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久しぶりに盛り上がっているセミコンジャパン2022

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セミコンジャパン2022が東京ビッグサイトで開催されている(図1)。今年は、日本発のファウンドリサービス会社ラピダスの誕生を政府が後押ししてきた経緯を象徴するように岸田首相が祝辞を述べた(図2)。そのあと、キーノートとしてのパネルディスカッションが開かれ、ラピダス社のファウンドリビジネス参入の背景についてパネリストたちがそれぞれの立場から述べた。

セミコンジャパン2022会場風景 / 筆者撮影

図1 セミコンジャパン2022 出典:撮影筆者


「DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)を駆使して社会課題を解決する技術が半導体である」、と岸田文雄首相は述べ、攻めの投資が必要と産業界を勇気づけた。国として半導体を支援する理由付けとして、デジタル経済を支える半導体を日本から送り出そう、というメッセージにつなげた。


セミコンジャパン2022で祝辞を述べる岸田文雄首相 / 筆者撮影

図2 岸田文雄首相がセミコンジャパンで祝辞 出典: 筆者撮影


パネルディスカッション(図3)では、甘利明衆議院議員、五神真理化学研究所理事長、東哲郎ラピダス社会長、IBMのシニアVPでIBM ResearchのディレクタであるDario Gil氏、そして小池淳義ラピダス社社長がパネリストとして参加した。甘利氏は、「(TSMCの快進撃を見て)ロジックを失うと基本がだめになる」として、ファウンドリ設立の重要性を述べた。ラピダスの設立には、「過去の失敗を生かす意味で、過去は日本だけで開発や量産を進めようとしてきた。世界各地の強いところと一緒にやらなければならない。最先端ロジックは(産業のコメではなく)人間の頭脳であるからだ」と、これまでとの違いを強調した。さらに、次のフェーズを支える技術を日本だけでやるべきではなく、日米欧は価値観を共有できる地域だからこそ連携することに意義がある、とも語った。


セミコンジャパン2022 キーノートパネルディスカッション / 撮影筆者

図3 キーノートパネルディスカッション 出典:撮影筆者


東哲郎会長は、五神真氏、甘利明議員と共にセミコンジャパン2020のパネルディスカッションで政府支援を訴求して以来、半導体産業への支援が動き出したことを述べた。日本の半導体の市場シェアが落ちてきたが、その要因は世界のスピードと低コスト化に追いつけなかったことにも触れた。ラピダス社の設立は基盤としての研究開発をLSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)としてそろえることになったとする。

五神氏は、社会課題のカギはソサイエティ5.0を実現することで、そのためには地球との調和が必要とした。これからのビヨンド5Gや量子コンピュータなどをつなぐ最先端の半導体チップが必要となる。そのためには微細化と共にチップやチップレットなどを集積する3D-ICも必要となる、として最先端半導体の必要性について語った。

IBMのシニアVPでIBM ResearchのディレクタであるDario Gil氏は、日本が最先端技術を手掛けるようになったことを歓迎し、ただ、技術が高度化し、コンピューティング技術は1940年代後半の電子式コンピュータの発明以来、量子コンピュータまでやってきた。コンピュータは今や軍事用にも使われるようになり日米の政策のすり合わせが必要になってきたと述べた。ジル氏はさらに、DXやGX、循環型機材などはコンピュータシステムでもっと対応しなくてはならないとして、その進展にはAIやインテリジェント化が必要だと言う。

IBMは2nmプロセスノードのGAA(Gate All Around)技術を開発したので、パートナーシップはますます重要になるとする。さらに2nmノードに必要なナノシート技術は、かつて14/16nmプロセスノードでFinFETが導入されたと同様、画期的なイノベーションであるとしている。

小池淳義ラピダス社社長は、「日本はロジックが大きく遅れた。しかし今回IBMからGAAを一緒にやらないかという打診を受けたことは幸運だった」と述べ、2nmトランジスタ技術の習得に道筋をつけることができた。

(2022/12/15)

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