (日経)
→新型コロナウイルスの影響による世界経済と金融市場の混乱で、M&A(合併・買収)の中止や延期が出始めた旨。米事務機器大手ゼロックスは同業HPの買収を断念し、米製薬大手ファイザーは事業統合を延期した旨。グローバルのM&A件数は約15年ぶりの水準に落ち込む旨。株価が下がれば再編の好機にもなるが、足元では不透明感から動きが止まっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米国 vs. Huawei】

米国のHuawei向け半導体の規制強化の動きに対して、Huaweiからの反発&警告である。

◇China mulls countermeasures if US imposes chip ban on Huawei: executive-Huawei exec warns of China's response to a US chip ban (3月31日付け Global Times (China))
→米国がHuawei Technologiesに向けた半導体supply chainの遮断を進めれば、Trump政権は中国がとる対抗策に備えなければならない、とHuaweiの輪番chairman、Eric Xu氏。Huaweiの2019年net profitは$8.9 billion、前年比5.6%増、全体売上げは19%増。

◇Huawei warns China will strike back against new U.S. restrictions (3月31日付け Reuters)

Huaweiの最新スマホにおける米国製半導体の搭載状況が、以下の通り調べられている。

◇Teardown Highlights Huawei's Reliance on U.S. RF Components (3月31日付け EE Times)
→Financial Times(London)が本日発行した最新Huawei P40 phoneのteardown解析によると、Qualcomm, QorvoおよびSkyworksが依然重要なRFコンポーネントを供給している一方、MicronのNANDフラッシュメモリはSamsungに置き換えられている旨。

【買収入札の取り下げ】

これも「COVID-19」インパクトの煽り、本欄でも経緯を数回取り上げているが、米国事務機器大手、ゼロックスの自分より規模の大きい米国パソコン・プリンター大手、HPに対する買収入札を巡る応酬が何回か見られた件、結局ゼロックスが取り下げる一方、HPの断じる台詞も見られている。

◇Xerox ends hostile takeover attempt of HP, citing coronavirus (3月31日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Xerox Holdings社(Connecticut)が火曜31日、上回る規模のライバルの敵対的買収を追い求めて数ヶ月、HP社(Palo Alto)を買収する$30 billion入札を取り下げの旨。Xeroxは、それを決めた要因としてコロナウィルスの世界的大流行および市場の混乱を挙げている旨。

◇Xerox drops hostile-takeover bid of HP-Xerox ends attempts for hostile takeover of HP (3月31日付け MarketWatch)

◇Xerox ends pursuit to acquire HP-Xerox ends takeover bid for HP-The copier maker is officially backing down from its efforts to force a merger with rival HP, citing market turmoil caused by the COVID-19 pandemic. (3月31日付け ZDNet)
→Xeroxが、グローバルな健康危機を引用、HPに対する買収入札およびHP boardに置き換わる代理キャンペーンを取り下げの旨。これに対してHPは、"今我々に迫るグローバルな大流行のような予期せぬ難題を操れるのは、健全なcash状況およびbalance sheet"をもった"力強い会社"であると強調の旨。

◇Xerox drops $34B HP takeover bid amid COVID-19 uncertainty (3月31日付け TechCrunch)

◇Xerox abandons $35 billion hostile bid for HP (3月31日付け Reuters)

◇米ゼロックス、HP買収を撤回、コロナ危機で実現困難に (4月1日付け 日経 電子版 06:06)
→米事務機器大手ゼロックスは31日、米パソコン・プリンター大手HPへの敵対的TOB(株式公開買い付け)を撤回すると発表、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により両社ともに株価が急落し、事前に決めた条件での買収が困難になった旨。米有力企業を巡る買収劇がコロナ危機によって頓挫する結果となった旨。

【先端製品関連】

TSMCが、Appleの来る新型iPhone向けA13プロセッサ半導体の量産を今月始めるとしている。現行の液浸多重露光ArFエキシマレーザー光源プロセスの7-nmの改良版、「N7P」プロセス技術と言われている。あとはApple側の打ち上げに遅れはないかどうかがある。

◇Report: TSMC ready to start volume production of Apple A13 chips (4月1日付け The Burn-In)
→DIGITIMES、水曜1日発。TSMCが、今月AppleのiPhoneの次の新型に向けた5-nmプロセッサの量産を始める旨。先週、Nikkei Asian Reviewは、AppleがCOVID-19関連のsupply chain問題および需要弱含みの可能性を巡る懸念から同社初の5G-enabled handsetを遅らせる検討としていたが、TSMCはAppleが生産遅延を求めていないと同社回路基板メーカーに述べている旨。

Intelが、最高速のモバイルプロセッサと銘打ち、5GHzを越える高速性能を誇る第10世代Core "Comet Lake-H"を打ち上げている。AMD、Nvidiaなどとのベンチマーキングになる。

