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元日の能登半島地震、半導体工場やシリコン結晶工場は現時点で影響少ない

新年あけましておめでとうございます。同時に、令和6年能登半島地震により被災された方々にお見舞い申し上げます。阪神・淡路大震災よりも規模が大きいといわれる能登半島地震は、半導体産業やこの産業に関わる方々にどのような影響を及ぼしているのだろうか。現在わかる範囲でのレポートを紹介したい。

加賀東芝エレクトロニクスの300mm新工場完成予想図 / 東芝デバイス&ストレージ社

図1 加賀東芝エレクトロニクスの300mm新工場完成予想図(地震とは直接関係ありません) 出典:東芝デバイス&ストレージ社


これらの地方にある半導体工場として、東芝デバイス&ストレージ社の子会社である加賀東芝エレクトロニクス(図1)と、Tower Semiconductorの魚津工場と砺波工場のプロセス工場、そして新井工場(パッケージ工場)がある。さらにシリコンウェーハを製造供給する信越化学工業とGlobalWafersの工場もある。これらの工場が被災していれば、半導体の供給は厳しくなる。今年は、半導体不況から一転、供給が強く求められる年になるといわれている。

東芝デバイス&ストレージ社グループでは、同地震発生直後に本社(神奈川県川崎市)に災害対策本部を立ち上げ、現在も情報収集とその対応・対策にあたっている。同社によると、石川県能美市にパワー半導体の生産拠点がある加賀東芝は、安全確認のため、地震発生直後より操業を停止し、インフラ、生産工程・装置の状況について確認中だとしている。また、当日出社していた同社従業員は全員無事を確認しており、出社していなかった従業員に関しても、まだ連絡が取れない若干名の確認を急いでいるという。1月5日の17時ごろに第2弾の情報を流す予定になっている。

富山県魚津市と砺波市にそれぞれ300mm、200mmウェーハプロセス工場のあるTower Semiconductorは、従業員全員の無事を確認したと述べている。建屋への影響や被害はなく、製造工場の損壊も軽微であり、オペレーションへの影響もないとしている。さらに、専任スタッフと対策チームが、運用の安全性と安定性の確保に取り組んでいる。装置やインライン材料へのどのような損傷も効率的に修繕しながら、使用可能なリソースをすべて活用し、製造と顧客サービスへの潜在的な混乱を最小限に抑えるために対応にあたり、装置の再認証(requalification)を進めているという。新潟県の新井工場は後工程の工場だが、ここもオペレーションへの影響はないとしている。

信越化学グループの直江津工場(新潟県)は、半導体シリコン結晶の生産だけではなく、有機系のシリコン樹脂やフォトレジスト材料などを製造している。ここでは、地震の揺れを感知後、設備は自動停止した。現在、安全な操業再開に向けて点検を進めているとのことである。また、半導体シリコン結晶の他、レアアース磁石やシリコン樹脂などを製造している福井県の武生工場は、1月4日朝現在時点で操業に大きな影響はないという。

さらに新潟県に二つのシリコンウェーハ結晶工場を持つGlobalWafersでは、能登地震の後、工場を停止し、製造装置やラインをチェックしているが、今のところ損傷はないという。

以上、各社のニュースリリースや、通信社のニュースなどをソースとして能登半島地震の半導体工場への影響をレポートしたが、半導体工場への電力供給に関する問題は今のところ届いていない。リスクの大きな原発は、志賀原発・柏崎刈羽原発とも停止中だが、使用済み核燃料プールや核燃料の冷却は問題ないとしている。電力には支障がないと見られる。

(2024/01/04)
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