◇Intel calls its 5.3GHz 'Comet Lake-H' chip for gaming laptops the 'fastest mobile processor'-Intel touts "Comet Lake-H" processor for gaming laptops-Intel's new 10th-gen Core chips are the fastest ever, Intel claims, setting up a showdown between the Comet Lake-H chips and AMD's latest Ryzen 9 4900HS. (4月2日付け PCWorld)
→Intelが、5.3 gigahertz動作が可能な第10世代Core "Comet Lake-H"モバイルプロセッサを投入、該半導体は、ゲームを楽しんだりlaptopsでビデオをuploadする上で高速化が得られる旨。

◇Intel launches 10th Gen Core H-Series laptop processors at up to 5.3GHz (4月2日付け VentureBeat)

【MagnaChipのファウンドリー事業売却】

韓国のアナログ・ミクスドシグナルデバイスメーカー、MagnaChip Semiconductorが、同社のファウンドリー事業とそのウェハプロセスを担ってきた清州工場(Fab 4)を、SK Hynixもパートナーとして出資しているコンソーシアムに売却し、今後はディスプレイドライバーとパワー半導体に集中するとしている。

◇MagnaChip Sells Foundry, Fab 4 Manufacturing Units-Private equity consortium to buy MagnaChip units for $435M (3月30日付け Bloomberg)
→MagnaChip Semiconductor社が、同社ファウンドリー事業およびFab 4製造拠点をprivate equity firms、Alchemist Capital Partners Korea Co.およびCredian Partners社が率いるコンソーシアムに約$435 million相当取引で売却する合意に達した旨。

◇MagnaChip Sells Off Foundry Biz for $435M (3月31日付け EE Times)

【この10年のウェーハfab拠点閉鎖】

IC Insightsが、2009年から2019年にわたって閉鎖されたICウェーハfab件数をあらわしている。全部で100件あり、我が国が36件で最多、続く北米33件とともに全体の約7割を占めている。

◇100 IC Wafer Fabs Closed or Repurposed Since 2009-Hardest hit are ≦200mm wafer fabs; 70% of closures in Japan and North America. (3月26日付け IC Insights)
→2009年〜2019年の地域別ICウェーハfab閉鎖:
 日本      36
 北米      33
 欧州      18
 Asia-Pacific  13

◇100 IC Wafer Fabs Closed or Repurposed Since 2009 (3月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇100 IC wafer fabs closed or repurposed since 2009, says IC Insights-IC Insights: 100 wafer fabs repurposed, shuttered since 2009 (3月30日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。100のウェーハfab拠点が、ここ10年で閉鎖あるいは異なる生産に転用されている旨。fab閉鎖の大半は、日本および北米で行われている、と特に言及の旨。


≪グローバル雑学王−613≫

中国語には本来「神話」という概念はないとのこと。人を超えた絶対神の影は薄く、人と神と仙人とが混然としたカオスをなしていると言ったほうがよい、とネット辞書にある。日本神話やギリシャ神話などとは大きく違う様相の中国の神話について、

『世界の神話』
 (沖田 瑞穂 著:岩波ジュニア新書 902) …2019年8月22日第1刷発行

より迫っていく。儒教の神話での天地の始まりは、最初は混沌とした世界であるが、やがて清んだ陽気が天となり、濁った陰気が地となった。 ここに盤古という巨大な神が生まれ、吐息から風、涙から雨、またその遺体から山岳や草木等が生まれたという展開になっている。「創世神話」「天体の神話」「異界訪問」と、以下繰り広げられていく。


8 中国の神話

・中国、とりわけ多数を占める漢民族の間では、神話が少ない、という特徴
→神話が形を変えた「伝説」は多く残されている
→古代中国の人々が現実主義的で、神話に興味が薄かった
・儒教の祖・孔子の態度、「怪力乱神を語らず」という言葉に集約
→神話の類を語ることを極力避けた
・本章では、断片的に記録された神話を、3つに分類して紹介
→「創世神話」「天体の神話」「異界訪問」

◎創世神話 …天地の始まりの神話

⇒「天地開闢(淮南子)」
 *混沌の暗闇の中から、二柱の神が自然に現れた
 *陰の気と陽の気が分離、四方の方角が分かれ、万物が形作られた
 *不純な気からは鳥や獣、虫、魚などが生じ、純粋な気は人類となった
―世界は、ひとりでに「進化」をしながら形を整えていった
 →「進化型創世神話」
―『旧約聖書』では神が世界を創った
 →世界の創られ方が対照的である一方、両者の神話には似たところも
 →「分離」の要素
 →『旧約聖書』でも、神は同じように世界を「分離」することで、秩序を作り上げていった

⇒「混沌(『雲笈七籖[…中国・北宋の道教類書]』)」
 …「卵」がキーワード
 *陰と陽がまだ分離していなかったときのことを始源とよんだ
 *まるで鶏の卵のようで、これを混沌といった
―「宇宙卵型」の神話
―卵から鳥や蛇などが生まれてくる、そのことへの驚嘆と敬意から生まれた神話であろう

⇒「盤古(『五運暦年紀』)」
 …世界の最初のときの、巨人の話
 *はじめに盤古という巨大な神がいた
 *盤古が死んで、さまざまなものに変わった
 *息は風や雲に、声は雷鳴に、左目は太陽に、右目は月に、・・・、
 *そして体内の虫は民衆となった
―原初のときの巨人が死んだり殺されたりして、その巨人の死体から世界の諸要素が作られた
 →「世界巨人型」とよばれる神話
―この神話の背景には、牧畜民の考え方
 →家畜の肉や乳を利用するだけでなく、その皮や骨まで、すべてを衣食住に利用

→「人類の起源(『風俗通義』)」
 *女神女媧(じょか)は、人間を創ろうとして、まず土をこねて一人一人創っていた
 *この重労働に嫌気がさし、縄を泥にひたして、それを引き上げたときにしたたった泥で残りの人間を創った
 *土をこねて創られた人々は高貴な人間に、縄の泥から創られた人々は庶民になった
―身もふたもない、人間の貴賤の起源
―背景に、土をこねて土器や土偶を作っていた古代の人々の生活があるのかも

◎天体の神話

⇒「羿(げい)の射日(『淮南子』)」
 …太陽と月の話
 *昔、太陽は10個あり、交替で1つずつ空に出ていた
 *ところが堯帝の時代に10個の太陽がいっせいに空に出た
 *堯帝は羿に太陽を弓で射させることにし、10個のうち9つの太陽に矢を命中させた
 *それらの太陽の中に住む烏はみな死んでしまった
―太陽の中には、烏が住んでいることに、足が3本
 →日本サッカー協会のシンボルマーク

⇒「月の中のひきがえる(『捜神記』)」
 …月の神話
 *羿が西王母から不死の薬をもらったが、妻の嫦娥が盗んで月へ逃げた
 *嫦娥はそのまま月に身を寄せて、ひきがえるになった
―中国では、月の模様はひきがえるであるとも考えられていた
 →月の表面に似たごつごつとした背中
―冬眠をするひきがえる
 →「生と死を繰り返す」動物と考えられた
―不死の薬を持って月に住み着いた嫦娥
 →月によみがえりや不死の飲料があるという神話は世界に多くみられる

⇒「生死をつかさどる星(『捜神記』)」
 …星の神がでてくる話
 *管輅(かんろ)という物知りの人物がいた
 *あるとき彼はひとりの少年を見かけて、「おまえの寿命は20才にならないうちに尽きるだろう」と言ってため息をついた
 *少年は父親とともに管輅に願って、寿命をのばす方法をたずねた
 *少年は言われた通りに、桑の木の下で碁を打つ2人の男のもとに行き、お給仕をした
 *北側に座っていた人が顔を上げて、少年をしかりつけ、「どうしてこんなところにおるのかだ」
 *南側に座っていた人がとりなして、北側の人から「台帳」を受け取った
 *そこには、「趙の子、寿命19前後」
 *南側の人は、筆をとると、十と九の間に上下を逆さまにするS字状の符号を入れた
 *「おまえの寿命を90までのばしてやったよ」
 *管輅は言った。「寿命がのびてよかったね。北側に座っていた人が北斗星で、南側に座っていた人が南斗星だ。南斗は人間の生をあつかう星で、北斗は人間の死をあつかう星。」
―中国の人々の世界観
 →世界は整然と方眼状に区画されていて、碁盤にたとえられる
―碁を打っていく営み
 →天上世界における天体の運行と、地上における人々の営みを、表わしている
―これとそっくりな話が、沖縄にも
 →この話の伝播は沖縄までで止まっているようで、日本の他の地域には見つからないよう

◎異界訪問

⇒「異界訪問――腐っていた斧の柄(『水経注』)」
 *晋代(265〜420年)の中ごろ、浙江省に王質という男がいた
 *あるとき木をきりに山に入ると、石の洞窟の中で4人の童子が琴をひきなから歌をうたっているのを見た
 *童子の1人がなつめの種のようなものを彼に与え、口に入れると、とたんに空腹を忘れた
 *それからしばらくして、立ち去ろうとすると、なんともたれかかっていた斧の柄はすっかり腐っていた
 *彼は家に帰ったが、家を出てから数十年もたっていて、村には誰一人として知り合いがいなくなっていた
―我が国の「浦島太郎」の話とそっくりでは
―異界――王質の場合は山の中の洞窟、浦島太郎は海の底
―異界と現世では時間の流れが違う

【コラム 「富を移動させる怪異」】

⇒中国の「屋敷神(『捜神記』)」の話
 *臨川県(江西省)の陳臣は大金持ちだった
 *ある日の白昼、屋敷内の竹のしげみから、身の丈1丈(約3メートル)あまりの恐ろしい顔をした男が姿を現した
 *その男が姿を消してから1ヶ月ほどの間に、不幸が続き、1年の間にすっかり落ちぶれてしまった
―我が国の東北地方には「座敷童」の伝承
 →一方は大男、他方は子供と、姿は正反対であるが、その存在の持つ「働き」は同じ
 →どちらも「富を移動させる怪異」であると定義することができる

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